はるがすみ
[二]倉庫
マイネ(オルエド)
覚えているだろうか。お前が父上と共に初めて私の屋敷へ来たときのことを。あの時、私は本当に嬉しかったのだ。本能で感じた。あぁ、この者は他の者とは違う、私と等しく付き合ってくれる、と。そしてその出会いの時から、その瞳に吸い込まれそうだった。
私達があまりにも楽しそうだったのだろう、夜更かしに厳しい母上もお前が来た日だけは早く寝ることを促さなかった。
部屋中散らかして遊んだ後は二人で寄り添うように眠った。共に過ごす時は私にとって何よりも輝いていたのだ。いつも太陽のように笑うお前といれば私も幸せになれる。
だがそんなお前にも打ち明け難い秘密があった。そう、義母上のことだ。幼少期、いつも頬に傷をつけていたお前にその理由を尋ねたことがあった。少しの躊躇いを経て話し始めたお前の悲しそうな顔を今でも覚えている。全て話し終えた後、父様が悲しむから二人だけの秘密だと付け加えたお前を見て、この者は私が守ると誓った。
私も幼かったのだな。それからしばらくして、また屋敷にお前が遊びに来た日の夜、その小さな手を引いて屋敷を抜け出した。何かから逃げようとしたわけではないと思う。ただ子供だったのだ。二人でどこまでも共にいきたかった。行けると思っていた。だからだろうか、父上に連れられて家に帰る私達はとても悲しく、悔しい気持ちでいっぱいだった。
そして今。一人前とは言えないかもしれないが、互いに成長した。だから小さかった私たちにはできなかった旅をしよう。逃げるためではなく、新しい一歩を祝うために。私もお前ももう守られるだけの子供ではない。行きたいところへ何処までも、二人で。そうして大切な場所へ笑顔で帰ろう。悲しみを叫ぶ頬の傷はもうないのだから。
初:2010.3.18
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