another side


パタン、と、静かな音を立てて扉が閉まる。
べに隊の面々を見送った小珠は、肩に入っていた力をふぅ、と意識して抜いた。

―――こんなに緊張した面談も、久々だ。

新人審神者よりも戦い方を知らない刀剣男士、赤子の審神者、政府の介入。
普段とはまるで勝手の違う相手と話すのは辟易したけれども、・・・そんなことよりも。


「・・・本当に、修一さんがそんなこと言ったのかな・・・?」


ぽつりと、歌仙に問いかける。
ずっと一緒に戦ってきた歌仙なら、修一のこともよく知っているから。


「彼らが嘘をつく理由はないからね。事実だろう」


言葉は淡々としていても、声を聞けばわかる。少し腑に落ちない部分があると、物語っている。
当たり前だ。小珠たちの知っている修一は、不必要に人を貶める人ではないと、知っているから。


「・・・どうして、」

「・・・何か、理由があるんだろう。彼、そういうのはめっぽう上手いから」

「・・・・・・」


眉間に皺を寄せたまま、彼らの出ていった扉にもう一度目を向ける。
あの時―――錬結の話をした時に一瞬見せた、冷たい、目。


「・・・間違いが、なければいいけど」


演練は、あくまで模擬戦闘。相手をするのは己を高め合うために集まった味方同士で、決して憎み合う相手ではない。

そんな当たり前のことが不安定に揺らいでいる気がして、―――ぐっと拳を握りこんだ。


back