20、状況を察する


「きゃーあははは!!!」

「そらそらー!まだまだ負けねーぞ!!」

「やーだー!あはははは!!」



「・・・何と幸せな光景でしょうね・・・」

「いち兄、それも録音されてるぜ」


ほうぅ・・・と恍惚とした表情でビデオカメラを構える我らが兄様に言ってみるけど、この感じじゃ耳に入ってねぇなあ。
大阪城の地下に迎えに来てくれた時の権幕からしてちょっと普通じゃないとは思ってたけど、・・・ホント。


「いち兄ってホント、子煩悩というかなんというか・・・」

「ええ。後悔も恥じてもいないよ」

「・・・かっこいーの」

「後藤こそ、あちらに混ざらないのかい?」

「あー・・・俺はまぁ、いっかなーって・・・ほ、ほら!せっかく借りたこのカメラっての使ってみてーし!」


ビデオカメラのちっさい画面から目を離してこっちを見てくるいち兄から、慌ててカメラに集中してるふりで逃げる。

別に嘘はついてない。初めて見るこのカメラってやつはいろんな角度から撮るのが楽しいし、これを構えるとみんながこっちを見てピースしてくれるのも嬉しいし。


「・・・後藤、遠慮する必要はないんだよ?」

「べ、別に遠慮なんてしてねーよ!







・・・着替え、ねーし」


来たばかりの俺には、替えの服なんてこの内番着を除けば戦装束しかない。
少し待てば俺のサイズに合った服が届けてもらえるって話だったし、今はまぁ、カメラ係でいい。
皆揃いの水着を着てるのに、俺だけフツーのカッコじゃあ盛り下がっちゃうしな・・・


「・・・乱!」

「はーい!」

「?」


ぱっと手のひらからカメラの重さが消えて、「へっ」とアホな声が出た。


「ぶわっ!?!?」


その直後、結構遠くにいたはずなのに、顔面に水が襲ってきた。


「へっへ〜♪このチャンスをずぅっと待ってたんだよ!」

「み、乱・・・!お前なぁ・・・!」


ジョボボボボ・・・と水の出てくるホースをこっちに構えて、いい笑顔の乱が第二波を構える。
その隣で都合の悪いことに状況を察したべにがゾウのジョウロをこちらに構えていて、絶対届かないそれにほんわりしても隣は容赦ない。


「ちょっ・・・!ちょっ、まっ、俺着替えねーんだって!」

「そんなの貸してあげるって!」

「かいてあえうって!」

「お前らのサイズが入るかー!」


逃げ場を探してキョロキョロしてる間に容赦なく水はかけられるし、向こうの方で短刀に混じってめちゃくちゃ遊んでる鯰尾兄も「俺の服貸すよ!」とか言ってるけどそしたら鯰尾兄は何着るんだよって話で!


「鯰尾はよく服を汚すから、特別に着替えを何着も持っているんだよ」

「それはそれで着たくないって!」


ちゃっかりカメラを構えて一部始終を録画してるいち兄はニコニコしてるだけだし、助けになりそうにない。


「ほら、諦めて遊んでおいで」

「・・・〜〜〜っ!」


カカカカカって顔に血が集まってるのが分かって、慌てて乱のほうに顔を向けて、顔面に水を浴びる。
「わっ」と乱が驚いて水をかけるのを止めたけど、ここまで濡れてりゃどこまで濡れたって同じだ。


「・・・お前らよくもやってくれたなー!!!」

「「っきゃーー!!!♪」」

「覚悟しろ!俺の技はすげーからな!!」


後ろでいち兄がいつの間にか鳴狐にカメラを託して、いろんな角度からカメラを連写してるのがちょっと気になったけど、ま、楽しいからいっか。


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