戯言と笑ってください
「はい、ノート」
「おーサンキュー!愛してるぜー!!」
「はいはい」
呆れたように笑うその手から、ノートを受け取る。
一日一回は言っている気がする言葉に、重みが全くないことは重々承知だ。
でも、気付いてるか?
俺はこの言葉、お前以外には言ったことないんだぜ?
あの潔子さんにだってだ。
“美しい”とか“麗しい”とか、そういう言葉は確かにたくさん使ってる。
けどそれは、あくまで潔子さんを形容する言葉だ。
“愛してる”は、俺の気持ち。
そう簡単に、ほいほいいろんな奴には言わねぇよ。
「お前、あの子には軽いよなー。もしかして本気とか?」
「バカ言え!これは俺なりの感謝の気持ちだ!」
「そうだよな」
けど、これは絶対誰にも悟られちゃなんねえ。
とっぷしーくれっとってやつだ。
「あの子、彼氏いるしな」
「・・・おーそうそう。だが本気ならばそんな障害もなんのその!」
「当たって砕ける系男子2014」
「んだとぉ!?」
障害もなんのその。
それはアイツが、あの男の隣で幸せそうに笑ってなければの話だ。
俺はアイツが笑ってくれれば十分だから。
初めてアイツの前で「好きだぜ、」って口が滑ったとき、嬉しそうに笑って「ありがと、」と言った顔が忘れられない。
あぁ俺はその程度の存在なんだと思い知らされるのと同時に、その顔をまた見たいと思っちまった。
だから俺は、何度でも繰り返す。
軽くて本気な、愛の言葉を繰り返す。
俺のアイラブユーは、アイツが笑うための哀言葉。
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