背中合わせだね


身長差、約40cm。
素直になれない僕と、バカみたいに素直な君。

今日もまた変なこと吹き込まれたの?
馬鹿みたいに間抜けな顔をさらに緩ませて、君は言う。


“背中合わせの二人って、世界の一番遠くで見つめ合ってるんだって。”


・・・障害物だらけじゃないか。
それに、そんなに遠くにいられたら見失っちゃうでしょ。

・・・別に、振り向けなんて言ってない。
だって君は、そっちを見ていたいんでしょ?
だったらそっちを見てればいい。

遠くでもなんでもいいから、ずっと僕を見つめていればいい。
僕も障害物を眺めているようなふりをして、君の事を見つめ続けていられるから。

・・・何。見ているのか不安になるって?
はぁ・・・面倒くさいな。
僕のこと信用できないってことでしょ。
まぁ仕方ないよね。君だっていつ僕に飽きて見てる振りになるかわかんないんだし。

・・・うるさいなぁ。なら、これでいいでしょ。

僕を見ている間は、僕の手を握ってて。
しょうがないから、握り返してあげる。
その代わり、僕が君の手を握ったとき、握り返さなかったらただじゃおかないから。

一番遠くで見つめあうなんかより、ずっと近くてわかりやすいでしょ?



背中がずっとくっついてることは、何か言われたら「君の背の小ささに呆れてるんだ」って、ポーカーフェイスで言えるようにしておかないと。



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