「………」
目の前で腕を組んだ膨れっ面は、鋭い目線を紙袋に向ける。まるでただをこねた子供みたいで面白くて、笑ってしまったことに一層腹を立てたみたいで、もお!と大きな声が二学舎の裏庭に響いた。
「全部女の子からだからね?」
「そっ…ゆことじゃないこともないけどぉ…」
「あ、明那より多くもらっちゃったこと?ゴメンゴメン」
「そっ……れもだけどっ!傷つくからやめて!」
元々紙袋いっぱいまで作っておいたチョコレートは配り切って、そのかわりにもらったチョコレートでいっぱいになった。友チョコを送り合った分が大半なんだから、明那に勝ち目はないのに毎年凹んでるのは不毛だぞ。
「今日一日中、ずっとソワソワして待ってたんですけど」
「そうなの?」
「そりゃさあ!そんなにいっぱい作ってんだったらもちろんさあ…って思うじゃんね!」
「うん、紙袋?今もいっぱいだけど、一緒に食べる?」
「ちがっ……食べるけど…いや、そろそろ怒るぞ?」
「ははは、ゴメンね、チョコだよね」
さっきよりも不機嫌な膨れっ面の目の前に、鞄の底に隠して置いた最後の一つを取り出すと、顔色がぱっと明るくなって、ブンブンと振り切れそうな尻尾が見える気がする。チョコひとつでそんなに?それじゃあ、包みの中のピアスとラブレターを見つけちゃったら、どうなるんだろうね。包みを開ける無邪気な表情がもっと弾けるまであと少し。
-最後の一つはとっておき-ak7-
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