▽2021/10/13（Wed）urc

おはようせかい





　スマホのアラームが鳴る、案外健康的な時間に起きるんだ。と最初は驚いたけれど、蓋を開ければその日はたまたまうるかにとっての朝が世間一般で言う朝と一致していただけだった。目覚めも思ったより、いや、私より幾分か良い。まだ動けない私を急かすこともなく、さっとベッドから降りて、冷蔵庫に向かって水を飲んで、といういつものルーティンは今日は違うようで、ぎしりと起き上がった時にベッドが軋む音を立てた後は動く気配がなかった。

「…なにみてんの」
「あ、起きてた？ごめん」

　何とか開いた視界に映ったのは、起き上がったままじっと私を見つめるうるかの姿で、こんな姿を見つめられるのはいささか恥ずかしく、咎めるように、いや、寝起きで声が出ないだけなんだけど、低い声で問えば、悪気もなさそうに謝られた。

「おはよ…」
「無理して起きんくていいって」
「ううん、起きる」
「今頑張ったら昼に寝ちゃうじゃんか」
「寝ません〜」
「起きてもおれはゲームするだけだし、構えないよ」
「あー…」
「ハイおやすみ」

　力なくもう一度枕に埋めた頭をくしゃくしゃと撫でて、ふふ、と微笑みをもらす。心地よさに任せて微睡むままに目を閉じれば、また後でね。と囁く優しい声と、ベットから立ち上がる音がした。

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