▽2021/10/13（Wed）urc

なまえをよんで






「…はい」
　
「ふふ、ありがと」
　
「ね、もう大丈夫」
　
　一回目は顔見て言えなかった。ちょっと照れ臭そうに返事するのが可愛くて、どんな顔するのか見たくてもう一回呼んだ。三回目は、もっと照れたように頬まで赤くなって、今度は君が目を逸らした。
　確かに今回のプチ喧嘩は俺が悪いとこもあったから、言うこと聞くわって言った。じゃあ、名前を呼んでって。確かにいつも呼ばないけど、何で呼ばないかって、それは、恥ずいって言うか、むずがゆいってだけだけど。
　
「名前呼ばれるの、ちゃんと好かれてるような気がするから、嬉しい」
「なにそれ、ちゃんと好きだよ」
「そう言うことは恥ずかしがらずに言うんだ」
「……あ」
「無意識なんだね」
　
　かわいいね。って微笑む君が可愛いんだよ。名前呼んで、それくらいで気持ちが伝わるなら、コスパ最強じゃん。まあ、そんな簡単な話じゃないし、呼ばないってか呼べないけど、今日だけは。四回目はちゃんと見つめあって、お互いに呼び合えば、声に熱を帯び出すのを感じて、五回目からはいっぱいのキスをしながら。

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