伝言歌
そんな風に思うようになったのはいつごろからだったのか、ときめきやドキドキで色鮮やかだった毎日は、気づけば色を失っていた。触れ合いがなくなったり、喧嘩が増えたというわけじゃない。ただ、指先が触れ合うだけで花が咲いたように広がった胸の高鳴りも当たり前になってしまって、あのころには戻れないということを分かってしまった。
そういえば、それでもいいじゃん。とイブは言ったけれど、私にとってそれは恋愛ではなくて、このまま嫌いになってしまう前に終わらせてしまいたい。そんな決心は揺るがなかった。
「嫌いになったわけじゃないんよな」
「うん。イブにはずっと感謝してる」
「そ、ならまあ、よかった。いや良くはないけど」
「ごめん…」
「ま、家出るまでは何かと時間かかるっしょ」
それまでは、ちゃんと恋人でいてよ。と言って頭を撫でたイブの表情は、今まで見たことがないほどにさみしそうに、儚い顔をしていた。優しく頭をなでる感触に、嫌悪も何も感じない。こうやって、いつも私のわがままを聞いてくれていた。そんな優しいところが大好きで、それでいてもどかしかった。少しだけ世界に色がついた気がした。
一日一日を大切に過ごしていけば、見逃していた大切な気持ちを思い出す。起き抜けの
コーヒー、wwwwwwwwどれも、至極当たり前に思っていたことだ。
「なあ、このコートさあ、どうすんの」
「どうするって?」
「いやさあ…」
「普通に使ってたから、出てってから使うなら返すけど」
「あ…そっか」
一目ぼれして買った、シンプルなデザインのコート、私が羽織るには少しシルエットが大きくて、イブが着ても似合うから、共用で使っていたけれど、最近はもっぱらイブの外出着になっていた。別れを切り出したのは私なのに、現実味を帯びていないのは私のほうなのかもしれない。自嘲気味にはは、と笑ったイブに、お気に入りのコートを押し付けた。
return
>>>