STAGE.26
えいりあん襲撃事件の解決後、私は救護班で、手当てを受けていた。
――と言っても、えいりあんと闘っていたのは、神楽ちゃんと銀さん、星海坊主さんであって、私は傷ひとつ無く念のために連れて来られただけだった。
けれど、その中でも神楽ちゃんの腹部の傷は酷く、今だ救護班のベッドで眠りに付いていた。
『神楽ちゃん…』
その傍らで、そっと彼女の頭を撫でる。
ただ、この子に会いたい一心で、あんな所まで付いていってしまったけど。
バカ皇子を盾にしたり、核に取り込まれていた神楽ちゃんが脱出して銀さんを殴ったり、星海坊主さんが更にハゲたり砲弾を防いだりと、色々な事が起こった。
『本当に、星海坊主さんも銀さんも…神楽ちゃんが大事なんだね』
そんななか、二人は腕を大怪我しながらも必死で彼女を護ろうとしていた。
お父さんって、あんな感じなのだろうか。そう考えていたとき、ふと、神楽ちゃんが目を覚ました。
「名無しさん…?」
『神楽ちゃん!良かった…』
私の名を呼んでくれて、無事に意識を取り戻した姿にホッと安堵する。
上半身を起こしながら不思議そうな表情を見せる神楽ちゃんに、これまでの経緯を説明した。
『神楽ちゃんが護ってくれたおかげだよ。…ありがとう』
誰ひとり欠けることなく無事だった。
それは、神楽ちゃん達が必死でえいりあんと闘い、この江戸を護ってくれたからだ。もちろん、あの場にいた人の命も含めて。
そう伝えると、大きな瞳が更に大きく見開かれ、今にも泣きそうな声で問い掛けられた。
「私…護れたアルか?」
震えながら、必死に。
「名無しさんは、私のこと怖くないアルか?」