2018/11/10
タイトル未定
・現代?→mgs(といいつつザンジバーランドあたりにいた)→1014
恐らくは、色々なものを欠如させた結果なのだろう。しかしそれは戦場に立ち続けたからだとも言える。皇帝に気に入られ私の位置に立ったあの子が戦場を知るのかは知らない。いや、恐らくは何も知らない。ただ、悪戯に闇雲に力を全て投入して制圧する様子をみればわかる。まぁ、そこを追われた私に待つのは終わりなのだろうとは思う。疲弊である。とにかく私は疲れていたのだ。だから逃げ出しもせず、前線に送られーー部下を死なせるわけはいかないと彼らに降伏したのである。
「ナマエ、協力して」
そういったのは何処かの世界の友人である。閉じ込めるだけ閉じ込めて、どう接すればいいのかわからなかったに違いない。殺すこともできず、そして逃すこともできない。そんな折に現れたのがその友人だった。
彼女もまた何も知らない子だ。ただあの子と違い仕方ないと思えるのは、友人であるからか、精神が擦り切れかけていたからか、それとも。
「しかた、ないなぁ」
そうぼやくように言えば彼女は檻に手をかけた。
それからどれくらいの月日が経ったのか。最初は監視役であったというのに今はもう相棒となっている男をみる。随分とお互い懐に入ってしまったものだ。視線に気づいたのか「ナマエ?」と私を呼んだ彼の手は大きい。その手はあの人を思い出すから好きだ。しかし、彼はあまり誰かを重ねられてよしとはしないだろう。いいや、と言葉で区切り葉巻に火をつけようとする。その時だ。マスターと聞き覚えのある小さな声で呼ばれたのは。そちらを見れば捕虜だろう人たちが見えた。その中には白銀の見知った顔もある。マスター、とか細く呼んだ彼は助けを願うように私を見て、駆け出しーー私の手前で両膝をついた。神さまに願うように、あぁ、マスターや、ほんものの、マスターや、と繰り返した彼に何と返そうか迷っていれば彼は両手で私の手を掴む。隣にいるドライゼが彼と私を見比べた。
「マスター、ワイはマスターの元に帰ってきたで。ワイはあんな小娘がマスターやない。マスターはワイを見つけてくれたマスターだけや。あぁ、やっぱりレジスタンスにおったんやな。アインスとファルがな、レジスタンスの戦い方が変わったからもしかしたらっていっててん」
ややこしいことになったな、と頭を抱える。それをみてヒュッと彼は息を呑んだ。
「いやや、マスター、見捨てんといて。マスター、マスター、置いてかんといて。あぁ、あかん、失望させてしもた、マスター、いやや」
錯乱する彼にそっと手を伸ばす。少しぐらいは力が残っているだろうか。そっと目に蓋をする。
「ゴースト、よくやった。今は眠りなさい」
そう告げれば彼はコテンと力を無くしたように眠った。はっきりいって頭が痛い。古銃からの視線も痛い。友人がかけて来ようとしてーーブラウン・ベスに止められた。ただ一人、沈黙を破ることを許されたかのようにドライゼが口を開く。ナマエ、どういうことだ、と。
「気づいたら皇帝に拾われていて、マスターをしていたのは確かなんだが、ある日その地位を奪われてな。新米を集めた場所ーーまぁ上の捨て駒にされて今に至る」
そう葉巻を蒸しながら告げる。聞いてないぞ、と言った周りに言う必要がないと判断したからだ、と率直に言った。
「地位を奪われたって、何故」
「力が彼女に移った、というのか、彼女の方が力が強かったというのか。あと、彼女は皇帝のお気に入りだった、と言えば理解できるか?あそこは良くも悪くも皇帝が力を握ってるからな、そういうことは珍しくない。元々ゴーストを含む彼らはたしかに私が率いていた。正しくは歯止めをかけていた。彼らは命を奪う感覚を好みすぎている」
「……最近、アイツらが虐殺紛いに動くのは」
「それはあの子の命令もあるだろう。私はあの子の下す命令を聞いて、ああこれはもう馬鹿のする戦争だなと見切りをつけた。まぁ、皇帝もそういうのを好む」
葉巻を灰皿に押し付けてぼんやりとする。
「ゴーストが喚いていただろう?レジスタンスの戦い方が変わったのをみて私がこちらにいるんじゃないかと思った、と」
「あぁ」
「私はできるだけお互いの被害を最小限で抑える作戦を立てる。少数で動くのは敵に察知されにくく、また、統率も取りやすいからだ。でも、彼女は力を見せつけたくて虐殺を好む。その反動を理解していない。戦争は被害を増やせば増やすほど、その反動が大きくなる。レジスタンスに志願する奴が増えたのはそういうことだな。私は向こうに戻る気はない」
その言葉にいくらか安心したのだろう。この時の私はまだ知らない。元部下からゴーストのような感情を向けられていることを。
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絶対高貴になれば、自分達は捨てられなかった?
それは全員が全員尋ねることだった。そして、一部はこうだ。貴女が戻らないのであれば、自分達が貴女を殺すと。貴女は自分達のものなのだと。そんなことを言うたび、こちらに馴染みつつあるゴーストがマスターを殺したらワイがお前ら殺すといい……。
「頭が痛い」
「ナマエ、大丈夫か」
そう首を傾げた彼の距離は近い。そっと頭を撫でてみせた彼に息を吐いた。彼も彼でナマエはレジスタンスの一人なのだから、そうはさせないと言うのである。大きな手は、あの人を思い出す。ので、自然と甘えるように動いてしまう。それは勘違いを招くと理解していながら。近づいてきた顔に、どうにでもなれ、とそっと目を閉じる。大切そうに触れる彼に、自分は最低だと心の中で自嘲した。
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「向こうのマスターのことは考えなくていい。あの子は恐らく自滅する」
ナマエはそう言って頬杖をついた。自滅?と首を傾げた私たちに彼女は頷く。側にいたゴーストがそやろなぁと興味がないかのように呟いた。
「何故そう思う?」
「あの子は戦場に来ることがない。戦場の有様を知らない。だが、いつかはあの子は戦場に立たなければならない。アイツらはいつも通りにあの子の言う通りに虐殺するだろう。それをみて精神がもたない」
葉巻に火をつけた彼女はそれを蒸す。
「人の所為にするだろうがーーどうであれ最後には向き合うしかない。時期に現代銃達を怒鳴るだろうな」
「マスター、マスター、もう既に怒鳴っとるで、アイツ。ワイらが言うこと聞かへんから。思い通りにならへんからって」
ゴロゴロと猫のようにゴーストがナマエに寄る。
「ワイらなんていい方で、アインスとかファルとかは作戦たてんの一任されてるから余計や。ワシはそのうちあの中の誰かがアイツ殺すと思うわ」
「……なんでしたがってるんだ、そんな奴に」
そう尋ねたベスにゴーストが首を傾げた。
「マスターが、この子が新しいマスターやからよろしくしたって?って言ったからちゃう?」
「言ったっけな、そんなこと。今日から皇帝の命令でマスター変わるしよろしくしか言ってない気がする」
「そのあとに、わからんことあったらワイらがどうにかしてくれるやろっていってたやん」
「形だけでもお前を世界帝に置いていればよかったものを。その娘、馬鹿だな」
「マスターが側におったらみんな小娘よりマスターの言うこと聞くわ。阿保やとは思うけど」
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気づいたらいたその場所で、生き方を教えてくれた人。父親のようなその人が大好きで、大切で、その大きな手に安心して、同じ世界で生きて同じ世界で死んだ。いや、正しくは死んだと思った、だろうか。
ーーそう、小さなころから戦場で生きていたから、その生き方しか知らない私は歪だろう。誰かの命がそばで落ちる感覚に、命の危機の感覚に、依存性を求めてしまう私はまともではない。それを理解するのは同じように生きた人だけだ。
「君達は誤解している。私は常識人の顔を被った狂人だよ」
「またそんなことを」
「逆に聞くが、子供の頃から人を殺している人間にまともな感性があると思うのか」
カチリカチリとライターで葉巻に火をつけようとする。周りはえ、と私をみた。
「あいにく、私は君達のマスターとはたしかに友人であるがーー育ちは全く違うのでね。気づいた頃にはもう人を殺していたよ、兵士としてね。いいや、あれは大人の都合のいいおもちゃだな」
「おもちゃ?子供が?」
「子供の兵士は最前線に送られるのさ。私の友人は、敵兵に向かっていって死に、大人に盾にされて死に、囮にされて死にーー地雷原を歩かされて死んだよ。いや、まだそれはマシか。兵士として彼らは死んだ」
「マシだって!?何処が!」
「別の友人は、大人に嬲られて死んだ。子供は、暴力、性欲、そんなものを満たすおもちゃだよ。驚くことじゃない紛争地帯ならザラにあることだ。」
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欲しい。欲しい。欲しい。マスターが、欲しい。ああ憎らしい。旧式のくせに、愛おしそうにマスターに触れるな。名を紡ぐな。許されているのは俺たちだけだ。ああ憎い。憎い。憎い。殺して仕舞えば側にいれるのか。いいや、殺したら腐ってしまう。では手足をもぎるか。足の腱をきってしまえば歩けまいが俺たちを持つことができる。迎えに行かなければならない。こんな、小娘なんかではなく俺たちのマスターは彼の方だ。あぁ、そうだ。連れ去ってしまえ。誰かを捉えれば彼女はきっとやってくる。隠してしまえ。彼女を。閉じ込めてしまえ。鳥籠の中に。そうすれば、きっと。
「っぁ、あいんすっ、」
ぎしり、と寝台が音を立てる。絶え間なく漏れる押し殺したような声に目を細めた。首筋についたアトは誰がつけたものかは知らない。自分ではない。だから、その上からかぶせてやった。喘ぎを漏らすマスターは、快楽でドロドロと思考を歪ませてきたマスターは、子供が甘えるように撫でて欲しいと言わんばかりにすり寄った。あぁ、いい子だ、と囁けば、それに反応したように締め付けた彼女の中に欲を吐き捨てる。
「このまま、俺たちと一緒にいような、マスター。マスターは俺たちのモンだ」
そう、願うように告げたというのに、彼女は。
「酷いな」
私の何を見てかは知らない。ドライゼがそういって私を見た。何が、ととぼけたように言えば彼は眉間にシワを寄せてやってくる。歯型、跡、引っかき傷、そんなものを羅列した彼はこちらを心配したように見下ろした。いや、心配というよりは嫉妬が入り混じった瞳だ。
「誰につけられた?」
「逆に誰だと思うんだ?」
「アインス」
「断定か」
「ゴーストに仲は聞いてる。酷い跡だな」
そう顔を近づけた彼に私は目を伏せる。彼らはどこまで人に近いのだと他人事のように思った。
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「女狐」
そう私を指したのはあの少女である。目には嘲笑に似た何かが宿っている。私はそれを見てまた嘲笑で返す。
「知らないのか。狐は結構獰猛だぞ」
少女はクスクスと笑ってみせた。
「私、知ってるのよ。貴方、居場所がないんでしょう。親に見放されーー貴方の友人達はみんな死に、貴方の大切なパパは貴方を捨てた」
ピクリと反応したのがわかった。反応してしまったのがわかった。
「どうして知ってるの?っていう顔ね。神様に聞いたのよ。貴方がアインスやドライゼと仲がいいのは、貴方は『パパ』の影を追ってるだけってね。あぁ、可哀想、貴方がもう少し可愛げがあればパパに捨てられなかったかもしれないのにね」
嘲笑う彼女に、違う、と小さく呟く。記憶の中であの人が私の頭を撫でる。
「違う、あの人が、私を捨てるはずなんか」
「どうして?貴方は見捨てられたんでしょう?必要なくなったんじゃない?貴方なんて」
「違う、あの人はそんな人じゃない、私は、違う、あの人は、」
頭がグチャグチャと、掻き回されているような。頭を抱えて彼女をみる。違う。あの人は私を否定なんかしない。あの人は他の大人とちがうのだ。ああだめだ、やめろ、昔に戻ってはいけない。理解は、しているのだけど。
「ひっどい顔。これがアンタの本性ってわけ?パパが大好きなのね、気持ち悪い。パパは戦犯なんでしょ、大罪人なんでしょ、なんでそんな奴を好きになるのかわけわかんない。貴方には正義なんてものはない。死んだって誰も何も言わない」
周りが黙り込んだのか、彼女のヒールの音だけがやけに聞こえる。思考が鈍る。違う、あの人は。あの地獄から手を差し伸べてくれたあの人は。あの人こそが。ピタリと考えを止めた思考に少女をみる。
「正義だって?私がいつそんなものを掲げた。馬鹿馬鹿しい考えを」
そう髪をなで付ける。最後に足掻いているかのように。
「正義を語れるのは常に勝者だ。勝者の言い分こそが全て正義になる。レジスタンス側が勝てば君達は戦犯となり、そして逆も然りだ。私は正義じゃない。そんなもの掲げていない。掲げるわけがない。私は戦争の道具だ。でも、自分の意思で戦場にいる」
ヘラリと笑う。あぁ、だめだ、思考が、昔に、引きずられる。目の前が霞む気がした。
「あの人が私を捨てるはずなんかない。あの人は私に最後、なんと言った?お前なんていらない?違う。お前は邪魔だ?違う。お前には」
記憶の中で。
「お前には未来がある、お前はここで死ぬべきじゃない、お前は先を生きる権利がある、幸せに生きる権利がある」
あの人が、告げる。
「お前は老兵とともに死ぬべきじゃない」
そう言って彼は私を逃がそうとしたのだ。そう、逃がそうとしたのである。それを破ったのは誰だ。頭がひどく痛む。
「でも、その言いつけを守らなかった子供は誰だ?ああ、私だ。私は言いつけを守らなかった。あの人が死んでしまうのに生き永らえようとは思わなかった。だって、あの人がいないとなにもできないからだ」
「そう、じゃあ、貴方は悪い子ね」
彼女はそう言った。私は彼女の言葉に彼女をみる。
「うん、そうだね。悪い子だ。悪い子は、嫌われてしまうね?良い子でいないと、嫌われて、死んでしまうね?でも、私は大人の言いつけは必ず守るいい子だよ?」
こてん、と首をかしげる。友人を嬲り殺した男が告げる。私は。
「『私』は『良い子』だから、悪い子に『お仕置き』しないとね。悪い大人にも、忠告してあげないとね。あぁ、でも、私も悪い子だね、約束を破ってしまったから」
「なに、よ、あなた、」
ニコニコと笑えば彼女は少し驚いたように足を下げる。
「あぁ、君も悪い子だ。あの人を悪くいうなんて、悪い子に違いない。あぁ、悪い子。いつも見たいに良い子でお飾りに徹していたらよかったのに。君は幾千人もの人を殺した。罪悪感もなにもない。君は命令を下しただけ。何も知らない。何も知らない悪い子。君は与えられた役割もこなせない悪い子。神様にお願いしないとね?ああ哀れな私に救いをって」
足を詰めて、彼女を見下ろす。この子をどう殺そうか。そう、淡々と見下ろす。ひっ、と息を飲んだ彼女を蔑み、なんて、なんて言葉を吐いて目を伏せた。
「一つ言っておくならば、これ以上あの人のことに触れるな。お前が名を、存在を紡いでいい人じゃない。次にあの人のことを何か言ってみろ。殺す。私の来歴に触れても殺す」
「はっ、できるものならやってーー」
みたら?と続く前に彼女の腕をひっつかんで折る。叫び声など気にしない。のたうちまわって、殺すと喚く彼女を見ることもなくなにも動かない現代銃を見る。
「サッサとお姫様を連れて行け。邪魔、目障り、」
「殺しなさい!なにやってるのよ!はやく!!」
そんな声にアインスが動く。ドライゼがハッとしたように私の前に立つ。しかしながらアインスは彼女を引っ掴むと引きずった。
「『マスター』の命令だ帰るぞ」
長いコートを翻した彼は彼らを率いて帰る。満面の笑みでひらりと手を振ったきるちゅにため息をついて振り返した。
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神様にお願いして、貴方達を前の姿にしちゃった、とはあの少女に言われた言葉である。懐かしい、とは思う。ただの戦闘服だ。少し違うのはここにいた時よりも小柄なことと、髪が白髪混じりのこと、目の色は……変わらないが隻眼である。懐かしい視界に、溜息をつく。チラリと友人であるマスターを見れば、彼女は彼女でまた知らない姿になっていた。まぁ、知らない姿というよりは髪型や服装が変わったくらいか。
「ナマエが子供になった……?」
その言葉に、仕方がない、と泣き真似をする。俯いて目をこするように。
「ここどこ、パパはどこ、」
チラリと少女を伺えば彼女は勝ち誇った笑みを浮かべた。周りは固まったけど。いまがチャンスとばかりに捉えようとしてきた世界帝の兵士をのす。というか、CQCを使って無力化する。服装が昔に変わったからか動きやすい。リーチは短いが体は軽い。あっという間に目を回した敵の上に座り葉巻を取り出し口に咥えた。小さなピストル型のライターは狐の友人からのプレゼントである。
「なんてな。こう見えても20代だ。よろしく」
ヒラヒラと手を振れば誰かがポツリと「合法ロリ」と呟いた。友人と……89を見れば目をそらしたということは彼だろう。やぁん、マスター、ぼくと姉弟みたい〜とはきるちゅの言葉である。はっとした友人が、「ナマエ、帰ってきて!」というので重い腰をあげようとしてーー感じた違和感に周りを、空を見る。
「ナマエ、まさか」
「敵味方関係なく全員建物の方へ退避しろ!」
「ナマエ、?」
「いいからはやくしろ!!上から攻撃がくる!!おそらく双方関係なく攻撃するつもりだ!アインスは出来るだけ上に登れ!」
ヘリの音がする。低空で飛ぶ音だ。建物に急ぎ出す周りを見て、同じく空を見上げた眉間にシワを寄せてアインスをみる。
「アインス、ヘリの撃ち落とし方は教えたな」
「あぁ、」
「操縦士をやれ。ファル、補助を」
「えぇ、かしこまりました!」
「89、お前はミカエルの手を引いてやれ。お前らは待機。ベルガー、きるちゅ、エフ、ナインティ、ホクサイ、ゴースト、空からだけで終わると思うな。身を潜めろ。合図はだす」
その言葉にすぐさま配置に着く彼らはさすがというか。
「古銃はマスターを守れ。今からくるのは」
ヘリの音がする。
「慈悲も何もない殺戮だ」
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はっきり言って言うことを聞かない奴に手を差し伸べる余裕はない。始まった機関掃射にそこは地獄へとかした。ケンタッキーライフルを奪うように借りて、上の階で息を殺す。スコープはない、が、やるしかない。部屋に入ろうとした誰かをドライゼが止めた。集中する。フッと息を吐いて引き金を引く。頭から血を吹き出して倒れた機関銃の奏者、それから程なくしてヘリは落ちるーーのでそこにいたドライゼ達をひっつかんで爆風から身を守る。炎、煙、そんなものを感じ、弾き飛んだガラス窓から外を伺えば外は地獄だ。肉の焼けるような臭いがする。次、攻めるとすればどうするか。
「撤退戦は苦手なんだがな」
そう小さく舌打ちをして煙の先を見た。
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褒めてほしい。めちゃくちゃ褒めてほしい。友人や私、現代銃は全員無事だし古銃もレジスタンスも無事なの褒めてほしい。世界帝兵士は一部損害が出たが大まか無事である。ちなみにやってきたのはどう見ても別のやつが率いてた部隊です。ありがとうございます。ということは、である。
「きるちゅ」
「なぁに、マスター?」
「ちょっと貸して」
「いいよぉ」
そう手渡された銃を真上に向ける。そして天井一列に乱射すればあガッという悲鳴がして血が垂れてきた。ファルがそこを見上げる。
「おや、誰かいたんですね。殺しましたか、マスター?」
「さぁな、当たりどころによるだろ」
ナイフで上部の天井を切り内側に引きずり込む。まだ息をしてるし、やはり服に描かれているマークはそいつが率いていた部隊のものだ。
「あ、いや、だ、ころさないで、ころさないでくれ、」
そう喚く彼の元から音が聞こえた気がした。嫌な予感がする。
「あぁ、あぁ、どうか、じひを、じひを、」
「今手当てを」
助けをこう彼に手当てをしようとした友人を止める。
「……お前はなんと命令された?」
「この、トラックに、しがみつけと」
小さく呟かれた言葉、未だ耳障りな時計のような音。
「アインス、ファル、捨てろ」
「わかった」
「わかりました」
そう二人が動くのをみて、友人や貴銃士たちが私をみた。
「おい、まて、なんで」
「はやくしろ、時間がない」
文字通り、ポイっと投げ捨てた二人にトラックを走らせる世界帝の兵士に声をかける。
「出来るだけ距離を取れ」
「はっ!」
「おい!アイツは助けを願ってるんだろ!なんで助けないんだ!」
「アイツは助からない」
「どうして、今ならまだ!」
「無理だ」
泣き叫ぶ彼が離れていく。時計が12をもうすぐさす。
「一般兵は一応対ショック姿勢」
そう言って彼のいた方を見る。全員がこちらをみた。友人の目をせめてでも隠してやる。時計が12をさしーー爆発音が響いた。
「な、んで、爆発、」
「う、ぇっ、」
誰かが両手で口を覆うのが見える。レジスタンスも、貴銃士も、世界帝の兵士も。何が起こったのか理解できていないかのように。友人の目から手を離せば、彼女は怖いものを見るかのように私をみた。
「なに、が、」
「アイツに爆弾が仕込まれていた。それが爆発した」
「服に、ついてたなら!」
「アイツは丸腰だったし戦闘服を着崩してもない。服じゃない。装備に付けられたわけでもない。本人は恐らく何も知らない。自分を責めないでいい。アイツは助けられなかった。割り切れ」
「爆弾を外せば、助けられたじゃないか!」
「無理だな、お前は、3分も満たない時間で、体内にある爆弾を取り出せるのか?それも、爆弾処理をしながら。一歩間違えばトラックの中にいる全員が死んでるし、なにより君たちの大切なメディックが一番中心地に来ることになりメディックは形さえも留めることなく死ぬ。さっきの場合、1を取るか多数を取るかだ」
私の言葉に彼らは顔を青くする。
「私たちは昔の戦争を知らない。今の戦争は貴方達がしるよりももっと悲惨で酷い。慈悲を持つなんてごく限りで、多くの兵士は極度の緊張状態によって精神をやられる。世界帝が支配する前は戦争法なんてものがあったが、今はない。特に世界帝では兵士の命は上官に委ねられる。アイツは上官の運がなかったからああいう風にされたわけだ」
「こりゃ傑作だね。アイツは、上官に人間爆弾にされたってことか」
「紛争地ではよくある手段だな。お前は真似するな、ホクサイ」
そうグリグリと頭を撫でておく。そんなことしないよ〜と言ったが事実はどうかわからない。
「あのマークは確か、マスターの知り合いが上官では?」
「正しくは紛争か何かで精神がイかれた私に執着してるやつだ。今回のもおそらく皇帝が動いたんじゃなくてアイツの独断だな」
葉巻を取り出して火をつけようとすれば、そばにいたファルがつけた。相変わらず準備がいい。
「でも、マスター、どうするん?」
「さて、どうするか……このまま追っ手を振り切りたいが……」
「そういえば、自称マスターのあの子は死んじゃったのかしら」
「墜落した場所に近かったですし、生きていたら奇跡では」
「よし」
満場一致であるかのようにそう言った彼らに、おい、と突っ込む。なにが、よし、だ。そんなに嫌だったんだろうか。ため息をつき、考える。確かこの辺りには人がもう住んでいない廃墟の街があったはずである。
「このまま南東に進めば確か廃墟の街があったはずだ。迎撃するにしても世界帝とレジスタンスが別れ流にしてもそこがいいだろう。世界帝の別部隊に接触しないとお前たちの扱いがわからん」
そう言いつつやっとこさ腰を落ち着けた。
==長くなった。多分89は専守防衛のやり方を教わってる
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