2022/12/31
2022年度没ネタ整理40
・政府特定人物=刀さにの娘/息子がいる世界線
・第一世代/本霊・分霊の子に関わらず刀剣の身を与えられたり与えられなかったりする。政府からは刀剣と同じ扱いをされた(今回の主人公ここ)
・第二世代/基本的に本霊の子しか刀剣の身を与えられない。刀剣の身を与えられたものは刀剣、与えられてない人は審神者の扱い
・第3世代/本霊の子にした刀剣の身を与えられられない。全員審神者教育を受ける(525600の小豆兄妹はこっち)
・苗字ナマエ/羽衣国永
分霊鶴丸と審神者の間の娘。もはや刀剣女子。昔、実家本丸が強襲された結果壊滅し一人生き残り、漂流していた。今は身元政府預かり、なおかつ政府の役人として働いている。漂流時代に流れ着いた徐庶を拾って撃剣を教わったたり色々した。撃剣楽しいってなった結果、仲が良かったけど折れてしまった刀剣を鏢にしたうえに自分の本体改造して撃剣にしてたら政府にめちゃくちゃ怒られた。問題児と言われるのはだいたいそれと日頃の行いのせい。
・押杵悠仁
分霊御手杵と審神者の息子。刀剣はないが、槍族に槍の扱いを教わってるので槍が得意。文系<理系寄り。ナマエとは一年から隣の席なので仲がいい。ちなみに父親は尻に敷かれているらしい。母親の初期刀は山姥切。第二世代。
・舎院利司
社会科教師。不運体質というか、審神者の素質があるがための怪異引き寄せ体質。政府は審神者にしたいのでナマエを派遣した。
・芦屋姫花/姫大橘
石切丸と審神者の娘。第一世代。大太刀の刀剣女子でもある。色々大きいドジっ子。主人公を羽衣ちゃんと呼ぶ。
・葛木天華/天華左文字
・土御門こう/皓月宗近
・杉谷みなも/水面月宗近
・紫の薔薇の人
ナマエが密かに仲良くなった海外で同じ業務している人。こっそりログを流してくれたりしている。チャットをしたり将棋をしたりするが、名前を教えてくれないためナマエが仮につけている。
・阿小鶏
紫の薔薇の人の知り合い。同じ業務をしている人。たまにチャットの会話に現れては仕事しなさい勧告して帰る。
==
うっわ、また厄介な事案引いた。そう頭を抱えてしまうのは仕方がない。いや、私も厄介な事案よく引くけど、この御年35歳の先生が事案を引きすぎる。この人の護衛(という名の生徒)になって数年たつが、七不思議とか色々、そりゃあまた色々あったけども。
「先生、またかぁ?」
そう声を上げたこれまた護衛対象の御手杵息子に、先生は「先生も好きで巻き込まれてるわけじゃない!」と起こった。好きで巻き込まれるやつはいないよなぁ、とおもいながらまわりをみる。どっかの城壁っぽいので、場所が移動したのは確かだろう。あんな術式見たことがない。召喚というよりは移転の術式だったが。
「苗字、なんとかならないのか?」
「先生、私のことなんだと思ってんの?というかここどこ」
そう言って周りをキョロキョロする。どう見ても日本じゃなさそうである。そこで、はた、と遠巻きでこちらを見てる人を見つけた。まぁ、向こうは武装してますけども。なんか服の色が全体的に青だったりする。私はとりあえず「人がいる〜」と無邪気に手を振る。なんだ?と騒ついた彼らに、とりあえず顔のいいお兄さんがひらりと手を振ったので、先生達おいてそちらに行ってみた。
「こんにちは」
「おや、可愛らしい子から声をかけてもらえるとは。こんにちは」
警戒心を表に出さない人である。あとは綺麗系な男性と温和そうなごっつい男性が同じく「こんにちは」と返してくれる。
「お兄さん達、ここはどこですか?あぁっと、名乗った方が礼儀としてはいいのかな?はじめまして、私は苗字ナマエと申します。気付いたらここにいたんですが、ここはどこでしょうか」
そう困った顔をして彼らを見上げる。彼らはふむと考えた。挨拶を返してくれた温和そうな男性が口を開く。
「違う世界から迷い込んだ、ということでしょうか……」
「……違う世界?」
なんだそれ。異世界ってことか??流行りの??いや流行りは転生だから違うな??綺麗系な男性が少し困ったように私を見た。
「話せば長くなりますが……」
こちらをちらりと見下ろした彼らに「……年長者連れてきましょうか?」と尋ねる。
「そうしてもらえるかな」
そう言った彼らに私は振り返る。先生〜っと呼ぶ前にツカツカ歩いてきてた先生が私の頭を殴った。
「痛い!」
「苗字、行動力があるのはいいことだがな、いいことなんだがな、お前が闇雲に動いて良くなった事例はあんまりにも少ない!」
まぁ、笑いながら人体模型ひっつけてきたりしたもんな。人体模型の太郎くんは結構いいやつなんだぞ。その隣にいる標本の方がやばい。頭をさすっていれば、大丈夫かい?と顔がいい人に言われたので私は彼の後ろに回り込む。
「おっと」
「先生ひどくないですか!初対面のお兄さんの方が優しいですよ!」
「お前はそうやってすぐに知らない人にホイホイ人についていく!」
「いやでもお互い見つめてても話は進みませんよ」
わりかと真面目にそう返せば、「それもそうなんだがな……!!」とワナワナされた。
「うちの生徒がすいません。ええっと、俺は舎院利司と言います」
そう言って名刺渡す先生笑える。どうみても名刺渡して理解する人ではない。
「これは、紙、か?」
ターバン巻いた人の発言におや?と思う。名刺を見ている彼らに先生が「えっ」みたいな顔をした。
「いえ、戦国側よりも精巧に加工されているようです。……また違う世界から迷い込んでこられたのでしょうか?」
「えっはっ?」
「あっはっはっ!ぎねちゃん!先生異世界トリップ引きよった!!」
ケラケラ笑いながら御手杵息子に報告すれば、「まじかよぉ」とやれやれ言いながらよってきた。
「あの、ここは」
「ここは許昌付近になるね」
「……許昌?」
「心当たりがあるのか?」
「あの、貴方達の名前を伺っても?」
「私は郭奉考」
「私は荀文若と申します」
そう名乗った彼らに私は目を瞬く。先生が一拍おいて、私たちをみた。
「苗字、杵、異世界トリップじゃないぞこれ、タイムトラベルだ」
でも移転は移転だけども時間遡行の移転術式ではなかった。
「先生、たぶんそれも違うと思うなぁ。彼ら、紙を見て戦国側って言ってたし、ただのタイムトラベルじゃないと思う。中国史の戦国時代ってもっと前じゃないですっけ」
「確かに周後期春秋時代の後だな。じゃあ戦国側の戦国っていつだ。十六国あたりか?」
「うぇー、歴史の講義かよ……案外日本だったりしないのか?」
「それちょっと面白いな。浪漫がある」
「そんなまさか織田信長とか豊臣秀吉がいるわけ」
ないでしょ,と言おうとすれば、「いるよ」とスーパー顔がいい郭奉考こと郭嘉さんに言われた。嘘だろおい。
「は?え?本気で言っていらっしゃる?」
そう郭嘉さんを見上げる。彼は頷いた。嘘だろおい。
「織田の名前が上がるということは織田の軍勢なのでしょうか?」
「うーん、時間差で迷い込んだとか?」
「それにしては時間の差がありすぎでは」
私は郭嘉さん含む他を見てから嘘でないと察する。郭嘉さんをもう一度見上げる。
「は?え?なんでそんなことになってるの?なんで??」
「可愛いらしいお嬢さん、話せば長くなるからゆっくり二人きりで話そうか」
さりげなく肩を抱いた彼に?をたくさん飛ばす。いや意味わからないなこれ。日本史も中国史も大丈夫か。
「郭嘉殿」
「織田の群勢なら、織田に戻ってもらうのが一番では」
「ああいえ、俺たちは後世の人間なので属してるわけではないんです。文献で名前を知るぐらいで」
「なるほど,そうなのですか。では、詳しい話をした方がいいですね」
そんなことを言っていれば、ぎねちゃんのお腹がなった。荀文若、すなわち荀ケ殿がクスクス笑いながら手招いた。
「立ち話もなんですので、こちらへ。公達殿、楽進殿は曹操殿へ報告願えますか」
「わかりました」
先生の目が心なしかキラキラしてるけども!してるけども!!やばいぞこれは!!
==
とんとん拍子で魏にいることを許され、先生は知識が溢れているので曹操様や荀ケ殿達と話した結果、内政補佐に走ることになり、私達もまた先生に勉強を見られながら軍師ーズの手伝いをすることになった。働かざるもの食うべからず!らしい。たしかにそうなんだけれども。しばらくは監視もつくだろうから大人しくするしかないが、政府には私の生存と傍迷惑か仙人が作り出した異次元にいること及び歴史上の人物が集まってることを説明しなければならないわけで。いや、生存は私が鞄に入ってるお菓子食べればわかる。謎にお菓子を入れてる鞄は政府の私のボックス(通称菓子ボックス)につながっているため、減れば政府の人がお菓子を買い足してくれるのだ。減る=生きてると理解はされるだろうけど。そろそろ集中力が限界である。
「どうかされましたか」
「公達さん、そろそろ休憩がてらお茶にしませんか?」
そう尋ねれば本日の私のお目付役である彼はこちらを見る。
「適度な休憩は集中力の持続にいいそうで」
「確か、舎院殿も同じことをおっしゃっていました。ナマエの世界ではそれが普通なのですね」
「そうですね。郷に入っては郷に従えともいいますが……私がお腹減りました。ちょうど私の世界のお菓子があるんですよ、食べませんか?」
「菓子?」
鞄の中のお菓子を漁る。お、ひよこ饅頭入ってる。一文字のおじさんだろうか。木の小皿も入っている。いそいそと木の小皿を並べ、包みに入ったひよこ饅頭をのせた。
「ひよこちゃん饅頭です……」
「ひよこちゃん饅頭?」
うっわこれ可愛いな??ひよこちゃん饅頭って大の大人が言うの可愛すぎないか??
「包みを破くとひよこちゃんの姿をあしらった饅頭が出てきます」
そう言いながら私は自分の包みを剥がす。ほら、と、手のひらに乗せて公達さんにみせれば彼は目を瞬いた。
「こちらの饅頭とは違うようですね。たしかに、鳥のようです」
「あ,毒見した方がいいです?」
「かまいません」
私はひよこ饅頭は八つ裂き派(半分にちぎって食べる派)なのでちぎって食べる。やはりひよこ饅頭はおいしい。定番の美味しさである。公達さんは同じように包みを剥がすと、ひよこ饅頭と睨めっこして結局は同じように割って食べることにしたらしい。口に含んで目を見開いた。面白いなこの人。そしてじっくり味わったらしい。
「……甘いですね」
「菓子はだいたい甘くないですか?」
「ここまで甘いものはあまり馴染みがありません」
まぁ時代錯誤ではあるだろう。戦国時代が併合されてるのであれば甘味もあるとは思うのだが。
「美味しいです?」
「とても」
もぐもぐしてる荀攸さん可愛いなーとほのぼのしてしまったのは仕方がない。
==
「ピタゴーラ」
「スイッチ」
そう杵ちゃんと二人で先生に言えば怒られた。荀ケ殿にも人道的配慮をって言われたしな。いや伯寧さんにピタゴラスイッチの話とインディージョーンズの話はしたけど。ぎねちゃんは理系な節があるし、私は父親が父親である。伯寧さん?ずっと罠の設計図を眺めていますね。
「てってれってーてれれー、てってれってーてれれーれーれー」
「お前まさか巨大な石が追いかけてくるとかいう装置提案してないだろうな」
「話はした」
「ちゃんと人道的配慮として横に避けれる小道を作った」
「馬鹿野郎」
と,いうことがあったので基本的には伯寧さんに私達はついてはいけないことになっている。なっているのだが本人がくるので仕方ない。
==
「ひよこちゃん饅頭は美味でした」
可愛い〜!!と内心思いながら酔っている荀攸殿をみる。可愛い〜とほっこりしつつ、まだありますよ、という。この前見たら箱入っていたのだ。先生とぎねちゃんの視線がこちらに向いてるが知らん。空気を読め。空気を、よめ!!
「ひよこちゃん饅頭俺も食べたい」
「仕方ないなぁ」
そう言いつつひよこ饅頭を人数分並べる。
「これがひよこちゃん饅頭?」
「紙を剥くととりをあしらった饅頭が現れます」
そう言って荀攸殿がひとつ紙を剥いて荀ケ殿の手に置いた。眺める軍師可愛いすぎかな??
==
==
「郭嘉さーん、この世界に巻き込まれて何年目?」
夜中にこっそりデバイス確認していたら最近になってやばいことがじわじわ起こっていることが判明したのだが。それにしてはタイムラグがあるような気がするのだ。軍師達で会議中の休憩になっているようだったので割り込んでみる。
「すくなくとも五年はたってるかな?感覚が曖昧だけれどね」
そう告げた彼にやっぱりタイムラグがあると考える。いやこれ私達みたいな人間が来たからこの世界が確定されてこうなった可能性はある。
「元の世界に戻る方法はない感じです?」
「今のところは見つかっていないね」
「仙人とやらに聞いてもわからないんですか?」
「あぁ、彼女らもわからないようだ」
これはどうしたものか、と考える。いやこれ先生やぎねちゃんに言ったところでなんだけども。そうなんですね、とだけ返せば、何かあった?と尋ねられた。
「いやうーん……他の国に私たちみたいな人っているんです?」
「ちょうどいいねぇ、ちょうどその手の話をしていたところだ。蜀と呉に二人ずつ迷い込んだらしい」
「戦国には?」
「織田と豊臣、武田や上杉にはいないようですが、北条や徳川など他の国となるとわかりません」
と、なると、そちらが原因の可能性もある。しかしなんで五年前から別世界に彼らは集められていたのに今頃になって改変がおきてる??
「ナマエ,随分と考え込んでいるようだね」
「……郭嘉さんこれはただ興味本位で聞くんですけど、黄巾や董卓とそれに連なる将とか袁家の人たちとか、貴方達含む魏呉蜀の将がいなかった場合って漢の力を衰えずにいると思います?」
「その問いかけは面白いね。あの時すでに綻びはあった、けれど、そのままになっている可能性は高い」
となると、海外の歴史改変主義は漢王朝継続したいとか?と考えてみる。まぁ、主義者の理由なんてくだらないものや興味本位からさまざまあるし、私はあまり理解できないのだが。
ナマエそれがどうしたのかい?と伯寧さんがこちらをみおろした。変に疑われても困るので一部正直に告げる。
「いえ、私がいない私の世界のことを考えてたんですけど、私ってどこにでもいるような一市民なのでそうそうなんら世の中に関係ないと思うんですよ。でも、皆さん違いますよね?」
そう尋ねれば、彼らは目を瞬いた。ここにいない人は元の世界で何をしているのか,という問いである。公達さんが口を開く。
「なるほど、興味深い意見です。この世界に融合されていない人物はたしかにいます」
「魏でいえば帝ですね」
「はい。董卓がいない世界であれば長安はそのままですし、献帝も帝になっているかはわかりません。恐らく行進殿達も生きている」
「そもそも黄巾党の反乱もなくなるのか」
「となると、郭嘉殿の言うように綻びながらも漢室は続いている」
「どちらの権力が上回るかが問題だけれど」
さらっと同じ結論に出た彼らはふむと考える。公達さんが口を開く。
「しかし、その問いの答えはもう出ています。女媧殿がいうにこの世界に留まっていても元の世界は時間が止まっているようなものだから関係がないと」
「女媧?」
「たまにくる女仙の方です。そう言えば三人は会ったことがありませんでしたね。普段は仙界にいらっしゃいます」
文若さんの説明にじゃあ会えないのか、と頭をかく。というかやっぱり外の時間とこの世界の時間の歩みが違ったのか。問題はその関わりがどうして綻んだかということだろう。時間が止まっているのなら問題はなかったはずだ。
「うーーん!わかりました!貴重な時間、ありがとうございます!これもみじ饅頭っていう菓子です」
そう言って紙の包みに入ったもみじ饅頭をおいておく。もみじ饅頭とは?みたいな顔をした周りに、「私の世界のお菓子です」とかえす。公達さんが「ナマエのお菓子はどれも美味です」と告げて饅頭をとった。可愛いかよ。
「ついでにナマエに聞きたいことがあるのだけれど、最近化け物が現れるようになってね」
「舎院殿走らないようなんだが、化け物ならナマエならわかるかもしれないと言われたんだが何か知ってるか?」
賈詡さんの言葉に、化け物?と首を傾げる。饅頭の粕をつけた伯寧さんが口を開く。
「虫のように六足だったり、蛇のようだったり、骨を組み合わせたようなものだったり……なによりも奇妙なのは死骸が残らないんだ!」
うっわ、それってもしかして:遡行軍、では。ということはやはりこれは改変主義者が噛んでるのか?と思う。しかし私のデバイスの警告音作動してないんだよな。
「……許昌周辺にあらわれてますか?」
「このあたりには現れていません」
となると、私のデバイスの警告はいきていると思われる。
「見てみないと確証はないですね。とりあえず私が知ってるやつが許昌には出ないように細工していいなら細工します」
「細工?」
「まぁ魔除けの類です。結界って通じるんでしたっけ?出にくくします。ろくに働いてないのでそのことは働きますよ」
そうガッツポーズをすれば、郭嘉さんが少し考えて口を開く。
「では、お願いしておこうかな?」
「あ、あと待って」
もみじ饅頭の紙しかないな。仕方ない。それに結界とかの術式を書き入れて折り鶴にして五人に渡しておく。
「外でもこれで攻撃防いだりしたら私が知ってるやつです。簡易的ですけど。私はさっそく城壁に沿って結界を張ってくるので」
「私もついていこう。あまり城壁付近は見に行ったりしないだろう?」
「素直にお願いします〜」
郭嘉さんの発言はまぁ見張も兼ねてだろう。伯寧さんが私もついていくよ!と言ったのでそのまま五人で移動することになりそうだ。
==
結界はるついでに情報探知組み込んだら通信が安定したのだが、それと同時に歴史改変の警告たくさんきて笑った。なにこれ。日本戦国以後重要人物不在により改変ばっかだし、中国の方もやっぱり改変が増えてる。やっぱ外の時間動いてるんだよなぁ、全員生かして元の時代元の場所に配置しないと詰むやつじゃないか。時代ばらけすぎ。郭嘉さん魏の初期だけど司馬一族後期じゃん。むしろ晋じゃん。どうすんだこれ。デバイスの表示を消して、悶える。一応身内とも言える政府の人には重要人物と事件?に巻き込まれて異世界にいますとだけ送った。そんなメッセージチェックしてる暇はないだろうが。
「あーー、わからん。なんでこの世界……は、最強仙人の道楽だけどそれもまとめないといけないし、そもそもなんできたかわかんないし、なんかわからなすぎて笑えてきた。無理」
そう寝台でゴロゴロする。何から手をつけていいかもわからん。
「わかんないからチート軍師に相談……いや話を聞くに夜はあの人女遊びかお酒飲んでそうだしな。文若さんとか公達さんは夜中に女の子が出歩くのはダメって叱りそうだな?伯寧さんは罠開発で籠るっていってたし熱中したら周り見えない感じだし……一番軍師軍師してる賈詡さんか?」
思い立ったが吉日というし、むくりと立ち上がり服を適当に男装っぽい服をきる。そのまま一応寝れないので散歩いってきます〜と声をかけ外に出た。ところで賈詡さんどこだ。
全員で飲んでるんかーい。へべれけ先生とぎねちゃん笑うわ。そっと屈んで先生の後ろに近づき、背後にきてから勢いよく立ち上がった。
「仲間はずれ反対なんですけど〜」
「うわっ!?」
「はっ!?」
しまった、隣の公達さんに飛び火した。よぉ〜、ナマエ〜とご機嫌なぎねちゃんの皿から肉まんを掻っ払う。知らない人もいるけどゆるしてくれ。
「酷いな〜、私にお誘いないとか悲しいなぁ」
「ナマエに声かけようとしたけど、たまにでる物思いに耽るナマエだったからやめといたんだよ〜」
おっと考え事中だったらしい。まだ素面な文若さんが口を開く。
「ナマエ、女性の夜間の外出は……」
「絶対それ言われるから荀家選択から排除して賈詡さん探してたんだけどなぁ」
「私ではなく?」
何気郭嘉さん私がよく聞きにいくの理解してるんだよな。あー、今日も素晴らしく顔がいい。
「郭嘉さんこの時間お楽しみ時間だからあんまり近づかない方がいいかなって。まぁ、みんな飲んでるならまた今度でいいや。撤退しよ」
「何かあったのか?」
「いや、たまに考えすぎてダメになるから頭いい人に話聞いてもらいたかっただけ」
「私はいつでも大歓迎だよ。なんなら夜通し、でもね」
そう言った郭嘉さんに「いや郭嘉さんとそんなことしたらは町中の女の子に刺されてもおかしくないから」と言えば面白そうにクスクス笑われたが。おもしれぇ女感を出してしまったか。すまん。
「……羽衣?」
そんな言葉にそちらを見る。緑色のお兄さんがいる。見たことあるなぁ、と、じっと見ていれば、「あぁすまない、君に似た女の子を知っていて」と言われた。もしかして:わたしがちっちゃいころに迷い込んできたお兄さんで撃剣師匠。ぱぁぁっと目を輝かせてしまったのは仕方がない。
「徐兄!?」
「えっ、」
「徐兄だ!!徐兄、なんでここにいるの!?また迷子なの!?魏にいるの!?」
わー!と言いながら彼の周りをぴょこぴょこする。大きくなったね、と言った彼は隣の椅子を引いた。
「髪の色は染めてしまったのかい?目の色も……」
「いやだって化け物みたいって言われたら嫌だし……」
「俺は好きだったんだけどな……」
「えっ嬉しい!」
「……ナマエ、徐庶殿と知り合いかな?」
「私が小さい頃、庭に落ちてたんですよ!って、徐庶?」
「俺のことだよ」
「あれ?徐福じゃなかった?」
「名前を変えたから……」
私は固まる。漂流時代だから変な場所につながってたんだろうか。
「ん……ん??」
「徐庶殿に聞いたほうが早そうだ。徐庶殿はナマエの知り合いかね?」
「ナマエ?」
「私の今の名前」
「ああ、えっと、数年前になりますが、俺が妖魔に追われて行方不明になったことがあったでしょう?」
「ありましたね。確か、そのあと加勢にきていただきました」
「その時に羽衣……幼いナマエの家の庭で倒れたみたいで。なんやかんや過ごして戻ってきたんです。そのあと行こうとしましたがたどり着けなくて。太公望殿にきけば、恐らく世界が繋がってすぐ離れたとかなんとか……羽衣、桃饅頭食べるかい?」
「食べる〜」
そう言いつつもらった桃饅頭をちびちび食べることにする。
「は?えっ?苗字?先生は混乱しています」
「そっかぁ〜私も色々混乱してますけど、一周回ってまぁいっかってなってる」
お酒はどうかな?と前の席から勧めてくる郭嘉さんに、飲んでみますといただく。
「ナマエ、それは全然良くありません。どうしてそうなるんです。第一、貴方は魏にいる立場であり、蜀の徐庶殿と仲良くしている場合ではありません。俺たちだったからよかったものの、違う方なら間者と間違われることもあります。そもそも、貴方は徐庶殿でも俺たちでも舎院殿達でもなく、賈詡殿に用件があったはずではないですか。徐庶殿にかまけている場合ですか」
つらつらと話した公達さんは酔っているらしい。なにこれ。えっ、面白い。
「そういやお嬢さんは俺になにを話したかったんだ?」
「いやー、さっきも言ったみたいに結構頭の中混乱していて」
「それって化け物関連のことか?」
ぎねちゃんがそう言いつつ私の皿に料理をおく。私は残飯処理か?良かろう。
「まぁそれも含む」
「なぁ、ここだけの話、苗字ってやっぱり審神者関連の奴か?」
おっと〜、鋭いのがきてしまった。
「審神者?」
「杵、審神者ってあれか?あの神社庁関わってて歴史を守ってるっていう謎組織」
一般的にはそういう考えなのだろうなぁ。
「それだよ、もー、先生とは長い付き合いになる気がするしぶっちゃけると俺それの息子だし、未来は確定で審神者なんだけど」
「審神者の息子。未来は確定で審神者」
「ナマエは結構そこの奴らとおんなじ感じ纏ってんだよなぁ。術とかにも詳しいし。この際だし、腹割って話そうぜ。実際どうなんだ?」
そう尋ねたぎねちゃんに頬杖をついて、人差し指を口元に持ってきて綺麗に笑う。
「女は秘密を着飾って美しくなるんだよ」
と、かっこつけたところでキャラじゃないなーと思ったので机に伏せておく。
「ってかっこつけて言いたい人生だった……」
「……それを言わなきゃ様になってたんだがなぁ」
賈詡さんの言葉に私はムクリと起き上がる。
「生憎、私の性格ではないので。よし、色々ぶっちゃけたほうが楽だしぶっちゃけよう。そうだよ」
「やっぱりかぁ。ならさー、文若さん達がいってる化け物ってやっぱり遡行軍だと思うか?」
「見たてないから断定はできない」
ぎねちゃんの言葉にそう返す。が。
「でもその確率は高いと考えてるから許昌一帯に結界張った。もし本当に遡行軍ならしばらく入ってこれない」
「それってもしかしなくとも昨日からだろ?よくやるよなぁ」
「お前ら先生を置いてけぼりにするのはやめろ」
先生の言葉に、まぁ先生だけじゃないんだけどなぁ、と思う。机の上に指で術式を描き、とん、と叩く。すると、薄い絹のようなものが周りを囲ってすぐに透明になって消えた。
「今のは……」
「今から話すことはあんまり聞かれたくないことなんで、まぁ立ち聞きを防ぐものだと考えてください」
「どうやったんだい!?ナマエは本当に色々なことがでてくるね!」
「妖術とか道術とかとおんなじやつです。あと、先生もそのうち覚えないといけないことだから頭入れといたほうがいいよ」
そう言ったものの、どこから説明したらいいものか、と思う。うーん、空中に表示するとだな、ややこしいことになるんだよなぁと思いながら、ああそういや元の世界の謎の人に謎の技術教えてもらったんだったと思い出した。
「料理の皿を左右によけてほしいです」
「わかりました」
文若殿と徐兄が料理の皿を左右によける。私は徐庶さんと場所を交代してもらう。
「前提として、私の世界というのは貴方達からしたら随分先の未来になります」
「随分先の未来?」
「随分先かぁ、二百年後とか?五百年後とか?」
「もっと先ですよ。だいたい二千五百年後です」
伯寧さんの言葉に彼らは固まった。公達さんが「二千五百っ……!?」と目を見開いてる。面白い冗談だな、と賈詡さんがくちをひらく。
「驚いた。時の隔たりがあるとは知っていたけども、それくらい先とは思わなかったな……」
「知っていた?」
「最初に私たちに会った時、舎院殿はすぐにこちらの名前をきいて理解していたからね」
「二千五百年も時が経っているのに俺たちがわかるのかい?」
「貴方達がいた痕跡があるんだ。一つ目は後世の人で、貴方達を知る人々が貴方達に関する資料を残した。二つ目は民話として貴方達の国の民が語り残した。三つ目は一つ目と二つ目を混ぜて物語として残した。だいたいは三つ目を知ってるやつがおおい」
「痕跡がそこまで残るものなのですか」
「貴方達が昔の城を使うように繰り返し使ったりしてるのと、人間いつかは死ぬので墓が残ったりするのと、あとは当時の竹簡なんかがでてきたり残されたりします。漢字は私たちの時代でも使われてますので、解読できるんですよ」
「では貴方達は我々の未来も?」
「それは言いません。言ってはいけないのが未来の決まりです。私が言えるのは、貴方達の生き様というのは後世に愛されている。だからこそ語り継がれている。それだけです」
私はそう言ってから、まぁ気になるのはわかりますが、と告げる。
「まぁ、私達の時代に問題になっているのはそれです」
「それ」
「私たちの時代には、人間でないものが過去にわたることができる術が確立されています。元は文献の少ない時代や、資料をなかなか得ることができない民の情報を確認しより過去への理解を深めるために作られた術でした。しかし、興味本位で歴史上の人物に近づき、未来を教える人が出てきたんです」
「未来を教わって何かがあるのかい?」
「悪いことを教えられたらどうしますか?例えば、項羽に貴方はそのうち劉邦に殺されます。いつのいつごろなら貴方が殺せる、と言えば?」
「それはすごいことになるね!漢がなくなって違う国になってしまう!」
「それだけではありません。もし、うーん、言葉が悪いんですが、公達さんを恨む人が、過去に干渉して公達さんの曾祖父を殺してしまえばどうなると思います?」
「当たり前ですが俺は生まれてきません。親戚である荀ケ殿も……」
「はい、私も生まれません。後世になればなるほど消える人はたくさんいるでしょう……しかし、殺すのではなく生かすのであれば問題はないのでは?」
「生かした結果生まれた人が、本来生かすべき人を殺してしまったら?生かした結果結婚した人に本来結婚するはずだった人がいたら?その子孫が国を作ってしまったら」
「違う未来になるな。なるほどな、興味深い話だ。勝敗が未来をわける戦の勝敗が変われば、未来が変わるもんな」
ふむ、と考えた先生に頷く。
「で、その未来を変えたい人を歴史改変主義者といって、それを阻むのが日本では審神者という存在です。歴史改変主義者が過去を変えるために派遣してくるのが、さっきぎねちゃんが言った遡行軍という化け物です」
こういうやつ。
そう言って机の上に手をかざす。墨のような絵で遡行軍の姿が現れる。伯寧さんがちょっと嬉しそうに指差した。
「これだよ!倒したら消える化け物は!」
嬉しそうにすな。私は遠い目をする。
「うあー……遡行軍確定か……ああー、理解はできたけど面倒なことが確定してしまった。いやほんとにどうしよう。助けてほしい」
両手で顔を覆う。いやこれだって、うん。大変なことになるよ。
「……ここに遡行軍が現れる理由わかります?」
「……私たちを元の時代に帰したくないんだね」
郭嘉さんの言葉にぎねちゃんが「あぁ!」と納得した。納得すな。私はデバイスの画面を変え、警告画面にする。黄巾党の流れのとこならいいよね?オッケー!と頭の中の謎の人が告げたので、中国語表記のまま彼らに見せた。
「ここ、見てください。黒字が元の歴史、赤字が改変された歴史です」
私は黄巾の乱が起こった年数あたりを指差した。そこに注視した彼らは
「光和七年……黄巾の乱がおこっていない……?」
「それどころか別の乱が起こっているね」
「原因が民衆への苛政によるものだから、別の奴がたったのか」
ふむふむと考察する先生が先を見たそうだが、ここで終わらせておく。あっ、じゃない。
「対処するには全員を元の世界、正しい時間に戻すしかない、と」
「はい」
「各国に協力を仰いだ方がよさそうですね」
「いや……それだけではないのではないかな?」
郭嘉さん鋭いな、と思いながら口を開く。
「はい。私達が現れたことと遡行軍の展開がほぼ同時に起こっていることも同様です。誰か、改変主義が私達と同じように入り込んでるかもしれない」
「なるほど、だからこの前の質問だね。君たちと同じような人はいるか」
「はい。私達に疑いが向くのもわかりますが、私たちは誓って改変主義者ではありません」
「まぁそこは違う前提でしか動くしかない。やるべきことは二つか」
「いえ、三つです」
「三つ?」
「全員が元の時代に帰る術を探す、歴史改変主義者という人間を探しだす、全員を死なせずに元の時代に帰す」
戦、病、自死、それがどんな理由であれ、少なくともこの世界で彼らは死んではいけない。
3/1
Comment(0)
次の日 top 前の日