2018/03/02
↓ちょっと改変してみる
・流れは相変わらずな感じ
(ドギーの免罪が晴れたと思ったら実質同期が主犯格だった(デカ10)為、関係ないけども一年の謹慎処分中。サージェスミュージアムに爆竜と一緒に学芸員としている)
・新しいお店できた〜と思って入ったらジュレで常連客になっている。
・腐れ縁ことガイとできてるのかできてないのか不明確。
・図鑑を他人に譲ったのは主人公
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「来なくていいってば。はいはい、着る、だから、大丈夫だって」
そう言いながら入って来たのはこのお店ができた頃からの常連客であるナマエさんだ。通話を切ったのか、スマートフォンをポケットに滑り込ませた彼女はやれやれという風に何時もの席に座る。彼女が来る、ということは魁利ははやくに帰って来るんだろう。
「ナマエさん、今日は何食べらる?」
そう尋ねた私に彼女はいつものように「今日のおススメで」と告げた。
彼女、毎週同じ曜日、同じ時間に現れる苗字ナマエさんは謎である。私たちと同い年ぐらい、だけど、学生ではなく何処かで働いているらしい。たまにお土産、と言って渡されるものは国内外問わず美味しいもので、地球のものではない時がある。別の仕事ができて店を追い出されても怒らないし、あのコグレさんとも知り合いみたいだ。どこで知り合ったの?と軽く聞いても、職場であった、としか教えてくれないし。たまにちらりと覗かせるネックレスは誰かからの贈り物じゃないか、とは透真の推測である。なんやかんやおおらかで優しい人である彼女だから、私と魁利なんかはすんなりと受け入れてしまったわけで。透真くんに懐いたな、と言われてしまう。いい人なんだもん、と言ってもため息で終わるけれど。でも、ポツリと前に呟かれた言葉は本心かもしれない。
ーーもし、あの時みたいになったらどうするんだ、と。
でも、まぁ、魁利をブロークンさせるような言葉を吐くのはどうかと思うよ。
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「ナマエの首につけてるネックレスってさ、誰にもらったの?」
そう尋ねた魁利に、ナマエさんは目を瞬いた。ああ、これですか、と言った彼女が見せたのは完璧に指輪である。シルバーのごくごくシンプルな。よくよく見れば、錨マークが彫り込まれているらしいそれに、魁利と私は固まり、料理を持って来た透真が突っ込んだ。
「結婚指輪か?」
「違う違う、腐れ縁がくれた」
そう否定して見せたナマエさんに、その割にはガイからナマエへって書いてあるけどな、と言ってみせる。どれ!と身を乗り出した私たちに彼女はネックレスを外してくれた。
「婚約指輪?恋人?」
「そういう関係じゃないですよ、本当に腐れ縁がくれました」
「何してる人?」
「宇宙をウロウロしてる人です。たまーに仲間と一緒に帰って来てこういうの渡してまた宇宙に行くんですよ」
「友達ってこと?」
「……まぁ、そうかなぁ」
私の言葉に少し苦々しく答えたナマエさんは料理に手をつけた。恋人はなるほどいないらしい。よかったね、という意味を込めて魁利の背中を叩けば怒られた。カラン、と来客を知らせるベルが鳴る。はぁい、と私が返事をすれば入ってきたのはあの警察官だ。すっかり常連客になりつつある三人に、私は苦笑いをする。「三人」と言った一号に、案内すれば、二号がナマエさんに気づいたらしい。あ!と声をあげた二号はナマエさんに近づいた。
「貴女はサージェスミュージアムの学芸員さん!」
その言葉にナマエさんは振り返って三人を見る。あぁ、と何か思い出した彼女はナイフを置いた。
「国際警察のお巡りさん。その節はお世話に」
「いえ、お世話になったのはこちらの方です。それで、」
「例の盗品なんですが、七割の持ち主が判明したのでお返ししています。残りは損傷が激しいので手入れしつつ持ち主を探しています、が、恐らくは日本国内ではなく海外のものでしょう。また詳しくは報告書として渡しますね」
「ありがとうございます!」
そうニコニコと告げた二号に、三号が首を傾げる。
「しかし、どうして貴女がここに。ミュージアムはここから離れてませんか」
「この曜日は休日なもので」
そうへにゃりと笑ったナマエさんに、魁利がコソッと尋ねた。
「ナマエ、知り合い?」
「お仕事の付き合いって感じですね」
「実は警察官、とか?」
「博物館とかにいる職員ですよ。ほら、最近、国際警察と怪盗とギャングラーでなんやかんやしてるでしょう?」
「なんやかんや……」
「警察がギャングラーから押収した美術品の管理をしてるんです」
そうあっけらかんと告げたナマエさんはデザートに手を伸ばす。へぇ、と返事した魁利は一号を見た。未だに固まっている一号に、二号が頭を叩く。ハッとした一号はナマエさんを見て口を開いた。
「み、みみ、みょうじさんが、ど、どうしてここに!?」
「常連なんです。熱血お巡りさん、早く食べないと昼休み終わっちゃいますよ」
その言葉に首を上下に激しく振った彼は席に着く。これはもしかしなくても、一号はナマエさんにほの字なのでは。
「相変わらず面白いなぁ、熱血お巡りさん」
「あ、これ、ナマエさんが鈍いやつだ」
私の呟きに、ナマエさんが首を傾げたけれど。
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ナマエさんが知らない男の人と一緒に歩いているのをみかけた、と思ったらナマエさんとその男性が一緒に来店した件について。
少し年上であろう男性と一緒に何時もの席に座ったナマエさんは、今日のおススメ二つと頼んだ。
「あ、やっぱり高いやつにしよっかなぁ。明石さんの奢りだもんなぁ」
「あんまり高いのはやめてくれよ」
「じゃあおススメ二つで。で、さっきの話の続きなんですけどね」
そうナマエさんは話を続ける。恋人に一票、と告げた透真に、魁利が家族かなんかだろ、と呟く。たしかに、双方共にそういう関係に見えるのだ。
「そうだな、そういうものなら仕方ないとは思うが……」
「はい、ナマエさん、おまたせ」
「ありがとうございます、魁利くん」
「ナマエさんの、知り合い?」
「上司というのか、保護者というのか」
そう言ったナマエさんに魁利がこちらを向いてニヤリと笑った。
「まぁ、今は上司だな。昔は保護者だったが」
男性はそう言って、また二人は会話に戻る。ヨーロッパ云々、オーストラリア云々、太平洋云々と変わっていく話。文化財、遺産、危ないもの、展示品、聞きなれない言葉の羅列だ。
「じゃあ、ヨーロッパ支部から盗まれたルパンコレクションは持ち主の方に返す方向でいいんですね」
その言葉に私たちはピクリと反応する。透真の目線で魁利と私は料理を運ぶフリをして近づく。
「あぁ、そうだな。数値も高いそうだが……いや、数値が高いからこそ元の持ち主に返す必要がある。それに、この件に関してはヨーロッパ支部は信用できない」
「あぁ、なるほど、そういうことですか」
「そういうことだ」
「まぁ、今の所spdが動く気配はないし残党が気にしてない分、そちらに流れることはない、と、思いたいですね」
「ヨーロッパ支部とつながりがなければな」
料理を並べれば、男性は美味そうだな、と一言告げ、彼女はでしょう?と笑った。
「で、どちらに渡すんだ?」
「怪盗さんに。恐らく彼らが最近ギャングラーの処理を警察に任せているのをみると、彼らはコレクションを盗まれた回収していると推測できます。というか、警察からこちらに流れてくるんですし、怪盗側に渡すしかないですよ」
「もし、ギャングラーや他とつながりがありそうであれば?」
「実力行使して返してもらいますが、そうならないのを願うしかないですね」
「ま、ちょっとした冒険だな。俺や真墨達は他に動くことがある。頼んだぞ」
「はい」
「いただきます」
「いただきます」
そう言って食べ始めた二人はまた違う会話になっていく。私は魁利と透真を見た。敵、ではなさそうだけども。
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男性が何かに呼び出されて店を去った。ちゃんと会計を二人分、なおかつナマエさんのデザートをつけといてくれ、と言ってお金を支払った彼はなるほどかっこいい。
「苗字さん、怪盗に会いに行くのか?」
「そうですね……ん?デザート?」
「さっきの人がデザート分も払っていった」
「チーフ……流石チーフ……!」
そうキラキラとした目をしたナマエさんはデザートを口に運ぶ。美味しい、とフニャリと笑ったナマエさんは珍しい。
「怪盗に会うったってどうやって」
「現場に行くのが一番ですよね」
何か考えたナマエさんに、危ないからソレはダメ!と止めてしまうのは仕方ないと思う。
「と、いっても、怪盗さんに会うにはそうするしか」
「そもそも、なんで会いに行くんだ」
「ルパンコレクションという美術品が回り回って今ミュージアムにあるんですよね。ソレを渡したいんですよ。彼らは恐らく回収しているんだと思いますから」
さてさて、どうするか、と考え込んだナマエさんに、とりあえず、現場は行っちゃダメ!と言えばナマエさんは「はーい」と告げた。
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「なるほど、一つはサージェスミュージアムにあるのですね。なら、ある意味安心でしょうか」
ナマエさんが帰った後である。コグレさんがやってきたために話を言えば彼はなるほど、と頷いた。
「サージェスミュージアムって、あの大きい博物館だよね」
「はい、世界中に支部を持つサージェス財団が管理しているミュージアムですね」
「サージェス財団?」
「正式名はSGS-foundation。世界中の文化財を探したり保護したり手入れをしたりする財団ですね。サージェスミュージアムは日本支部にあたります」
「じゃ、忍び込んで貰ったらいいのか?」
「それはおススメしません。いくら敵意がないとは言え、彼処は彼処で厄介ですからね。彼女が我々に譲るというならば、お言葉に甘えるのが一番でしょう」
「でも、どうやって会うんだよ。現場に来い、は、ヤダぜ」
「ならば、お手紙を差し出せば良いのでは?」
そう何処からともなく封筒を取り出したコグレさんに私達は顔を見合わせた。
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「ナマエ宛に手紙来てるぜ」
そううつらうつら船を漕いでいた私に映さんが手紙を持ってきた。真っ白な手紙だ。ご丁寧に封が蝋でされているのを見ると浪漫派というか。またラブレターか?だなんて言った映さんに「またって、七割ガイからじゃん」と言いながら手袋をはめる。たまに美味しいもの見つけた〜だとかいう理由で贈り物してくるが、どうやって届けてるのか謎である。菜月さんが首を傾げた。
「なんで手袋?」
「私の読みが正しければ、怪盗さんからのお手紙だからです」
そういえば各自作業をしていたメンバーがこちらを見た。手紙の封を開けると、ビンゴである。今日の夜10時、場所は海岸沿いにある公園。
「どれどれ」
そう言って上から手が伸びてきて取られる。真墨さんだろう、と、思って見上げたら違った。
「仙ちゃんがいる、幻覚かな?」
「幻覚じゃないよ」
ぽんぽんと私の頭を撫でた仙ちゃんは、「いやぁアリエナイザーから押収したものを渡しにきたんだけど、ナマエにあっていくか?って明石さんが」と言う。ちなみにお互いの組織でこういうやりとりがあるのは、私が出入りしているから、とテツさんと映さんが仲がいいからという理由が含まれる。テツさんと映さんの交友関係は謎である。アスカさん(本来は同い年らしいけどどう見ても年上)もそこに含まれるからだ。
ぽんぽんと撫でた仙ちゃんの手を取る。
「みんな元気?」
「元気だよ、みんな、ナマエが早く帰って来ないかなって思ってるし、バンやホージー、ボスは上部に異議申請してる」
「でも、懲戒免職免れて一年停職だから、これ以上は無理だと思う」
「こら、本人が諦めない」
そうデコピンを決めた仙ちゃんは、で、どうして噂の怪盗と手紙のやり取りを?と首を傾げた。
「そういえば、噂の怪盗にSPDは動かないのですか?」
「うーん、動けないんだよね。アリエナイザーが関わってるわけでもないし、惑星間のトラブル、別の星から来た犯罪者でもないから」
「あくまでSPDが動くのは地球外の犯罪者って事か。じゃあ、ギャンブラー?だっけか?あれは?」
「アレもアリエナイザーが関わらない限り動けないんだよね、だから国際警察に丸投げ」
「一応線引きあるもんねぇ」
そうしみじみ言えば、そうだねぇ、と仙ちゃんが言った。
「ちなみに私が怪盗さんとお手紙のやり取りしてるのは、彼らに渡すものがあるからです」
「発信機つける?ってホージーなら言いそうだな」
「つけない。そんな浪漫のかけらのないことはしたくないし、第一、別に敵対してるわけじゃないから」
そう言えばまたグシャグシャと頭を撫でられた。なに、と見上げれば、仙ちゃんはなにも、と言って笑う。なんなんだ。
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「ナマエ、なんでずっとこっちにいるのかと思ってたら停職してたのか」
「え?明石さんから聞いてない?」
仙ちゃんが帰った後である。真墨さんの言葉に首をかしげる。てっきり明石さんに聞いてるかと思ってた。
「一年一緒に働くことになる、とは聞きましたが、停職とは聞いてません」
さくらさんの言葉に、菜月さんが「ねぇ、停職ってなに?」と首をかしげる。
「仕事しちゃダメですってことですかね。辞めさせられる一歩手前」
「え!ナマエが?何したの?」
「私が、というより、私と仲が良かった同期がちょっとね、汚職凶悪事件の犯人の手駒だったというか」
はっはっはー、と笑いながら言えば、周りはピシリと固まった。
「まぁ、私が仲が良かったので同じ一味なのでは?という疑念がありまして。ま、その同期は私の前では猫被ってた上に、最後は犯人に吸収されたんですけどね」
そう言いながら手紙を畳んで閉じる。
「地球署のみんなが違うって言ってくれてるので一年停職ですみましたが、本来ならば懲戒免職でしょう。で、ドギーさんが宇宙警察内で信用を失ってる私を明石さんと牧野さんに押し付けたわけです」
まぁ、一年の休暇だと思ってます。そう言って立ち上がる。後二時間もすれば時間になる。一応、アクセルラーとスコープショットを持って行くとしよう。
「一人で大丈夫?」
「危なそうならまた連絡します」
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とりあえず、公園に爆竜が変身したバイクで赴く。ボーっとしていれば、後ろから不意に声がする。
「振り返るな」
そんな声は聞き覚えがある。やっぱり予測はあたりかぁ、と思いつつ、噂の怪盗さん?と聞けば、ああ、と返された。
「話は本当なんだな?」
「ええ、コレクションはこの中に」
そう言ってボックスを開ければ、違う人の手がそれを掠め取った。なるほど、一人じゃない。
「どうして俺たちに協力を?」
「私達はこのコレクションの持ち主を知りません。しかし、貴方達が持ち主を知っていると踏んだまでです」
「もし、違ったら?」
「その時はサージェス財団がお相手しましょう。邪な考えをもつひとに、これはお渡しできませんから」
「……十秒数えるんだ。そうしたら振り返っていい」
その言葉に、数を数える。遠のいた気配、十、で後ろを振り返れば当たり前だけど誰もいない。
「ま、ミッションは無事完了っと。チョビ、帰ーー」
また気配がして振り返る。ガン!と殴られたのは頭であるし、相手は怪盗ではない。う、わぁ、と思いながらよろける。視界が、暗く――。
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「悪い、ここにナマエは来ていないか?」
店の扉を開けるなり尋ねたのはこの前チーフやら明石さんやらとナマエさんが呼んだ人だ。私は首を傾げて彼を見る。
「今日は来てないですよ」
「そうか……邪魔したな」
「ナマエさんに何かあったんですか?」
「昨日、ちょっと色々あって夜に出かけたんだが、帰ってこない」
そう告げた彼に私達は固まる。色々、って、もしや、私達と会った時、ということだろうか。
「見かけたら連絡して帰ってこい、とだけ言っといてくれ」
「色々あった場所近くにはいないんですか?」
「その色々あった場所が何処かわからないんだ」
「……そういや、俺、昨日の夜にナマエさん見ましたよ」
そう言った魁利に、私達は彼を見る。
「今日の食材が足りなくて買い出しに行ったんです。その途中に、ちらっと」
「何処で?」
「海岸公園です。案内しましょうか?」
いや、と断ろうとした男性は少し考えたように魁利を見る。「……頼めるか?」と尋ねた彼に、魁利は勿論と頷いた。
「じゃ、二人は店番よろしく」
アデュー!
そう軽く片手を上げて、男性と店を出た魁利に後になって気づく。
「またサボられた……?」
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「ここです、バイクの近くで――って、まだバイクがある」
そう言って、ナマエさんが乗っていたバイクを目に止める。なんで、あるんだ。嫌な予感がまた膨れる。ナマエさんの上司というか兄代わりのようなもの、らしい明石サンがそのバイクに向かって「チョビッツ!」と声をかけた。誰も乗っていないはずなのに、ブルン、とエンジンをかけたバイクはこちらに向かって突進してくる――と思いきや、途中でそれは小さな動物のような姿に変わる。それは、機械でできた恐竜みたいな。
「は?」
「ちーふさん!!」
「チョビッツ、ナマエはどうした?」
「きのう、なにか、へんなやつにつれてかれちゃっ、」
「変な奴?」
「ぼく、おいかけようとしたら、きえちゃって、どうすればいいか、わからなくって」
その言葉に、恐竜を掴む。
「凍ったわけじゃないよな!?」
「ひっ、だれ?!」
「なぁ!答えてくれ!凍って砕けたわけじゃないんだよな!!」
「落ち着け。チョビッツ、彼はナマエの友達だ。危ない奴じゃない」
「ナマエの、ともだち……うん、こおったわけじゃないよ、でも、そのへんなやつごとみえなくなっちゃって……」
その言葉に、少し落ち着く。明石サンは恐竜に尋ねた。
「見えなく……人じゃないんだな?」
「ちがうよ、そのまえにひととあってたけど、ナマエとおはなしして、なにかわたしたあとにひとはかえっちゃった」
「ということは、取り引きを見られたとするのが妥当だな……と、なると、連れ去ったのは」
――間違いなく、ギャングラーだろう。ギュッと拳を握る。明石サンは少し考えて、国際警察に似たような事件がないか確認するか、と告げる。
「悪いがチョビッツを頼む。ナマエがもし店に来たら返してやってくれ。ナマエの大事な家族だからな」
俺の背中を叩いた彼は、大丈夫だ、と真っ直ぐな目で告げた。
「ナマエはそんなにヤワじゃない」
明石サンはそう言って歩いていく。わからないじゃないか、と呟いた俺に小さな恐竜は俺を見た。
「おみせ……じゅれ?」
「……なに?知ってんの?」
「ぼく、あそこの、まかろん、だいすき!ナマエがたまにかってきてくれる!ナマエ、いるかも!はやく、いこう!」
そう俺の手を離れた恐竜はまたバイクへと形を変える。
「乗っていいのか?」
「ナマエのともだちなら、いいよ!」
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「ナマエ、いないね」
そうしょんぼりとした機械仕掛けの恐竜に、魁利がそうだな、と答える。
「なにそれ、コレクション?」
「いや、ナマエさんの家族らしい」
「ペットってこと?」
「む!ちがうもん!ぼくはナマエがちいさいころからの、かぞくだもん!」
ぼくのほうが、おにいさんなんだから!
そう胸を張った恐竜は可愛い。とても可愛い。透真がどうやって動いてるんだ?と恐竜を抱き上げる。わー!かいり!たすけてー!と暴れた恐竜の口に、魁利がマカロンを持っていた。その途端、マカロン!と目を輝かせた恐竜は可愛い。
「マカロン食べるのか……?」
「食べるらしい」
「じゅれの、マカロン!ぼく、だーいすき!」
はむ!と食べた恐竜は可愛い。とてもとても可愛い。料理が褒められて満更でもない透真はそのまま恐竜をテーブルに乗せた。
「で、苗字さんはどうだった?」
「……ギャングラーに連れさらわれたかもしれない」
そう言った魁利に、私達は動きを止める。
「アイツじゃない。ギャングラーに見られていたのかも知れない。チョビッツ曰く、ナマエさんが怪人諸共消えたらしいし」
「チョビッツ?」
「そいつの名前」
魁利が指差したのは相変わらずもぐもぐとマカロンを頬張っている恐竜である。
「……最近、暴行騒ぎがまた起こってるよな」
「犯人がわからないって奴……って、まさか」
「警察に任せよう」
そう言った透真に「でも!」という。
「今はまだ、俺たちが出しゃばることじゃない。ギャングラーもルパンコレクションも関係がないかも知れない。警察に任せよう」
それは、正論、だけれども。
=
ナマエ、お前って結構間抜けだよな。
不意にそんな声がして目をうっすらと開ける。そこにいた赤メッシュは見覚えがあった。
「……アサム?」
「やっとお目覚めかよ」
そうニヤリと口角を上げた相手に、後ずさりをしようとする。が、それは何かに制された。身動きが取れない。動こうとするたび、がしゃん、と大きな音がする。暴れんな、と私の頬を撫でたアサムは間抜けと言って頬に爪を立てる。
「っなんで」
「なんでだろうなぁ?」
顔が、近い。目を細めて彼を睨めば彼はそっと手を離した。やれやれという風にため息をついたアサムは口を開く。
「お前って、ホント間抜け。性善説信者かよ。そんなんだから、俺達の本性見抜けねぇんだよ」
「君に説教されてもなぁ。逆じゃないか?普通」
「説教するってか?」
「して欲しいならね」
「でたよお人好し」
「猫被ってた君の方がお人好しじゃないかな。やらないよ」
そうそっと目を閉じる。
「ごめんね」
「なにが」
「あの時、助けられなくて、ごめんなさい」
「……」
「手を伸ばせば、変わったかも知れない。ムギもアサムも、生きてたかも知れない」
「……俺たちの自業自得だろ」
「でも、それでも、さ、私は、さ、二人を仲間だと思ってる、仮初めでも、友達だと、仲間だと思ってる。そこに芽生えたものは、同じだって」
そろり、と、また頬に手があたる。馬鹿野郎、と小さく告げた彼は私をそっと抱き締めたらしい。だから、甘ちゃんなんだよ、とくぐもった声で告げた彼はそっと私の髪を撫でた。相変わらず、距離が近い。
「ちょっと!!何イチャイチャしてんの!」
そう割り込んだのはムギだろう。
「俺が話つけてくるって言ったくせに!」
「うるせっ」
「というか!ナマエもナマエよ!アンタ今の状況わかってんの!?アンタ、今、取り引き材料!」
そう言ったムギに、取り引き、と目を見開く。ずきり、とした感覚。
「アンタ死にかけてんのよ!アンタは来なくていいの!せいぜい、お人好しはお人好しらしく長生きしなさい!」
そう私の手を掴んだムギはあげるわよ!と声を上げる。やっと立ち直ったらしいアサムも私の手を掴む。
「やるよ、俺たちには必要ないからな。じゃあな、ナマエ、もう会えないだろうけど、会えてよかった」
その言葉に視界は白く染まった。
「ーーを死なせたくなけりゃな」
そんな声に薄っすらと目を開く。目の前にはワラワラといるカースのようなもの、怪盗警察揃い踏み、尚且つその間には明石さんがいる。まぁ、今の私の面倒は明石さんが見てることになってるし、その関係だろう。そのまま手元をみる。捕まれているのは腰のあたり、嵌められているのは手錠。なるほど、動けないわけである。そこで手の中の違和感に気づく。形からして思い当たるものはある、が、私じゃなくてガイじゃないかと思うわけで。一瞬でも怯ませればなんとかなるか、というか、チーフのところに行けばなんとかなるだろう。チーフをもう一度ちらりとみる。こちらに気づいたらしいチーフが、会話しながらそっと指をズボンに叩きつける。モールス信号だろう。
――しぐなる、1ぷんご、めをつぶれ。
その言葉に目を瞑る。チーフが言葉を続ける。
「だが、俺たちはお前に文化財を渡すことはできない」
「コイツがどうなってもいいってか?」
「――いや、お前に殺させはしないさ」
チーフが何かを構える音、警察側と怪盗側が止める音がする。「面白い!」と笑った怪人は言葉を続けた。
「コイツをお前が殺そうってか!殺してみろ!」
パン、という音、光ったシグナル弾、怯んだ敵の腕から脱出して距離をとる。そのままルパンコレクションも回収してチーフの横にまで駆け抜けた。
「どれくらい気を失ってました?」
「さぁな、1日は確かだと思うが」
「完璧に油断してました。ごめんなさい、お手数を」
「始末書だな」
「え、もうウンザリなんですけど」
「違う。一緒に始末書だな。ready?」
「ああ、そういうこと」
その言葉にアクセルラーを持つ。
「start-up!ボウケンジャー !」
==
警察のロボとの巨大戦を始めた怪人、変身を解いたチーフに、私も習って変身を解く。はい、とルパンコレクションを渡しといた。
「お手数をかけました。ごめんなさい、ありがとうございます」
そう言って笑えば、三人とも無理をするな、というように闇に消える。
「チーフ」
「ん?」
「始末書書く前に、なんですけど、意識がもう限界です」
そう言ってふらりと倒れ込む。目を見開いたチーフが最後に見えた。
==
パチリ、と目が覚めたら側でウメコさんが寝ていた。と、いうことは、イコール、地球署だろうか。私が起きたことに気づいたマーフィーが吠えたことでウメコさんが目を覚ました。
「ん……ナマエ!目を覚ましたのね!スワンさん呼んでくるから待ってて!」
「いえ、立てます、大丈夫です、」
「ナマエのいう大丈夫は大丈夫じゃないの!」
そう釘を刺したウメコさんは部屋を出ていく。しばらくして現れたのはチーフとドギーさん、スワンさんだ。
「ナマエ、目が覚めたか」
「てっきりミュージアムに行くかと」
「偶々パトロール中のSPDに会ったから乗せてもらったんだ。容態が悪そうだったからな」
「そう!運ばれてきた時は焦ったのよ、ナマエちゃんが普通の地球人ならもっと重症ね」
「竜人だから助かった……って昔からったある奴か」
「そうだけど、無理はしないで欲しいわ」
そうそっと私の両手を持ったスワンさんに、あぁ、あと、と思う。
「私、レンジャーキー持ってませんでした?」
「あぁ、持っていた。赤と、黄色の。だが、バンとジャスミンが変身できないわけじゃなかった」
「意識がないときに、意識だけ別空間に行ったというか。そこでもらいました」
「そうか……」
そもそも、ジャスミンさんがよんでいるのでは?と首をかしげる。
「これは、ナマエが持って起きなさい」
そういったドギーさんは私の手にレンジャーキーを渡した。
==
怪我が治ったので、ジュレに行く。チョビッツはジュレにいるぞ、とはチーフこと明石さんの言葉だ。ちりん、と鐘を鳴らして中に入れば視線がこちらを向いた。険悪な雰囲気、の、ような、そうではないような。二号が目を見開いてこちらにくる。
「ナマエさん!無事だったんですね!」
「その節はお世話になりました。知り合いのトコで治療を」
「怪我は?」
「私、人より頑丈らしいので治りました」
そうヘニャリ、と笑って、チョビッツを探す。目を逸らした魁利くんと、目を潤ませている初美ちゃんは口を聞いてくれなさそうなので透真さんをみる。
「透真さん、チョビッツいませんか?」
「食材になった」
「は?!」
「冗談だ」
そう言って透真さんは鍋の蓋を開けた。中から顔を覗かせたチョビッツは目をパチパチと瞬いた。
「ナマエ!ナマエがいる!」
「チョビッツ!ごめんね、心配かけて」
そう言って抱き上げる。……コイツ太ったな。三号さんがちょっと目を輝かせたのをみるに可愛いもの好きか。
「わーん!ナマエ!ナマエー!びっくりしたんだよー!きゅうに、いなくなっちゃうから!」
「ごめん、ごめん」
「……ナマエさん、それは」
「チョビッツ。私の家族みたいな子です。恐竜に似てますが、恐竜とは少し違います。まぁ、恐竜に寄せるならドラコレックスという恐竜ですが」
「なんかよくわかんないですけど、何食べるんですか?」
「草食です」
「……草食だったのか?マカロンばっか食べてたぞ」
「とーま!しーっ!しーっ!!」
そう暴れたチョビッツには悪いが、マカロンばっか食べてたから太ったんだろう。
「しばらくマカロン禁止」
「うー」
「そんな顔してもダメ。太ったら一緒に暮らせなくなるよ」
「それはやだー!しばらくはっぱでがまんする……」
「よろしい。……今日はちょっと知り合いに会ってまわらないといけないので明日また来ますね。あ、ついでにマカロン6つください」
「マカロン!」
「チョビのじゃない」
そういえばショゲたチョビッツの頭を撫でる。まったく、どっちが年上なんだか。
==なんやかんや仲直り?した
「そろそろ腐れ縁が来る気がする」
そう深刻そうな顔をしたナマエさんに、ナマエさんが来ている時のみちゃんと働く魁利が首を傾げた。チョビッツはサラダをモグモグと食べてる。可愛い。
「腐れ縁?指輪の贈り主?」
「指輪?」
反応した一号と三号に、ああ、ナマエさんの首にかかってる!と言った二号。婚約者説やらなんやらでてるそれだが、ナマエさんが腐れ縁腐れ縁というのでそうなのか、で毎度終わっている。ナマエさんが顔をしかめる。カラン!と扉が開く。
「いらっしゃいま――」
「相棒!帰って来たぜ!」
「相棒じゃない、宇宙へお帰りください」
現れたその人は、なんというか、騒がしい人だった。
「まーた、俺に対してはツンツンしてるんだから」
そうあっけらかんと笑った彼は当たり前のようにナマエさんの前の席に座る。
「なんでまた」
「相棒がピンチだったと聞いて」
「来なくていいって言ったじゃん」
「呼ばれてなくても俺は行くね!」
「誰から聞いたの?」
「偶然会ったバンさんから聞いたりとか」
頭を抱えたナマエさんに、ニコニコと笑い続けるその人。
「マーベラスたちは?」
「別件で移動中。俺はナマエにあって来いって言われたからさ!俺も会いたかったし!」
そうナマエさんの手を取ったその人に、ナマエさんは顔を背けた。一号がワナワナとしてる。魁利が料理を出すついでに割り込む。
「お、うまそー!」
「ありがとうございます……ナマエさんの知り合い?」
「腐れ縁」
「またそんなこと言う〜、もっと他にあるだろ?強くて頼れる幼馴染!とか」
「ヒーローオタクの腐れ縁」
「腐れ縁腐れ縁言うけど、俺のこと嫌いなのかよ?」
「……嫌いではない」
「ありがとな!俺は好きだ!」
あ、これは、と思う。ナマエさんは苦笑いしてデコピンしたが。
「そういうのは恋人に言いなさい、恋人に、それとか、好きな人に」
「そうだよな」
だから言ってんだけど。そう小さく呟いた彼に、ナマエさんは首を傾げた。私の視線に気づいた彼は、「にぶいだろー?」と苦笑いしたけど。
「で、ナマエの友達?」
「そう、友達。だからガイはお呼びじゃない」
「俺がナマエに会いたいから来ただけだし、呼ばれてなくても会いに来る」
「はいはい」
「まーた信じてない……」
そう机にうな垂れた彼に、魁利と一号がちょっとガッツポーズしたけど、二人はこの人の足元にも及んでないんだよね、と思ったり。言わないけど。
==
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