2018/03/23
兼任司書と銃士?
・名前間違えてた
目の前にいる洋風な人は、貴銃士というらしい。刀剣男子が刀であるのに対し、彼らは古銃というそれだ。多くが一振り一振りに名前のある刀とは違い、多くが個別の名前を持たない銃は巴のような概念なのだろう。訳がわからないままメディックになることになった私であるが、まぁようは審神者と同じ感じだろう。最初の一振りならぬ二丁はベスというイギリス人っぽい青年とシャルルというフランス人っぽい青年である。硬派と軟派な二人は恐らく意見が一致したら強いんだろう。
「銃、だから、遠距離戦なんですよね」
「うん、そうだね」
これ遠距離貴銃士で近距離刀剣を組めたら強いのではないかと思ったが、よくよく考えてみれば刀は一部を除いて銃嫌い嫌いが多い。特に幕末は。むっちゃんあたりは仲良くしてくれそうだが。
「六人編成だから、後四人よんで六人で本格的な出撃をしましょう。後確認したいんですが、銃の大きさによる違いってあるんですか?」
そう尋ねれば、二人は顔を見合わせた。
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やって来たのはヤンキーのケベールさんに、綺麗好きなヒデタダさん、ドジっ子ローレンツさん、小さめのカールくんである。日本史はかなり得意な私であるが、世界史は全くで、森先生たちからたまに聞くくらいだろうか。周りとのコミュニケーションを円滑にとるには勉強するしかない。あと、どの銃がどうとかわからないので、ケベールさんが何に怒ってるとか、ローレンツさんが何を気にしてるからとか全くわからないわけで。
「これは厄介だぞ」
刀は教え込まれた。文学は読めばよかった。しかしながら、これは。参ったなぁ、と呟いて刀を撫でる。ふわりと現れたむっちゃんが、大丈夫ぜよ、と笑った。
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「そう言えば、マスター殿は何故帯刀を?」
そう首を傾げたヒデタダさんに、こちらに視線が向いた。カタナ?と首を傾げたのは周りにこれはどうするべきかと考える。
「……子供のころからの、守り刀といいますか。ないと落ち着かないんです」
そういいながら刀を撫でる。ローレンツさんが刀を眺めて、いいなぁ、とボヤいた。それに首を傾げれば、ローレンツさんは首を左右に振る。
「いや、なんか、その刀にとって、マスターは初めての人って事でしょう?羨ましいなって」
「それは違うよ、元はこの刀は他の人のものだったけど、縁があって私の元に来た。貴方達と同じ」
そう訂正しておく。縁、と目を瞬いた彼に言葉を続ける。
「何かがあったから私は貴方達を呼び出すことができた。何もなければ呼び出せていない。貴方達と私は縁があったからこうして話してる」
割と真面目にそう言えば、割と周りが照れてることに気づく。なんだ?と思えば、ローレンツさんがえへへと笑った。
「そっかぁ、こんな僕でもマスターと縁があったんですね」
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「いや、ナマエは所作が綺麗だからいい身分の人間だと思われてるようでな」
そう言ったリーダーは、まぁいわゆる高嶺の花だ、という。まぁあと付け加えるなら私が医務室から出ていかないことも理由に上がるだろう。貴銃士とは関わりがあるが、他のレジスタンスとはリーダー以外ない。話しかけてもよそよそしいので相談した結果がこれである。
「まぁ、医務室は怪我をすれば嫌でもくるんだから、気にするな」
私が気にします。
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相手は自動装填が多くて連射可能なのに対してこちらは一発装填が多い。これは織田信長戦法の方が楽なのでは?と思ったりもする。てか、ぶっちゃけ相手の装填する隙を狙って刀でバッサリが早い気がする。どうも遠距離っていうのが、刀を扱う自分にとってはじれったい。刀装でカサ増しできないかな。防御は妖精さんがなんとかしてくれるし。でも西洋銃がそれを持つっていうのも違和感がする。そもそも、メディックが近くにいてすぐに手当てできるのはいいが、メディックが足手まといになる可能性は少なくないわけで。遠距離狙撃可能のライフル持ってこられたら恐らく一番危ない位置にいる私である。
「どう思いますか、レオポルトさん」
「ベス君達でなく新入りの私に聞くかね」
「ベスさん達に聞いたら俺が守るから問題ない、とか、頑張ってお守りします、とか、俺が先に撃ち殺せばって同じようなこと言われたので。そういうのじゃないんですよ」
そういえばレオポルトさんがこちらを見た。
「貴方達を信頼してないっていう話じゃない。銃の性能も、狙撃の精度も確かですし、彼らだけならば強い。でも、あの部隊で行動するとき、私がその弱点になる。無意識に全員が私を気にかけた状態はよくないと私は思うわけです」
「マスターくんは守られているだけじゃ嫌だと」
「そうですね、ワガママですか。私はお姫様ではありません」
「まぁ、いつか君やレジスタンスの人間が弱点になるかわからないのは確かだからね」
ちらりとレオポルトさんが負傷兵を見る。森先生に医学叩き込まれて良かったし、最悪森先生や薬研を連れて来たらなんとかなると思っている私である。くしゃくしゃと頭を撫でたレオポルトさんは、あんまり頑張りすぎないように、と釘を刺していく。年上がいるとやっぱ頼れるなぁ、と。
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危惧してたことが現実になったじゃないか、と腕を掠めた銃弾、飛んできたその先を見る。マスター!?と目を見開いた周りに、顔を顰める。恐らくその隙が、危ういというのに。近くに寄ってきた、ローレンツさんとベスさんを引っ張り緊急回避しつつ、「全員回避!」と言えばハッとしたように全員路地に回避した。
「いつかこうなるとは思ってたけど、タチ悪いな」
そう小さくぼやいてみる。態勢を整える必要がある。分断された上に恐らく私が負傷したので周りは焦りがある。現に目の前にいるローレンツさんとベスさんは顔を真っ青にしている。
「マスター、血が、」
「かすり傷。ローレンツ、優しいのは君の美徳だけれど、今は目の前の敵に集中しなさい」
初段を避けた、としても、自動装填の彼らはすぐに撃てる。
「俺が囮になる、マスターを連れて撤退してくれ」
「自己犠牲も今はいらない。全員で帰る」
足音が近づく。裏技使うか、と息を吐いて刀を持つ。陸奥守をローレンツさんに押し付けて、短刀を持つ。近距離ならば銃よりも刀が強い。一列に並んでくる特性があるならば、一人目を私がバッサリやり、二人目以降を二人が撃った方が早い。
「一人目なんとかするんで、二人目以降なんとか狙撃して下さい」
そういえば、は?という顔をされる。ざっとこちらを見て銃を構えた一人目の懐に入り喉元を切りつける。それは砕けて消えた。良かった、人ではなかった。呆気にとられた二人目にベスさんを見たがこちらも呆気にとられていた。仕方ない。
「陸奥!!」
「了解じゃ!」
桜の花びらとともに現れた陸奥守は銃を放つ。二人目が倒れる。手元から消えた愛染に、愛染!と言えば、三人目の後ろから愛染が切った。また砕けた二人に息を吐く。
「主、大丈夫かえ?」
「かすり傷」
「主、ちゃっちゃと片付けてあのボロ屋に帰ろうぜ」
そう肩を竦めた愛染に、息を吐く。
「残りは四人の方に向かったから、奇襲したい。ただ、私を撃った相手がどこにいるかわからない。愛染、青江と頼める?」
「あぁ!任せとけ!」
そう言った愛染が消える。青江もよろしく、と言えば懐にあった青江も消えた。銃撃戦の音がする。
「リーダーが怪我してたら撤退した方が早いかな」
「そうじゃのう、リーダーは人間やき、そっちの方がええ。しばらく様子見じゃな」
そう言った陸奥守は、ちらりと貴銃士たちを見た。陸奥守の肩を叩いて、「先に戻っておいて」という。頷いた陸奥守は刀に戻った。
「え、あ、それーー」
「あー、できれば、秘密にしていただけると」
そう苦笑いして刀を元の位置に戻す。
「主、片付いたぜ、あとはあそこで銃撃戦してる奴らだけ」
「ありがとう、怪我は?」
「勿論ないよ」
そう言った二人もまた刀に戻る。
「俺たちと同じってことか?」
「同じではなく似たようなもの、ですかね。さて、援護して合流しましょう」
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何とか合流して自分の手当てもほどほどに周りの手当てもする。沈んでいる。見事に沈んでいる。レオポルトさんを見れば、見事に危惧していたことが当たりましたね、と言われた。医務室に集まっている貴銃士は首を傾げる。
「危惧?」
「前に言いましたが、あの部隊で動く時、私が弱点になるんですよね。銃を持って戦わず、後ろから見守るメディックって、都合がいい的でしかないしょう?現に今回、掠っただけでパニックになって崩れました。これが意識持っていかれる程のケガならもっと酷かった」
「そうならないように――」
「君たちは前にも彼女にそう言ったのだろう?しかし、現に起こってしまった」
レオポルトさんの言葉に、周りがしんと静まる。
「僕が、役立たずだから、」
「だから、そういうのじゃないんです、ローレンツさん。性能がいい、とか、悪い、とか、玉の飛距離だとか、そういうのはお互いにカバーすれば良い話です」
ローレンツさんの言葉にそう諭せば、レオポルトさんが口を開く。
「やはり、君が戦場に出ないのが一番だと思うが」
「通信手段と皆さんの状態がわかるのであればそうするんですが、ないんですよねぇ。私も参戦するとか」
「……マスター殿が扱う銃を考えたら、その銃を我々のような存在にした方が早いのでは。マスター殿に護衛をつけるのは如何でしょう」
そう言ったヒデタダさんに、「それこそマスターを狙えって言ってるようなものだろ?」とカールさんが告げる。
「マスターも銃は使えた方がいいんじゃないかなぁ」
そうボヤいたシャルルさんに、周りはシャルルさんを見た。
「俺だって戦って欲しくはないけど、身を守る術はあった方がいいと思う」
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レジスタンスでたまに変なものに憑かれてる人がいるんだけど。とりあえず本人に気づかれないように塩撒いた。医務室と自分の部屋にはちゃっかり結界を張った私は悪くないと思う。だから居心地がいいと人が集まるんだろう。怪我人も多いけど。
「リーダー、私のお父さんか弟を呼んできてはいけませんか?そろそろ一人で手が回りません」
元々メディックをしていた人が逃げたりとか、負傷したため戦地を離れたとか、そういうことが増え、私一人である。これはそろそろ辛い。なので、お父さん(森先生)か弟(薬研)を呼びたい。
「苗字の父親か、弟?」
「両方医学の心得がありますから……手伝いが欲しくて」
「構わないが……」
「じゃあ、今度の休みに呼んできますね」
そうひらりと手を振る。リーダーは目を瞬いて首を傾げたけど。
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「薬研は弟ってことになってるから」
「わかった、大将」
簡単な説明を施して、基地に戻る。ザワザワした周りはとりあえず放っておいて、リーダーに挨拶にいく。
「父親は少し都合がつかなかったので、弟を連れてきました」
「姉さんが世話になってる、俺は薬研だ」
「思ってたより幼いな……」
「私に医学教えてくれたのは薬研ですし、私より手際がいいですよ」
「なるほど」
そう頷いたリーダーは名乗り、握手をする。案内してきます、といって、とりあえず医務室へ向かう。
「マスター、そいつが弟か?」
「ベスさん、こんにちは。はい、弟の薬研です」
「ヤゲン?」
「おぅ、俺が薬研だ。この人が、貴銃士とやらか?」
「ああ、貴銃士の一人、ベスだ。マスターには世話になってる」
「ははぁ、うちにはいないタイプだな」
そう上から下まで眺めた薬研に、苦笑いする。
「イギリスの銃だって」
「へぇ、英吉利の……ってことは、日本の銃もあるのか?」
「火縄銃とかもあるみたいだけど、今いるのは大阪の陣と戊辰戦争の貴銃士。あとは海外の人。むしろ私たちが海外」
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