へんなかんじ

両手が塞がるほどの大量のお土産を抱え、駅のホームへと向かう。後ろ髪を引かれる思いで改札を抜けると、視線の先にはこれから大阪で撮影を行うメンバーたちの姿が見えた。隼人はお土産を抱え、大きく手を振った。

「長旅お疲れ様! もしかして、今から皆と合流?」
「ハヤトも……昨日はお疲れ様。うん、これからジュンたちと、合流するよ」
「いいな〜! 俺もあともう一日居たいよ〜……」
「ハヤトの分も、いっぱい楽しんでくるね」
「うん、分かった! お土産話聞けるの楽しみにしてる!」

隼人は夏来に手を差し出す。一瞬首を傾げた夏来だったが、すぐにパッと笑顔になり、手のひらを重ねて、小さくパチンと音を立てた。
これで、俺の心はナツキに預けたも当然!
と、頭の中では考えていても、やはり名残り惜しい気持ちは消えず、盛大にため息をついてしまった。

「随分大きなため息だねー?」
「あ、想楽さん! あはは、聞かれちゃいましたか。まだ大阪に居たいな〜って思ったら、つい」
「ふふ、それくらい楽しかったってことだよねー。僕もいい思い出が出来るといいなー」
「もうほんっとに楽しかったんで! 想楽さんもめいっぱい楽しんできてください!」
「ありがとうー。ところでー……」
「はい?」

想楽は、隼人が抱えるお土産をじっと眺める。何か気になるものでもあったのだろうか。隼人は「何か気になるものでもありました?」と聞くと、中身が見えるように想楽の方へ差し出した。
すると想楽は少し体を屈めて、隼人の方へ近付いた。隼人は何か言いたいことがあるのかと思い、同じように体を近付ける。想楽は周りに聞こえないような小さな声で、とある質問を隼人に投げかけた。

「あみさんには、何を買ったのかなーって思って」
「あっ……!? へ、あ、いや、そ、そうですね?!」

まさかそんなことを聞かれると思わず、隼人は大声を上げそうになった。きょろきょろと周囲の視線を伺いながら、袋の一番下に隠していた小袋を取り出した。

「こ、これ以外にも買ったものはあるんですけど、あみ、こういう可愛いキーホルダー好きだから、お揃いの、買い、ました……」
「へえ、そうなんだー? やっぱりお揃いのもの欲しくなっちゃうー?」
「ベタかなって思ったりもしたんですけど、その、つい……」
「ふふ、いいんじゃないー? 喜ぶと思うよー」
「……想楽さんは、何買うか決めてるんですか?」

想楽さんとは、正直そんなに深い関わりがあるわけではない。けれども、こうしてわざわざ聞いて来たくらいだ。何を買うか悩んでいたのかもしれない。隼人は少しソワソワした気持ちで、想楽の答えを待った。

「うーん、そうだねー……柄にもなく、僕もお揃いのものにしようかなーなんて思ったりはしてたんだよねー」
「そうなんですか? 確かにお揃いの物を持ってるのは、あんまり見たことないかも……」
「ということで、参考にさせてもらうねー」
「あ、はい! 俺ので良ければ!」

他の面々と話していた集団から、隼人の名前が呼ばれる。隼人は小さく頭を下げて、その場を離れようとするが、想楽がそれを制した。

「想楽さん?」
「せっかくだし、写真でも撮っておこうよー」

隼人の答えを待たずして、想楽はカメラを起動させる。なんだか少し背中がむず痒い気がしてきた。隼人は体を縮こませながら、控えめにポーズをとる。想楽はそんな隼人をちらりと横目に、シャッターを切った。

「うん、いい感じー」
「後で送ってください」
「もちろんだよー」

二人は今度こそ別れ、互いに背を向けて足を進める。隼人は未だにそわそわした気分だった。

(……ハイジョの皆以外にあみの話されるの、変な感じ)

何だか早く会いたくなってしまった。
隼人は、トーク履歴の一番上にある見慣れたアイコンをタップする。そして、一言。彼の手は無意識に動いていた。

これから大阪から帰るんだけど、今日会えたりしない?


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