ドリームフロート


「え、同居するの?」
「うん」
「爆豪くんと轟くんと、3人で?」
「そだよ、今度部屋見にいくんだ〜」



そう言いながら、アイスコーヒーをひとくち飲む。織とは、雄英を卒業してからも定期的にこうして一緒にご飯に行ったり、買い物に出かけたりする。たぶんA組の誰よりも一番頻繁に会ってるんじゃないかと思うくらい。この間居酒屋で突発的に決まった3人暮らしの計画を織に話せば、驚いた表情をした後に、「轟くんはまだしも、爆豪くんって…人と同居できるの…?」と眉根を寄せた。



「ふは、みんなから言われるよソレ」
「だって全然想像つかないもん」
「まあそれは…そうかもね、ふふ」


そもそも、男性2人とわたしの3人で生活するってどうなの?と問われることが多い。在学中のわたしたちならこんなこと考えなかっただろうけど、なんだか寮生活のことを思い出して、みんなで過ごすのもいいなあと思ってしまったのだ。
家に疲れて帰ってきても一人。高校時代の寮生活を思い出しては、わいわいとしたあの空間に戻りたいと何度も思った。しんどいな、と思った時に誰かがそばにいてくれるだけで、すこしでもその気持ちは軽くなる。



「…轟くんも爆豪くんも、それでいいって言ったの?」
「ん?うん」
「そっかあ…手強いな…(まだどっちも何も言ってないんだ、あの二人)」
「織?」
「ううん、楽しくなるといいね!」



織のその言葉ににこりと笑って頷く。理由はどうあれ、また誰かと暮らせることが嬉しい。「そういう織は上鳴とどうなの?」そう言って、にやにやと笑いながら織をからかえば、残りの氷がカラリと音を立てた。



20220624