関係者のダイアログ


※切島視点


「おう、おかえり!暑かったろ?」



コンビニから帰ってきた爆豪と仁科を出迎えれば、ふたりの雰囲気が出かける前とは違うことに気付く。なんだかそわそわと落ち着かない様子の仁科と、いつもより格段に静かな爆豪。時たま見せる、冷静で静かで落ち着いた爆豪だ。何かあったな、と思うけれど 聞いていいものだろうか。



「爆豪お前…仁科と何かあったか?」
「うるせぇよ」
「(何かあったなこりゃ)…もしかして、仁科に言ったのか?」



そう問えば、苦虫を噛み潰したような顔をして舌打ちをする爆豪。その様子から、あまりいい結果にはならなかったことが分かった。まさか、仁科は先に轟といい感じになってたとか?そこまで考えて、あの轟が仁科と付き合ってて隠すとかありえねぇなと考える。(轟のアピールもあからさますぎて、クラスの全員が仁科のことを好きだというのは知っているし)

ちらりと仁科を見れば、何もなかったかのように相花や麗日たちと笑いあっていた。俺が何か言うべき立場ではないけれど、爆豪の努力も知っているからこそ、俺にも出来ることはあるかもしれない。そう考え、部屋に戻ろうとする仁科を呼び止めた。



「どしたの切島?」
「いや…爆豪から、その…」
「…告白、されたよ」
「あ、あのさ!ああ見えてあいつ、仁科のこと一番に考えてるからな!」
「うん」
「俺が言うのもなんだけど、マジで根は良いやつだから」
「ふは、知ってる」
「!」



その笑顔にすべて含まれているような気がして、フォローの言葉やその他もろもろの感情がすべて引っ込んだ。仁科はきっと、爆豪が自分のことを好きでいたことも全部知っていたんだろう。ぼんやりと仁科を見ていれば、彼女はゆっくりと口を開いた。



「勝己は大事な仲間だから」
「……」
「わたしのこと、たくさん考えてくれてるのも知ってる」
「……仁科」
「知ってるからこそ、勝己の足手まといにはなれないよ」



「きっぱり断ったけど、それでも、諦めてくれないんだって」そう言って笑う仁科の表情はすこし嬉しそうに見えた。




20220629