6話目の収録は、なかなか遠出のロケ。それも、関西組の私達にはとても懐かしく嬉しいあのアミューズメントパークである。周囲にバレては騒ぎに(主に駿くんが)なるので、開演前の朝7時から開演までの2時間の撮影。それまで貸し切り状態!堂々と人目を気にせず遊べるので、ルンルンでカメラを引き連れて例の門を通る。 「ユニバ久しぶりで嬉しい!」 「俺もめっちゃ嬉しい!なかなか来れへんかったからなぁーテンション上がるわ」 ユニバーサルスタジオジャパンといえば!地球儀の前で興奮爆発。スタッフさんもちょっと笑ってる。今日は結構好きにやっていいと言われているので(毎回)、テンション上がりすぎてもプライベート感は抑え気味に頑張ろう。と事前に駿くんと打ち合わせ済み。…なのだが。 「エルモ!!駿くんエルモいる!写真撮って貰お!」 「えっ!?行こ行こ。どこ?」 「そこやん…。見えてる…?」 あっほんまや。と笑う駿くんを突っ込む気にもなれないぐらい、抑えきれぬ興奮。キャラクターを前にすると全くもって意味なしでした。多分私達を待ってくれていたであろうエルモを挟んで、スタッフさんに撮って貰う。可愛い!を連呼する私に、照れた仕草をしてくれるエルモが尊い。そんな私を見かねて、カンペが示される。"カチューシャ買いに行って!"…ちっ。 「俺思っててんけどさ、」 「ん?」 「なんかお揃いで被らへん?」 「あっカチューシャ的な?いいねー」 カンペに忠実な駿くんにさらっと手を引かれて、入り口近くのお店に足を運ぶ。…しれっと手繋げるようになったんだね…。でももう私は以前の撮影で思い知った。私が知らない台本が駿くんにはあるんだってこと…!作られた胸キュンに私の心臓はあげない。テレビ用にはもちろんするけど。と、深く心に決めております。 「えめっちゃあるやん。どうしよ悩むな」 「関西の人はユニバであんまり被らんもんなぁ…。こんなにあるなんて…あ、駿くんこれ」 「ん?あ…」 「はい屈んでー。私の身長に合わせてください」 「……膝キツイ!」 「誰がちっちゃいって?」 なんて言いつつ、スヌーピーの耳が垂れているやつ、ティムの可愛いカチューシャなど付け合ってお互いに可愛いを連発。でも彼は全て似合わせてくるので、決め手に欠ける…。と、思っているとテンションの上がった駿くんに呼ばれて足を向けると。被せられるマリオの帽子。 「わっ」 「あっめっちゃ似合ってる!見てみて」 「わー可愛い!帽子もいいね」 「…で、俺はこれ…っと。」 「ルイージ!!似合うね、格好良い!」 隣でルイージの帽子を被る姿がもう似合う似合う。本当はマリオの方が似合うと思うんだけど、名前ちゃんはマリオが似合ってるって断じて譲ってくれなかったのでこのまま購入。被って外に出ると、人がいないので本当に夢の国みたいだ。 「ねえ何から乗る?」 「やっぱマリオやろ!」 「いいね〜〜行こ行こ!」 SNS用に自撮り棒を持つ駿くんカメラに手を振る。帽子まで被って楽しむ気満々が映されてて二人してちょっと笑った。…これ夫婦ってよりカップル感…?と一瞬過るも、ユニバの誘惑に負けた思考は飛んでいきました。ウフフ。 スーパーニンテンドーワールドに着くと、まずははてなマークを飛び押してコインの音に歓声。これでお金待ちなれるわ〜と言う駿くんにつっこんだり。そしてお待ちかねのマリオカート!でもクルーさんにストップを掛けられる。 「え?」 「名前ちゃん身長足りひんのちゃう?」 「あ、そうかだからか…って違う違う大人よ私」 アハハと笑われながらも、クルーさんを見つめると差し出された紙。………忘れてたこれわた婚の撮影だったわ。二人して目を見合わすと、多分駿くんも同じことを思っていたんだろう表情でちょっと笑った。 「"マリオカートの得点を競い合ってください。負けた人は、勝った人をおんぶして最高の写真を撮ってください"」 「おんぶ…!」 「名前ちゃん俺持てんのかな…。」 「えっ既に私負けた想像されてる?なんでかな」 絶対負けへん!と二人してメラメラだったけど……結果、二人ともあんまり上手くなくてどんぐりの背比べレベルで駿くんが勝った。 「いやー、そうやと思ってましたよ。」 「あっそろそろ収録終わり?仕方ないな…」 「おーい。ちゃうちゃう。名前ちゃんこっち戻ってきなさい」 「……ちぇー。」 むくれた表情の私に、はいはいと宥めてくる勝ち誇った顔の駿くんがまた…!あんまりチンタラしてるとスタッフさんに怒られるので、渋々罰ゲーム遂行。おんぶしてやるよポーズで駿くんに背を向けた。 「早く乗っておい…「やっぱ俺がしよっと。」 「!?」 突然浮遊感に襲われて、気付けば見上げる形で目の前に駿くん。おんぶだと彼の後頭部しか見えないのに、今目の前に見えるということは、という、ことは………… 「わーーーー下ろして重たいから!!」 「いや俺負けたからさ…。」 「あなた勝ったでしょ!!負けたの私!」 「じゃ負けた人は言うこと聞いてね。」 お姫様抱っこなんぞ、芝居でもなかなかされないのに!恥ずかしさしかなく顔を手で覆うも、隙間から見えるニヤリと微笑む表情がほどよく胸をくすぐる。ねえ見えてるよ。と言われてすぐ手で隠した。もう恥ずかしいに殺される! 「お……お願いします下ろしてください…。」 「えぇー。あっでも最高の写真撮らなきゃだから」 「〜〜〜〜〜」 どうしよっか、…あ、良いこと思いついた!とそのままクッパ城の入り口まで連れて行かれ、そこからピーチ姫を助けて出てきました風に写真を撮った。こちとらマリオの帽子被ってんですよ…。とやっとの思いで下ろして貰えたので小声で突っ込むと、あっやり直しやな。と帽子を剥がれまたお姫様抱っこされて撮り直しました。自分で自分の首絞めただけだった。 2022.8.2 |