新居は都内のとある一軒家だ。鍵は暗証番号らしくスタッフさんに開け方を教えてもらう。鍵を開けて家に入るところから撮るらしく、ちょっとした荷物を持って道枝さんが番号で鍵を開けてくれた。扉を開けてくれるので、先に入らせてもらう。部屋の綺麗さに感動! 「わー!めっちゃキレイ」 「すごい…新築かな?」 「そうじゃない?そんな匂いする」 「あーほんまや新築の匂いする!」 自分で言ったし乗っかってもくれたけど、新築の匂いって何?って突っ込みそうになったが、何となく言いたいこと分かったので飲み込む。リビングに着くと、既に必要な家具と定点カメラが数台置いてあった。カウンターキッチンなところも最高である。 「まず探検しよう!」 「そうだね、わくわくするね!」 荷物を置くと、キラキラした目で訴えられる。でもその気持ち分かるよ!私も家大好きだもん!なんて思いつつ道枝さんの背中に着いていく。1階のキッチンの広さに感動し、お風呂の大きさに度肝を抜かれ。2階には部屋が2つあって、1つは定点カメラがなく衣装が結構置いてあったりで、衣装部屋兼休憩場所っぽい。もう1つは…… 「うわ〜…ベッド大きい」 「飛び込みたくなるね」 「…やる?」 「…やっちゃう?」 いたずらな目に誘われて、つい乗っかってしまう私をお許しください。せーの、と声を掛け合うとフカフカ新品ベッドに飛び込む。大きさ的にはダブル…いやワイドダブルかな?なんて考えていると、眠たくなる…と呟く夫役を見上げると目を掻いている。ねっ猫か…?可愛さが尊い猫なのか…!? 「ちょっとだけなら寝てもいいよ。」 「えー…。そんなこと言わんといて…」 「アハハ。もう寝そうやん」 「…」 スタッフさんをチラ見すると、少しならOKのカンペが。寝顔を撮りたいのであろう魂胆が見え見えすぎる。すうすう寝息が聞こえるので、視線を向けると女の子より天使な寝顔がそこいた。……全女子完敗では。布団を掛けてあげたいけど、布団の上に寝転んでしまったからな…。 そろりと立ち上がって、カメラから見切れるとスタッフさんにブランケットが無いかを聞いた。すぐ持ってきてくれるところさすがです…!と思いながら、私が探して持ってきました感を出して寝室に戻る。 「…おやすみ。」 カメラに背を向けないようにブランケットを掛けて、魔法の言葉を小さく呟いた。 ** その間、結婚式中に思ったことなどインタビューを受けていた。OKです、の声が掛かるとスタッフさんが道枝さんを起こしに行った後ろ姿が見える。その数分後、焦った彼の声がドタバタ音と共に降りてくる。 「すみません寝ちゃいました…!!」 「アハハ。寝顔ばっちり頂きましたー」 「あっえっ、…っアハハまじかぁ」 「結婚式大変だったもんね。」 あ、いや、そんなことなくて、あぁでも寝ちゃって…ともごもご言ってる道枝さんは可愛い。ディレクターや皆さんになかなか本気で謝っているも、皆全然OK的なテンション。寝顔の取れ高の方が上回るからだろうな…。でも欲張ったディレクターが、この流れちゃんと撮りたいからもう一回。となってまさかのテイク2を撮りました。 「あ、持ってきたものお披露目しない?」 「そうだね。えっと…」 カンペで持ち物披露の指示が入ったので、ダイニングテーブルに座った道枝さんに話しかける。彼は荷物の入った鞄を開けて…なぜか驚いている。 「えっ」 「え?どうしたの?」 「鞄の中にミッション(カード)入ってた……。」 「え。…どこにでもあるね」 なんて驚くも、さっきスタッフさんに入れといてねって言われてたやつである。驚く演技がこの撮影中に上達しそうだ。でも中身はお互いに知らないので、内容だけは初見だ。道枝さんはテーブルにカードを置いて、読み上げてくれた。 「"お互いの呼び方を決めてください"…」 「呼び方かぁ…。どうしよう?」 「なんて呼びたいとかある?」 「えー…。逆になんて呼ばれたい?」 「えっなんやろう。…俺いつもみっちーって言われてるから、…下の名前がいい、かも。」 「じゃあ駿佑くん?」 「あっ…うん。……なんか照れる」 そんな表情が、こちらにも伝染しそうなぐらい。でも正直駿佑くんって長いから駿くんがいい(ゴメン)。ので、上手く提案してみようと思う。 「駿くん…も良いかなって思うんだけど、」 「あー良い。…そっちの方が良い。」 「ほんと?やった!」 「あの…俺はさ、名前ちゃんって、呼べたらなって…、」 「え、いいの?ちゃん付けであんまり呼ばれることないから嬉しい。」 「そうなん?いつもはなんて呼ばれるん?」 「呼び捨て一択。」 「逆におもろい。」 珍し、と言って笑ってくれる中カメラが止まる。次のシーンに移るとのこと。もう君の関西イントネーションにつられまくりだけど、関西弁はギリ出てないと思いたい。次のカードどこに隠しますか?ってスタッフさんと楽しそうなので、まぁいいとしよう。そういえば持ち物披露はどうなったんだ。 2022.7.26 |