それいけ本気のヒーロー基礎学!


「わぁ、ももちゃん大胆な服装だね!」
「私の個性ではこの服装がベストですの。」
「ナナシちゃんは赤と黒でキマってて凄くかっこいいよ!」
「ありがとう!でも余裕があるとはいえ少しぴっちりスーツなのが恥ずかしいや。」
「ナナシちゃん...うちのを見てもそれ言えるん...?」
「似合ってるから大丈夫だよ!お茶子ちゃんかわいいから大丈夫!」
「ナナシちゃんありがとう...でも恥ずかしいものは恥ずかしいんよぉ...。」
「あはは...」

ヒーロー基礎学、ヒーローの素地を作るため様々な訓練を行う事業だ。今日は早速コスチュームに着替えて戦闘訓練を行うらしい。早速私は女子更衣室にて頼んであったコスチュームを着ながら、昨日今日と仲良くなったクラスメート達と喋りこれから行われる戦闘訓練に胸を高鳴らせていた。そろそろいきましょう、と言うももちゃんの呼びかけでみんなが演習場に向かって歩いて行く。

「自覚するのだ!今日から自分は...ヒーローなんだと!」

嗚呼、オールマイトの声が聞こえる。今日やっと、ヒーローとして一歩を踏み出せたんだ。

「さあ!始めようか有精卵ども!!」

※※※

「尾白くん、ナナシちゃん私ちょっと本気だすわ。手袋もブーツも脱ぐわ。」
「うん...」
「あはは、透明人間としてはいいんだけどねぇ...」
「よし、私が伏兵として隠れて2人を捕まえちゃうね!」
「おっけーじゃあ尾白くんと私で引きつけるよ。」
「わかった。」
「よっし、がんばろー!」

クジによって同じグループになった透ちゃんと尾白くんと意気込んだのはいいものの、

「これは反則じゃろうて...」

建物全体を凍らされて私たちは身動きが取れなくなってしまった。足が固められて少しでも動かすと痛みが走るし、少し足を動かそうとしたら足の裏の皮が剥がれそうになった。でも、これぐらいの痛みなら何とかなりそうだ。早くしないと轟くんたちが来てしまう。そう思った私は素早く鎮痛剤を口に含み足に力を入れるとぶちりと嫌な音がした。私が何をしているのか理解した2人は顔真っ青にして止めてきたけども、私は大丈夫と言ってそのまま足を氷から剥がした。その瞬間轟くんがドアから入ってきた(障子くんはいない。外で待機しているのだろうか?)。ちょうどいい、今国よりも動けないと装って油断させた隙にやってやろうと足の裏を修復しながら轟くんを見つめる。幸い彼は私の個性を把握していない。これなら奇襲は成功するはずだ。

「動いてもいいけど、足の皮剥がれちゃ満足に戦えねぇぞ。」

そう言ってゆっくりと核に向かって歩く轟くん。私の近くまで来た彼は流れてしまった血を見て少し目を見開いた。彼は私の個性を知らないから無理に動こうとして血がにじんでしまった、と思うだろう。大丈夫ばれていない。少し眉を顰めた轟くんは私の足から目を逸らすと足早に核に向かって行く。私に近づいてきて、横を通って、そのまま...完全に私に背を向けた今!

私は背中の刀を抜いて轟くんに向かって振りかぶった、しかし刀は氷で防がれて弾かれてしまった。...轟くんは背中に目でもついてるのだろうか、それとも気配でも察知できるのだろうか。ハイスペックすぎるよ轟くん。一度距離を取り踏み込んで再度轟くんを守っている氷に向かって走り出す。木刀を真剣に替えて氷に突き刺し、そこを軸にくるりと回り込み轟くんの前に滑り込む。驚いている彼にその勢いのまま木刀を薙ぎ払うとまた氷に防がれてしまった。それならば、と氷のかたまりの上に飛び乗りそのまま轟くんに向かって滑りながら蹴りを入れようとするが今度は足ごと固められて身動きが取れなくなってしまった。ぐぬぬ、目に見える範囲で目に見える速度だと氷の壁に阻まれてしまう...なんとか氷の不意をつくことはできないだろうか。

「むむ...」
「ナナシ、お前がどうやって拘束から抜けたのかわからないがもうこれで動けないだろ。」
「...」

轟くんが不思議そうに私のことを見つめるが、私の頭の中はどうやって彼を出し抜こうかという思考でいっぱいいっぱいだった。そうだ、今この固まった足を氷ごと切ってしまえば出血も相まって驚いて不意をつけるかもしれない。そう思った私は残っていたもう1本の木刀を真剣に替え、一度躊躇った後奥歯を噛み締めて思いっきり切り落とした。

「!?」
「ぐゔゔゔゔゔ!!!」

目を大きく広げ驚き固まっている轟くんに飛びつく形でテープを巻き付けようとした瞬間、

「ヒーローチームWーーーN!!」
「え゙!?」

突然聞こえた敗北宣言に気をとられて体の方向転換できずに轟くんの上に落ちてしまった。

「...っ」
「あっ、ごめんね!今すぐ退くね。それにしてもなんで負けたんだろう。轟くんはここにいるの「なぁ。」うん?どうしたの?」

すぐに足をくっつけて轟くんの上からどいて立ち上がろうとしたら、ぐいっと腕を引かれてまた轟くんの上にまたがるようになってしまった。どうしたのだろうかと彼を見ると、無言で食い入るように私の足をじっと見つめている轟くんにさっき足を気を切り落としたのだと思い出した。今思えば何も知らない轟くんからしたらだいぶショッキングだったかもしれない...。

「ごめん轟くん。いきなりでだいぶ驚いたよね?これは私の個性なんだ。」
「個性?」
「うん。」
「俺の幻覚ではなかったのか。大丈夫なのか?今はもうなんともなさそうだが...」
「うん!もう大丈夫!もうこの通りおーるおっけー!」
「そう、か。」
「少年少女よ、お話中悪いけど講評の時間だ。戻るぞ?」
「あ!ご、ごめんなさい。」
「わかりました。」

寒さでガクガクしているオールマイトや透ちゃん達に謝って今度こそ立ち上がった。核の方をみると障子くんが近くに立っていたし、後ろの窓が開いていたからきっと窓から入ってきて核にタッチしたんだな、と理解した。やっぱり悔しいぞ...。やっと氷から解放された透ちゃんと尾白くんと一緒に悔しがりながらみんなで建物を後にした。

その後反省会でみんな(爆豪くんは帰っちゃたし緑谷くんは途中参加だったけど)と仲良くなって個性について根掘り葉掘り聞かれたお話はまた今度。

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