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「ナナシさん、今日は少し頑張ってみませんか?」
「うん?頑張る?」
「はい!」
にこにこ笑ってナナシさんに抱きつけば不思議そうな顔をしながら聞き返してくる彼に頷く。また何か企んでるな、と苦笑いしながら頭を撫でてくるナナシさんに彼の苦手なおねだり笑顔を浮かべて言う。
「前立腺マッサージですよ。」

***

「どうですかナナシさん、何か感じますか?」
「ぅ、ぐぅ、なんというか気持ち悪い、ぅぅ、」
「んん...難しいですか...。」
「すまない、っ、」
「一度抜きますね。」

あの後前立腺マッサージを知らずはてなマークをだすナナシさんをまあまあやってみましょうと流してベッドにうつ伏せになってもらった。完全に普通のマッサージだと思っている無防備な彼のズボンとパンツをいとも簡単に脱がせあれよあれよとローションを使って尻の穴に指一本挿入できる程にまで慣らしてやった。そこから丹念に腹の方にあるしこりを撫でたり軽く押したりしているが進捗は良くない。ただただ苦しそうな様子だから一度抜こうと思う。眉を寄せて目を閉じ違和感に耐えているナナシさんの頭を撫でながらゆっくりと指をアナルから抜く。完全に抜け切るとナナシさんは一息ついて枕に顔を埋めた。大丈夫ですか?と聞けば覇気のない声で未知の感覚だったと返ってきた。ううむ、ナナシさんの息子さんは全く反応していない、前立腺マッサージは失敗か...。快楽を拾えない今、尻を弄られるのはただ違和感を感じるだけだったみたいだ。労わるように撫でながら彼の尻のローションを拭っていると震えながらくぐもった声ですまない、と聞こえた。

「すまない、私の為にやってくれているのに成果をだせていない...それにお、男の尻なんてものを触らせてしまった...。」
「何を言ってるんですか。前にも言ったように俺は貴方を触ることができて役得なんです。それに貴方のお尻を弄れるなんてこれ以上最高なことはないですよ。」
「な、」
「嗚呼、耳が真っ赤ですよ?はは、可愛い。」
「意地悪だ。」
「いいえ?愛ですよ。それにですね、ナナシさんが感じることができるようになったらセックスするのにお尻使いまくるんですよ?気にしちゃいけません。」
「は、え?尻?」
「ええ。あ、もしかして上が良かったですか?うーん、なら俺が慣れとかなきゃいけないですね...。」
「ま、待ってくれ。」

枕にうずめていた顔を勢いよく上げ、こちらを驚愕な顔で見つめてくるナナシさんに首を傾げる。その驚いた表情のまま彼は、尻を使うとはどういうこと?と聞いてきた。んん?...もしかしてナナシさんやり方をしらない!?

「え、と男同士で行うセックスですよ。」
「なん、だと、」

そこから小一時間程、一から懇切丁寧に教えていった。色んな所で恐れ慄き驚愕していたがなんとか説明し終わった、達成感を感じる...。

「人体って凄いな。」
「ええ。」
「うん、そのアナルセックスってのをできるように私も頑張るよ。」
「ぶっ、も、モロ言いますね。」
「今更でしょう。」
「まあそうですけど...。」
「ん、なんだ、前立腺マッサージってのは少し苦手だけど、今後のことを考えたら慣らす意味でも効果的かもしれないな。」
「は、はい(俺がやらなくても自ら丸め込めれてくれてる...)。」
「頑張るよ!インポ治しも!尻穴トレーニングも!」
「ぶはっ、」

ガッツポーズをキメてにっこりと笑いながらとんでも発言をかますナナシさん、そういうところほんとさ...はーもう、かわいいすき。