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くちゅりくちゅり、水音が寝室に響く。それと同時に控えめに喘ぐナナシさんの声。脳みそが溶けそうだ。ローションを塗りたくって丹念に穴の周りを解してからまず小指を入れた。前に前立腺マッサージを何度かしたが全敗、その時のリベンジと燃えていた俺だが少し拍子抜けをした、5分ほど陰茎と一緒に弄っているとナナシさんが声を上げ始めたのだ。恥ずかしそうに声を抑えているナナシさんすっごいエロい...。小指を抜いて中指を入れてぬぽぬぽと慣らすように抜き差ししているとふるふると腰が揺れる。抜ける時が好きみたいだ、指を引くときゅーっと吸いついてくる。

「ナナシさん、どう?気持ちいい?痛くないですか?」
「ん、んっ、大丈、夫。なんか、へんなんだっ、変、」
「大丈夫です、それは気持ち良くなってる証拠ですよ。もうちょっと頑張りましょうね?」
「ん、わかっ、たぁ、」
「ん゛ん゛っ、」

首を縦に何度もこくこく振りながら目を細めて快感に耐えているナナシさんにはやる気持ちを抑えてしっかりと慣らしていく。二本目入れますね、といい人差し指をゆっくりいれて馴染むようにゆっくり動かす。ぬぽぬぽくちゅりくぽくぽ、そんな水音が増していきもういよいよ俺の股間も我慢できなくなってきた。中指と人差し指をばらばらに動かし中を広げるように力をいれるとそれに合わせてナナシさんが引き攣ったような声をだす。腹側にあるしこりを二本の指でこりこりと掴むと一際高い声をだす。すごいなこれ、初めてはそんなに感じにくいと聞いていたけど良かった...まだ感じていない時に弄ってたのが効いているのか?いや一年ほどブランクあるしな...ナナシさんが元来感じやすい体質だったんだろうな。ぬぽんっ、と音を立てながら指を引きぬいて快感に耐えているナナシさんに声をかける。

「ナナシさん、ある程度ほぐれましたよ。大丈夫ですか?」
「ああ、ありがとう降谷さ、んん、すごいなこれは...」
「ははは、やりがいのある反応で俺楽しかったです。」
「恥ずかしいな...。」
「とても可愛らしかったですよ。」
「ぐぅ...。」

だからぁ!照れると俺の視界を遮ってくるの可愛いんですよぉ!その手を避けて腕を潜りぐいっとナナシさんの顔に近づく。そのまま彼の目を覗きこみ先程ほぐしてひくひくしているソコをつつと触りながらお願いする。

「ナナシさん、ここに俺のをいれてもいいですか?」
「ああ、そうだったね。いいよ、お願い。」
「(言葉にならない)」

俺の頬を包み頬笑みながら額にキスをしてくるナナシさんに内心悶えながらコンドームをつけようとして固まった。やばい、コンドーム無い。嗚呼、ご無沙汰だったし一人ではローションは使うとしてもコンドームは使う予定がなかったから...今日こんな事できるとも思ってなかったし。あーーどうする降谷零。今から買ってくるか?物凄い据え膳だしナナシさんも折角快感を拾えるようになったっていうのに萎えちゃわないか?だがどうするもなにもナマでなんかしてナナシさんに負担をかけるわけにはいかないわけで、買ってくるしか選択肢はないわけで、

「どうしたんだい?」
「あっ、その、誠に申し訳ないんですが、」
「?」
「コンドームが、切れていて...」
「ホー?」
「買ってきても大丈夫ですか!?」
「...あのさ、降谷さん、」
「な、なんでしょうか!?」

嗚呼これは駄目なやつか?用意悪いって萎えてしまった?呆れられた?心臓ばっくばくさせながら俯いて俺の腕を掴んでるナナシさんを見つめる。そのままで彼はぽそりと言った。

「降谷さんがいいなら、そのままで、いいぞ。」

世界が止まった。...気がした。言われた言葉を脳内で何度も反芻する。降谷さんがいいならそのままでいいぞ。降谷さんがいいならそのままでいいぞ。...なま?ナマ!?はぁ!?そのままってナマだよな!?俺が固まったのが拒絶の反応だと思ったのかナナシさんが慌てて何か言っているのを遮っていいんですか!?と食いついた。彼は驚いたように一度瞬きをしてから頬をぽりぽり掻きながら君がいいのなら...と言うものだから俺は感極まって出そうになった。危ない。

「いいんですか?」
「君も私もこんな状態で外に出れると思っているのかな?」
「うっ...」
「...それにね、その、私が耐えられそうにないんだ君が返ってくるまで、」

こんなにしたのは君だ責任をとっておくれ、と顔をこれ以上ないぐらい赤くして言うナナシさんにぷつんと何かが切れた音がした。