恋人に攻められる日1


どうしてこうなった。

腕を縛られベッドに横になっている俺は考えた。何か些細なことでナナシさんと喧嘩したのだ。本当に些細な事で。俺から始めた喧嘩だった。普段は全く気にしない様な事だったのに、徹夜が続いたせいだろうか神経質になっていた俺は何回もナナシさんに突っかかった。俺の言葉をずっと受け流すナナシさんを見て無性に寂しさと苛つきを覚えてもっと拗ねた。その後反応がおざなりなナナシさんの手を引いて押し倒してしまったことも覚えている。一瞬驚いた顔をしたナナシさんはすぐに呆れた顔になった後一言呟いたことも覚えている、寝なさい、と。この時鼻に布を押し当てられたまでも覚えている。この後から記憶がない。目が覚めるとベッドに腕を縛られ仰向けに寝ていた次第である。疑問符を飛ばしまくっていると寝室のドアが開いてナナシさんが入って来た。

「おはよう降谷さん。気分はどうだい?」
「お、おはようございます。気分は特に悪くないですけど...。」
「それは良かった。君寝不足で物凄い不機嫌だったからね。何徹してたの?」
「3徹です...すみません、本当に酷い事を俺は...。」
「君ってば寝なさい、って言っても嫌だ、の一点張りだったもんなぁ。」
「いや、本当に申し訳ない...。」
「はは、気にするな。」

いつも通りに朗らかに笑うナナシさんに申し訳なさが際立つ。迷惑を沢山かけてしまった。いや待て、いつも通りすぎるナナシさんに流されるところだった。

「ナナシさん、あのこの状態ってどういうことですか?」
「そうだ降谷さん喉渇いてないかい?」
「え、渇いてますが...。」
「ん。」

俺の質問には答えずベッドサイドに置いていたペットボトルを口に含み俺の上に乗り上げ口付けてきた。急に与えられる水に少し噎せながらナナシさんの目を見ると彼の眼は座っていた。そしてふわりと匂う酒の匂い。俺が水をのみ込んだ事を確認して口を離したナナシさんはにんまり笑った。

「物凄く傷ついたんだ、私。人を傷つけるような悪い子にはお仕置きが必要だな?」

ナナシさん、物凄く酔ってるなこれ。

***

あの後結構長い間キスをして(ナナシさんからのはいつまでたってもキスが上手くならずたどたどしい)、恥ずかしいからと目に布を巻かれた。変に羞恥心がまだ残っていたらしい。俺のシャツのボタンをまごつきながら開けたナナシさんは俺の上半身の至る所に吸いついては満足そうにうむ、と呟いていた。目隠しが恨めしい、ナナシさんのそんな所滅多に見れないというのに...。ある程度吸いついたら満足したのか今度は俺のズボンを脱がせ、パンツから俺のを取り出した。勿論俺のはがちがちになって先走りも凄かった。そんな俺のを見てナナシさんは先を指でくるくる撫でながら笑った。

「はは、もうこんなになってる。」
「ナナシさん、」
「こんなに出してパンツもぐしょぐしょじゃあないか、いけない子だなぁ。」

撫でていた指を止め、今度は先をタップするように動かし始めた。もどかしい刺激にもっと触って欲して腕を動かすが縛られている所がギチリと言うだけ。触って欲しい?と聞いてくるナナシさんに眉を下げて彼の苦手な顔でお願いすると、少し詰まったような声を出したナナシさんは息を吐くように笑った。

「わかった。そんな顔できないぐらいやってあげようじゃないか?」

そう言われた直後俺のモノが温かく柔らかいものに包まれた。んぐ、ゅぢゅ、と少しの嗚咽と水音が俺の耳を刺激する。突然のフェラに驚いて声を上げる俺を見て嬉しいのか、咥えたままのナナシさんの笑い声が聞こえる。吐息が当たってくすぐったい。まだ慣れていないからか途中までしか入ってないけど十分に気持ちがいい。視覚が隠されている分他の感覚が敏感になっているみたいでいつもとは違う感覚に腰が震える。沢山の唾液と舌も絡めて動かされ、時折舌で先を舐られ、ナナシさんの中に入っているような感覚で無意識に腰が揺れてしまう。嗚呼、今すぐにでもナナシさんを押し倒して中を慣らして入れたい。あの中の感触を思い出しながら息を上げていると急にじゅっと吸い上げられた。突然の刺激に出しそうになるとナナシさんは口を離し根本をぎゅっと掴んできた。出そうになっていたものを止められ俺は行き場のない快楽に唇を噛んで耐えた。

「嗚呼、唇噛んじゃ駄目だ。ほら、口開けて、ん、ちゅ、」

頭の中で快感がぐるぐるしながらキスをしていると、いつの間にか何かで根本が縛られていた。外してくれ、と言えば駄目だ、と返ってくる。

「絶対君だけでイかせない。イくなら一緒に、な?」

そんな可愛い事言うと再び俺の腹部辺りまで乗り上げてくる気配がした。入れようとしてるのかと思い慣らさないと、と言えばわかってる、と言いローションを出す音が聞こえた。

「ナナシさん、ちゃんと慣らさないと痛いですよ。俺が慣らすのでこれとってください。」
「いいや、今日はそれ取らないからな。お仕置きなんだから。」

ローションを掌で温める音が聞こえる。ぬちぬち、と少し聞こえた後抑えたような声が聞こえ始める。まさか、まさか...!

「ナナシさん、も、もしかして自分で慣らして...?」
「っ、ん、ふ、はは、」

はは、じゃないですよ!?