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「ナナシさんはなぁ、俺が疲れているときにはなぁ、家で待っててくれてなぁ、それでなぁ、俺をよしよしーってなぁ、してくれるんですよぉ!」
「降谷君、飲みすぎじゃないか?それにいつもより酔いのまわりが早い気が...。」
「ナナシさんとの飲みだと聞いて心ウキウキワクワクしていたってのに彼は用事で来れなくなったし、その代わりなのか赤井がやってくるし何なんですか赤井ィ!5徹明けなめんな!」
「せ、説明ありがとう。」

ナナシ君に、降谷さんと久々に飲みませんかと誘われたはいいが、当のナナシ君はボウヤとまた事件に巻き込まれたらしく来られなくなりこの酔っ払いを一人で相手しなくてはならなくなったわけだが、うむ、

「ナナシ君がいないと本当に面倒だな君は。」
「あ゛?」
「何でもないさ。」

口を開けばナナシさんナナシさん、仲がいいのは良いことだが段々胸やけがしてきた。甘すぎる。今でもナナシさあああんと呻いている。ほんと降谷君をいつも世話しているナナシ君は凄いな。

「そうだ、赤井、」
「どうした、降谷君。」
「あなたナナシさんとAV観たってほんとですかぁ!?」
「降谷君...声が大きいぞ...。」
「なぁにうらやけしからんことしてるんだおまえはぁ!」
「酔っぱらいはやっぱり話を聞かないな...」

指を俺に突きつけながらジト目で見てくる降谷君に溜息をつく。それを見た彼はなにためいきついてるんですか、ともっと絡んできた。それを宥めながら話の続きを促す。

「それで?なんで一緒に観てるんですか。俺も一緒に観たい。」
「観ればいいじゃないか。」
「は、恥ずかしいこと言うな赤井ィ!」
「なんなんだ君は。」
「なんで一緒に観ることになったんですか。」
「いや、工藤邸に匿ってもらっていた時に家政婦のナナシ君と一緒に住んでたのは君ももう知っているだろう?」
「ええ、もう羨ましすぎて何度枕を濡らしたか。」
「(もう突っ込まんぞ)それでなナナシ君がああいうことに疎いと知ってな、勉強にとみせたんだ。」
「疎い人に洋物みせるのはどうかと思いますよ...。」
「?」
「洋物は激しすぎるんですよ!」

元々酔いで赤くなっていた顔が急にもっと赤くなる。なんとなく察した。今度は日本のモノをみせておこう。まあそのおかげで良い思いができたようだが?と聞くと降谷君はもっと顔を赤くして突っ伏し小声で感謝はしておきます、と言われた。うん、酔っ払い降谷君は面白いな。素に戻ったときにからかってやろう、酔っ払いに付き合わされた仕返しにな。