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幼い頃勝手に入ってはいけないと言われていた地下の蔵を覗いたことがあった。誰かに呼ばれていた様な気がしたのだ。覗いてから物凄く後悔したと同時に吐きそうな不快感を抱いた。中で蠢く何かとなんとも言えない空気と空間、誰もいないのに誰かが叫んで怒って泣いて嘆く、そんな声が聞こえた気がした。閉めなくてはここにいてはいけない、扉を閉めて部屋に戻って布団に入りこれは夢だったのだと、朝起きてまた見たらここは普通の蔵だったと安心しなければ、そう考えるも足が手が体が動かない。

「なんじゃナナシここが気になるのか。」
「お父様...。」
「ついてこい。」

蔵に降りていくお父様に着いていきたくないのに体は言う事を聞かず後を追って自分も蔵を降りていく。下にまでは降りずに階段の途中でお父様が止まったのを見て少し安心した。そんな私をにやにや見ながらお父様はこれが間桐の魔術じゃ、と言った。

「蟲蔵に放り込むのはもう少し後にしようと思っておったが、」
「えっ」
「行ってこいナナシよ。」

大量のもぞもぞに気取られてお父様が後ろに立ったのに気がつかなかった。背中を押された感覚がして急いで振り返るも、もう既に私は下に落ちていた。お父様のしたり顔を見ながら思い出したのは前世の記憶にあるFateという物語。私はなんつー所に産まれてきてしまったんだろうか。
その日から私は間桐としての人生を歩み始めた。