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「ナナシおばさんこんにちは!」
「はい、こんにちは桜ちゃん。今日から一緒に暮らすことになったから、よろしくね。」
「うん、よろしくおねがいします。」
「ふふ、いい子いい子。」

お父様に連れてこられた桜ちゃんは健気に挨拶してくる。その姿は愛らしくてついつい撫でてしまった。撫でられてニコニコ笑うようじょプライセス。
桜ちゃんの部屋となる所に案内し中に招き入れる。机とタンス、ベッドととりあえずの家具しか置いていない部屋はすこし殺風景だった。

「何か欲しいものがあったら何でも言うんだよ?」
「うん...でも...」

少しもじもじしながら遠慮している桜ちゃんの頭を一撫でして、少し待っててねと言って私の部屋である隣の部屋に行く。自室に置いてあったくまのぬいぐるみを手に取り桜ちゃんの元に戻り、きょとんとしている彼女に手渡すと戸惑いながらも受け取ってくれた。

「このくまさんは、桜ちゃんとおばさんが一緒に暮らすことになった記念なんだけど受け取ってくれるかな?」
「いいんですか?」
「もちろん。」
「わぁ...ありがとうナナシおばさん!」
「いいえ、これで桜ちゃんと私は仲良し?」
「うん!もちろん!」
「嬉しいなぁ。」

笑顔でくまのぬいぐるみを抱きしめるこの子を見て、さっきお父様と話した内容が頭を過ぎった。


「遠坂の次女を間桐の養子として迎えることにした。」
「!?何故ですか、何故遠坂の子を受け入れるんですか。」
「クカカ、同じ女子として間桐に入る理由はおぬしには分かるじゃろ?」
「その役目なら私がいるではないですか。」
「此度の聖杯戦争でおぬしが死んだらどうする?儂は悲しみで胸が張り裂けそうよ。」
「...」
「クク、冗談じゃよ、そう睨むな。保険じゃよ保険。おぬしが死んだ際の次の胎として遠坂桜を迎える。」
「そうですか…。」
「3日後から桜の教育を始めることにする。」
「...桜ちゃんの教育は聖杯戦争が終わるまでお待ちいただけないでしょうか?」
「うん?」
「私自身聖杯戦争に集中すると思いますので桜の教育が疎かになると思われます。それに桜は私が死んだ時の保険だと先程おっしゃいましたよね。ならば私が生きて聖杯を持ち帰れば遠坂の子には用は無いでしょう?」
「ふむ。」
「私が聖杯を持って帰ります。そして間桐の胎としてその役目をしっかり果たしましょう。」
「クカカ、そうじゃのぅ。無事に聖杯戦争を切り抜けたら、遠坂の娘をおぬしの好きにすると良いわ。」
「...ありがとうございます。」
「雁夜の時以来の娘の願い事じゃ、聞き届けねばのぅ。」


「ナナシおばさん?」
「ああ、ごめんね桜ちゃん、少しぼーっとしちゃってたよ。」

不思議そうに見上げる桜ちゃんに少し微笑む。そうだ、この無邪気で愛らしいこの子を穢させてなるものか。この子も、この子の為に戻ってくるであろう雁夜も私が守る。