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「じゃがのう雁夜よ。此度の聖杯戦争にはナナシがでることになっておる。」
「こんな奴に桜ちゃんを任せる事なんてできるか!俺が聖杯を取ってきて桜を助ける。」
「...ナナシよ、雁夜はこう言っておるしの此度の聖杯戦争は雁夜に譲ってはどうだ?」
そう言うお父様の顔にはとても面白がっています、という表情がありありと出て、雁夜にマスター権を譲れと目で促される。しかし私は頑なに首を振らなかった。ここで首を縦に振ればすぐ様修行という名の元に蟲蔵行きになりお父様の玩具になるだろう。それは避けねばならない。先程の廊下での雁夜との会話で彼は私に敵対心を剥き出しにしてきた。そこは狙い通りというかなんというか取り敢えず喜ぶべきところなのだが、如何せんここまで聖杯戦争に参加したいと言うとは思っていなかった。罪悪感やらなんやらを持つよりは怒りを持ってしまう方が雁夜にとって良いかと思ってあんな(自分でもとても酷い事だと思っている)ことを言った。雁夜はとても優しく、人のことを思い遣る子だから罪悪感等持ってしまったらその想いに押し潰されてしまうかもしれない。それならばいっそのこと、と思っていたが少し愚策だったのかもしれない。
「私が聖杯戦争にでる、これだけは譲れません。」
「だからお前みたいな奴に桜ちゃんの運命を任せられるか!」
「堂々巡りだな。大体魔術師でない雁夜がどうするつもりなのか?」
「ぐっ、あと一年ある。その間に...」
「付け焼刃の魔術で勝てると思ってるの?」
「ぐぐ、」
「それでは聖杯戦争を勝つことは疎か、生き残る事も難しいだろうね。しかも一年でやるとなると無理に魔術回路や体を弄ることになるからその分君の身体に物凄い負担がかかる。予想もつかない痛みが身体を襲い最悪死に至るだろうね。それでも聖杯戦争にでると言うの?」
「あ、ああ、それでも俺が「ふふ。」なんだよ。」
「いや、すまない。余りにも面白い冗談だと思ってね。」
「なんだと!?」
「一年でなんとかする?どんな痛みや恥辱にも耐えられる?気合いは充分、だけどね気合いだけではどうにも出来ないことがあるんだよ。ふふ、魔術を舐めるなよ。」
「っ...」
「雁夜は犬死にしに帰ってきたのか?違うだろう、桜を助けにきたんだろう?私が聖杯を持ち帰れば雁夜のその願いも叶うだろう?私に任せておけばいい。」
「...」
黙った雁夜を見て話は終わったと思い立ち上がる。少し面白くなさそうなけれどもどこか楽しそうなお父様に私が出ますよろしいですね、と問えば二つ返事で応じた。ドア付近に佇んでいる女中に話が終わり次第桜ちゃんの部屋に案内するように命じ廊下に出ようとした所で思いついたことを呟いた。
「...聖杯戦争が終わるまで桜の側にいて守ればいいじゃないか。」
雁夜が顔を上げてこちらを見る動作をしたが無視をしてドアを閉めた。この後は特にする事もないから蟲蔵に篭ろうかな。無事に聖杯戦争に参加できることになったし雁夜の為にも桜ちゃんの為にも勝たねばならない。
@ナナシさんのFateの知識やら前世の記憶は蟲蔵修行し始めた頃から徐々に薄れて今では殆ど覚えていない状態です。2の雁夜おじさん家出の時点で雁おじと桜ちゃんの所ぐらいしか知識が残っていません。そして今はただ漠然と雁夜と桜ちゃんを守らないといけないという思いだけがある状態です。