01

私は幸せだった。優しい両親に可愛い弟、家族同然な村の人達。そんな彼らに囲まれ、騎空士なんてものにも憧れ友達を鍛錬なんて名ばかりのお遊びをして、羊のお世話して、それで、それで、そんな平和な日々が愛おしかった。そんな日常がいつまでも続くと、そう信じて疑わなかった。

村が、全てが焼けていく。急に現れて逃げ惑う村人を切り伏せる見知らぬ人達。人の形をしている悪魔なのだろうか。父は私達を森に逃がして悪魔達に向かっていった。絶対に追いつくから先に行っていろ、と。母は途中で小さな魔法を手から出しながら立ち止まった。お母さんも後で絶対に追いつくから先に行っていなさい、と。私は泣いて嫌がる弟を抱き上げ振り向かず走った。走って、走って、でも子供の体力なんて高が知れている。足が縺れてこけて悪魔達に追いつかれる。疲労と恐怖で震える足を抑え込んで弟を背にやり立ち上がる。弟に指一本触れさせてやるものかと悪魔達を睨みつけ腰に着けていた短剣を手に取り、近づいてくる悪魔共に短剣を振り回したが軽くいなされ地面に叩きつけられた。離せ、弟に近づくな、触るな、大声で喚き散らしながら暴れて暴れてでも大人の力には勝てない。頭に何か叩きつけられ激痛は走って視界が歪んで真っ暗になった。

***

目が覚めると見知らぬ天井が目に入る。ぼんやりと周りを見渡すが益々見覚えのない部屋で痛む頭を抱えながらベッドから出ようとすると扉が開いて男が入って来た。男は身構える私を宥めて状況を説明する。私が怪我をして倒れていたこと、そんな私を助け介抱してくれていたこと、私の両親かは分からないが亡くなっていたいた村人は手厚く葬ったこと、私の言った村人の人数と亡くなっていた村人の人数が合わない事、私の傍には弟はいなかったこと。男は動揺している私を落ちつかせるように私の弟は生きているかもしれない、敵国に連れ去られた可能性があると言ってきた。

「弟を助けたいか?」
「勿論です...あいつらから、悪魔共から弟を取り返して、あいつらを一人残らず、」

男は血が滲む程握りしめている私の手を取ってならば強くならねばならないと言う。そうだ、強くならねばならない。あいつら全員同じ目にあわせてやる。それが生き残ってしまった私の使命だ。教えを乞う私の頭を一撫でして男は耳元で囁いた。

「敵はウェールズだ。我等ピクトと共に全ての元凶ガハムレットを討つのだ。」