あれから泣き疲れた私は眠ってしまい、今までの疲れや怪我を治すかのように三日も眠っていたらしい。その間にあれよあれよいう間に王とヘルツェロイデ様は私を宮中に迎え入れる準備を整えていた。起きぬけにそんな事を聞かされた私は動きにくい体に鞭を打って王座の間に向かい御二人に辞退の意を唱えた。するとヘルツェロイデ様にアリエスの子供は私の子供同然!それとも私がお母さんは嫌かしら...?と涙目で言われ、王にはヘルツェロイデを悲しませる気か、とにやにやしながら言われ、断れるはずもなくなし崩しにお世話になることになってしまった。
それから私の子供たちに会って欲しいの、と私の手を引きながらヘルツェロイデ様が中庭に連れてこられた。前に来た時は夜だったからよく分からなかったがこうして見ると花が沢山あって素敵な中庭だ。その中心にある木の下のベンチに子供が三人集まって何か本を読んでいた。木漏れ日がとても気持ち良さそうだ。
「みんな〜少し集まって〜!」
ヘルツェロイデ様がお声をかければ子供たちは満面の笑みでこちらに走ってくる。ヘルツェロイデ様が全員の頭を撫で、子供たちに私を紹介し始めた。
「みんな、この子はトーちゃん。私の親友の御子さんでね、今日から一緒に暮らすことになったの〜!」
「一緒に...」
「そうよ〜私達の家族になるの!みんな仲良くしてね?」
「はい!母上!」
「ふふ、さあみんなトーちゃんに自己紹介して?」
「我はアグロヴァル、ウェールズ家長男だ。」
「僕はラモラック!よろしくね〜!」
「じ、自分はパーシヴァルです。よろしくおねがいします。」
「...ご丁寧にありがとうございます。トーと申します。」
子供ながらに堂々とした御姿のアグロヴァル様、柔らかな笑顔を浮かべるラモラック様、御二人の後ろから覗くヘルツェロイデ様に似ていらっしゃるパーシヴァル様に跪いて挨拶を返す。そうすればヘルツェロイデ様が家族なのだからそんなことしなくていいのよ、と仰られ私を立たせる。本当にこの御方は...。
「さてみんな、トーちゃんも一緒に遊んでいらっしゃい。」
「ヘルツェロイデ様...。」
「私この後公務があるの...トーちゃんみんなをお願いね?」
「かしこまりました。」
「ありがとう!」
「トー、こっちにこい。今本を読んでいたところだ。」
ヘルツェロイデ様に一礼してアグロヴァル様についていく。ラモラック様にこっちこっち、と腕を引かれパーシヴァル様はおずおずと反対側の手を引く。ふと弟の事を思い出す。私も弟に木の下で読み聞かせをしていたものだ。とても眩しいものをみるように目を細めてしまう。嗚呼、今度こそ守らねば。