スク お風呂
明るかった空がオレンジから紫色に変わる頃、騒がしい足音が廊下に響く。
キーボードを叩く手を止めて廊下に出ると、やっぱりあの銀髪がひとり歩いていた。
「スクアーロ、おかえり」
振り向いた彼の顔は仏頂面。またボスに投げられたのだろう、赤ワインが顎からぽたぽたと垂れ落ちていく。あまりに可哀想なその姿に思わず吹き出してしまうと、彼は更に眉間に皺を寄せてしまった。
「ゔぉおい、笑うとはいい度胸だなぁ」
「ごめんごめん」
彼に近づきながらポケットからハンカチを取り出して顔を拭ってあげる。機嫌を良くしたのか そのまま抱き締められた。
大きく息を吸うと、大好きな彼の匂いと赤ワインの匂い。微かな火薬の匂いと…血の匂いがした。よく見ると綺麗な銀髪の所々にどす黒い血がこびりついている。
今度は私が眉間に皺を寄せると 彼が不思議そうな顔で見つめる。
「今日はもう終わり?」
「おぉ。今日のボスさんの相手は終わりだなぁ」
「じゃあ、私ももう上がろうかな」
彼の腕の中から手を伸ばして銀髪に触れる。既に血は乾いていて固まっている。
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