おやすみ太陽

雀の鳴き声が聞こえたような気がして、うっすらと目を開ける。隣で寝ている彼を起こさないように枕元に置いていたスマホに手を伸ばして時刻を確認すれば、午前7時20分。起きてしまってもいいけれど、今日は2人ともオフなのだ。隣で寝ているジュダもまだまだ起きないだろう。もう一度布団にもぐり返して整った顔立ちを見つめる。ひとたび起きれば傍若無人で自分勝手で一言喋ればふてぶてしい、そんな人だけれど。寝顔はそんなことを感じさせないくらい大人しくて、今も規則的な寝息を立てている。その様子をこんなに近くで眺められるのは、今世界の中で私だけなのだと思うと頬がムズムズと緩むような気がした。
(…起こさないように、少しだけ)
だからふと湧き上がったこれはちょっとしたイタズラ心で。寝癖は付いているのに柔らかそうなジュダの髪の毛にそっと手を伸ばす。否、普段から羨ましいくらい柔らかいのだけど。

「……ん、」

擽ったそうに身じろぐ様子を内心可愛いと思いながら、私だけの特別な時間を過ごす。

「……何勝手に触ってんの」

そう思っていたのもつかの間。次の瞬間目が合ったのは紛れもなくジュダその人で。まだ眠そうに欠伸をしながら髪を撫でていた手を取られる。

「ご、ごめんね?起こしちゃったかな…」
「別にいいけど。つか、今何時」

少しだけ怠そうな声色はジュダの頭が完全に覚醒していないことを悟る。先ほどからあまり時間は経ってないだろう。7時半くらいじゃないかと伝えれば、一気に不機嫌さを露わにした。それもそうだ。ジュダにとって、そもそも8時台でもまだまだ早い時間なのだから。ごめんね、と再び謝れば返ってきたのは「不細工」という言葉だけ。

「朝から変な顔してんじゃねーよ」

別に怒ってねぇから、そう言いながら腕の中に丸め込まれる。その温度がいつだってあたたくて、好きだから。しっかりと目覚めていたつもりだった意識も、うっすらと眠気を促してきた。

「でもまだ寝とけ。俺も寝るし」

ちゅう、とおでこに1つキスが落とされたかと思えば、欠伸を1つ。そうして10秒も経たないうちに心地よさそうな寝息が聞こえてきた。せっかく起きたんだから、とか言いたいことはあったけれど。折角の休日だ。今日くらい寝坊しても許されるのかもしれない。何より、私もまだこうしていたいから。もぞりと、今度こそ起こさないように。もう少しだけジュダの方に擦り寄って。襲ってきた微睡みに身を任せることにした。

「おやすみなさい」

次に目覚めた時は、きっとこんにちはと言うんだろう。それも案外悪くない。