その天上に、気づいてはいけない――
キャラクター 用語 小説
- イル・メ・トーラ
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一般的認識として「人外・怪異的力を持つ人々」を意味する。
また彼らは「音文字」を刻むことで、人ならざる存在 「違う者・叡者」か 「古い人間」の力を憑依させ、使用することが出来る。イル・メ・トーラの多くは温かい血肉を好む。それはやや奇抜だが、良識の範囲で済む文化であろう。
だが一部の、極端な思想の持ち主達は、周囲の犠牲を顧みない。そうして長い長い、血で血を洗う歴史が築かれた。
誰の意図とも知らないで。
- 違う者、叡者
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人間とは違う「次元・生命機構・思想」に成り立つ生物。
超常現象的であり、その多くは認識する事さえ難しい。人間が人種や宗教、思想で違う事がある様に、彼らも何かしら分かれているようだ。 音を介してしか関わらない者達と、もっと直接的に語りかけてくる者達が、少なくともいる。
あるいは、知り得ない存在もあるのだろうか。
- 古い人間
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現在より遥かに古い時代を生きていた人間達の思念を指す。
その思念は、言葉を交わすことが出来ないにも関わらず、周囲への影響を与えてきた。今では考えられない力を持った人間達は、落ちた神と似た思いを抱いていた。 彼等のそれは深淵より深く、底を知らない。
故に、イル・メ・トーラは気を付け賜え。 死ぬ以前に正気を失くした者達が、正しい道を示す訳もないのだから。
- 音文字
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人ならざる存在の「音」に「文字」を作り、形を与えたもの。
イル・メ・トーラはこれを己の精神に刻むことで「音」――「違う者」や「古い人間」の力を憑依させることが出来る。最も古い月輪教にさえ、これの起こりを記したものは残っていない。分かっていることと言えば、生きることに直結した文字が多いという事。
荒れ果てた土地に住む人々の、神への祈りがそうしたのだろう。まるで呪いの様ではないか。形で縛り、我が物とするなどと。
- 異形
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イル・メ・トーラが「違う者・叡者」の「音文字」を刻み、体を変質させた姿。 「違う者」達の特徴が、強く形に現れやすい。
異形・従者共、本質は同じで「変異・変化・変幻」となる。「従者」と違って防具は無い分、異形は打たれ弱い者が多いが、 移動速度の向上など身体能力が強化される。 また大きく変質するためか、本来なら使用できる道具の多くが、使用できなくなる。
変身した彼らの「声」は、徒人には悍ましく聞こえるそうだ。 そして誰であっても同じ声色に感じるという。
逆にイル・メ・トーラには耳馴染みが良く、声の主によっては甘美だと。
- 従者
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イル・メ・トーラが「古い人間」の「音文字」を刻み、体を変質させた姿。 「古い人間」達の武具が、体に纏うように現れる。
従者・異形共、本質は同じで「変異・変化・変幻」となる。「異形」と違って大きな変質がない分、変身前と比べても身体能力の向上はあまりないが、 身に着けられた武具により、打たれ強い。また使用する道具の効果や威力が強化される。
さて、従者は凶器を携えている。 それは何を殺すにも完璧な仕事をしてくれるだろう。
騎士のような見た目だからといって、信用してはならない。 その凶器が向けられるのは、誰しも平等なのだ。
- 赤い霧
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生物が死ぬ間際、身体から発生する霧状に見えるもの。 匂いはなく、触れる事もできないが、近くに別の生物がいる場合、それに吸収される。
吸収され、集積した霧は、身体強化する術の一つである。通常発生する「赤い霧」は、目に映らない程の微々たるものだ。 しかしイル・メ・トーラの、特に能力の高い者達は、比にならない量を発生させる。
霧に目が眩み、 血に酔った者は、次へ次へと求めて止まない。人の道を外れたその先に、祝福があるのだと思わせる程に。
ただ多くの祝福は、悍ましい血の洗礼が待っている訳だが。
- 血薬
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ナギャダで一般に普及している、非常に鉄臭く赤い液状の医薬品。
特に人体の回復に効果を発揮する。ウィステリア医院のアムクローサが製作・普及させた。「人間の血液に似たもの」であって、血液由来ではない。
一部のイル・メ・トーラはこれを嗜好品として扱う。
何よりその香りと味わいは、彼らを虜とするのだ。
- 自作した血薬
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自らの手で作った血薬。あまり良い出来ではない。
使用すると体力を少し回復する。ウィステリア医院のアムクローサは、荒事の絶えないナギャダにおいて、 少しでも人々を助けようと粉骨砕身した善人の一人である。
ただ肝心の血薬は、嗜好品として扱う者も多い。
彼の憂いは幾何であろうか。
- 屑石
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ナギャダで大量に採掘されている宝石などの屑。やたらと輝くが、現地での価値はほとんどない。
手入れされた宝石は恐ろしい程の値が付く。片やその価値もないと打ち捨てられた原石が屑石である。
それでもこれには価値がある。
使う者によっては唯一無二の値打ちがあるだろう。
- 腐肉
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変色し、悪臭を放つ腐った肉。イル・メ・トーラが摂取すると、体力を微小ながら回復する。
またある種の生物は、これを好んで食すという。イル・メ・トーラであれば、たとえ食うに値しない肉ですら、血に還すことが出来る。余程の有事以外に行う必要はない。
腐るのは生きていたよう子である。命ある事に感謝せよ。
- ナギャダ保安結社
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街で続発する殺人・誘拐事件を防ぐために結成された自警組織。 所属するイル・メ・トーラの人々が、門番や見回りを行っている。
望まれる平穏が、必ずしも皆同じとは限らない。故に違い別れ、ここでは暴力が生まれた。
- 異形狩り
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特に「異形」が行う「同族に対する無差別な捕食」に異論をていし、異形を狩る集団。
それぞれ派閥に分かれているが、どの一派もミルユリル教会とは完全な敵対関係にある。派閥は敵味方の区別の為に、独自の証を身に着けている。 それを見せれば、一応は味方だと判断してくれるはずだ。
ただし異形であれば話は変わる。
異形に生きる場所はないのだと、身をもって知る事となるだろう。
- 警官
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ナギャダの外部から寄こされた治安保安員。
イル・メ・トーラである人々は、彼等に対して排他的であり、それは警官も同じである。特別な権限があると言えども、彼等は所詮徒人である。そしてここはナギャダなのだ。
一体何ができるというのだろう。
- 教会
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ナギャダにおいて数多ある教会は、土着信仰的なものから始まり、留まることなく数を増やしてきた。
そのほとんどは「違う者」らを祀っており、教会もその特色が濃く出ている。最も古く歴史ある教会は月輪教会とされている。ミルユリル教会と特に聖オムニス教会の台頭により、 ほとんどの教会は信者を減らし続けている。
- 月輪教会
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『暗銀の月、月輪、天上の君よ』
『目を合わせ賜う。 その気づきを教え賜う』違う者・叡者とされる「銀の月」を信仰する。現在のナギャダにおいては、一般的ではない。現会長はスィスィア。
古代のこの地域において「月」は男性的であり、静寂、忍耐、また狂気の象徴とされてきた。
故に「月」を崇め宥めれば、己の精神を制することが出来ると信じられている。目に見えた加護が無かろうが、心の寄る辺は必要だ。たとえそれが誰かの犠牲の上にあったとしても。
- ミルユリル教会
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『精錬せよ。女王の礎となる為に』
違う者・叡者とされる「女王」を信仰する。 イル・メ・トーラ同士の殺人・共食いを積極的に行っている過激な教会。現会長はエフモント。
ナギャダでは元々、血肉を食う習慣があり、それ自体は忌避されるものではなかった。
故に皆、油断していたのだ。「精錬」と称した殺し合いと共食い。そして「女王」の赤子を授かろうなどと、狂気以外の何であろうか。
- 聖オムニス教会
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『健気な牧民達よ。その歩み、止めることなかれ』
『我々は材であり、人々は等しくあらねばならない』
【知恵の主よ、どうか我らにその奇跡をお与えください】昔、ナギャダで慈善活動をしていたとされる人を讃え、その精神を教義として信仰する教会。現会長はハンデンク。
大変多くの信者を抱え、活動の幅も広い。ナギャダに訪れる巡礼者のほとんどは、聖オムニス教会に向かうだろう。
おお素晴らしきかな! 名付けを経て、新たな巡礼へと進み賜え。
お前はきっと、良い人材となるだろう。
- メブサ植物研究会
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『植物こそ至高』
古い書物にあった「創造主」と「鼓動植物または脈打つ植物」の研究を行う集団。
通称、植研会と呼ばれている。現会長はマルダース。植研会に関する噂の多くは良いものではない。拠点を構える植物園が大変美しく管理されていたとしても、寄る人は少ない。
「あそこの草木は人を食う」
果たして最初に言い出したのは誰であったか。覚えのある者は、もういない。
- オトナシ信仰
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違う者・叡者と思われる「オトナシ」を信仰する。「気候・気象」の神とされている。 特に農民らに根強く崇められている。
農民らが信仰深いのは、与えられる恵みの為だけではない。
時折起こる「爛れ病」は、ナギャダ全体を恐慌に 陥らせる程には 悍ましいものだ。だから崇め奉れ。愚かで可愛らしい者よ。盲目として信じるがいい。
- 烏信仰
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古い信仰のようだが、記述されている文献のほとんどは既に失われている。
口伝で残る内容も、確かなものは少ない。唯一、はっきりとしているのは「烏は神の従者であり、人々の先導である」という事だけだ。
現在のナギャダで烏はオトナシの眷属と言われている。
- 「狂い神、無謀の神」信仰
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狂い神、無謀の神とされる、正体不明の存在。
童謡などでしか、その姿は語られない。顔無し様がやって来る 夜の道をやって来る
淀んだ水がやって来る 川のようにやって来る
取られる前に 顔隠せ
取られる前に 戸を閉めろ
残った人は 誰だ
顔になるのは 誰だ