「やっぱお前弱いなー!」
「早く賞金出せよ」
声がする方を見れば、3、4人が誰かを囲んでいるのが見えた。
真ん中で囲まれているであろう人物は、蹲っているようだ。
ああ、またか。
テーブルシティを象徴するこのアカデミーでは、こんな似たような光景をいくつも見る。
日常茶飯事、生徒も教師も見て見ぬふり。
みんなわかっているんだ。
指摘したところで、その矛先が変わるだけであることを。
だから、何も言わないし何も見なかったことにする。
「いやー、やっぱアイツ良い金ヅルだわ」
「手持ち弱いから周回するのに効率良すぎ」
「おいおい、あんまり言うなよ可哀想だろ」
グラウンドの片隅で誰かを囲んでいた連中が、ぎゃあぎゃあ騒いでボクの横を通り過ぎていく。
その残った場所には、囲まれていたであろう人物が蹲り、すすり泣く声が聞こえた。
腕の中にはぐったりと横たわる黄色いオドリドリ。
トレーナーもポケモンも、身体中が傷だらけだった。
普通のバトルでは、考えられないくらいの酷さ。
さっき聞こえてきた話からすると、おそらく必要以上の攻撃を受け続けたのだろう。
(…可哀想だ)
手を差し伸べようかと彼女に近付こうとしたが、結局ボクには出来なかった。
ボクだって種類は違えど、彼女と同じようなことをされている。
そんなボクが、彼女を助けてあげることなんて出来なかったんだ。
「あっれー?生徒会長さん、何してんの?」
「女の子助けて良いとこ見せちゃおう的な?」
「…キミたち、その髪の長さは校則違反だよ」
校則違反を指摘すれば、うぜーんだよ!という叫び声と共に頬に鈍痛が走った。
ああ、まただ。
このアカデミーでは、こんな似たような光景をいくつも見る。
日常茶飯事、生徒も教師も見て見ぬふり。
わかっている。
誰もが恨み、煙たがる生徒会長が、手を差し伸べられる人なんて、誰もいないことをーー
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