2話






ついにやってきました日本。かれこれ10年ぶりじゃないだろうか。荷物は沢田家に送られているだろうから私はとりあえずご挨拶しにいこうか、ボンゴレ10代目候補に。




情報通り並盛中学にやってきた私は目的の人物を早々に見つけた。校舎裏で何やらボソボソ話す男の子とスーツ姿のちっちゃい赤ん坊。あ、お腹痛い、これは夢かな?

「 ちゃおっす、やっと来たか 」
『 リボーンさんいたんですね、あーお腹痛いからイタリア帰りますね〜 』
「 何言ってんだ、相変わらず馬鹿だなお前 」
「 イタリアってまさかマフィア関係じゃないよな!リボーン! 」


あろうことか昔私を鍛えてくれたリボーンさんがいるじゃないか。昔の思い出がよみがえってきそうだけどそれはその男の子の声で我に返る。私より背は少し高いぐらいの男の子。面影はある。だってそのまま大きくなったなって感じだし。思わず感動して飛びつけば、そのまま倒れて押し倒すみたいになって顔を真っ赤にしていた。


「 え、あの、! 」
『 ツっくん久しぶり!ずっと会いたかったよ〜!あーかわいい、変わってないね 』
「 ツっくんって、、誰ですか!? 」
『 え!わからないの!?これでも私奈々さんに似ていて昔はツっくんと本当の姉弟みたい〜って言われてたのに、、』
「 確かに母さんに似て、、、あー!!まさか、真白ちゃん、、? 」
『 そう!真白!ツっくんのイトコの沢田 真白だよ〜!嬉しい!覚えてくれてたんだ! 』


他人行儀の反応に少し寂しくなったけどツっくんの母親の名前を出し、似ていて昔はよく姉弟みたいという話をすれば久しぶりに呼んでもらえた名前に嬉しさが込み上げてきた。その感動のまま、ぎゅー!と抱き着けば後ろから容赦なく頭を蹴られてしまった。その正体は先ほどからツっくんとの感動の再会により無視してしまっていたリボーンだろう。

「 何いちゃついてんだ 」
『 いいじゃないですか〜私の王子様ですよ!ツっくんは! 』
「 王子様〜!?? 」

頭を蹴られて体を起こし、王子様の話をした。ツっくんが美化されてる!!と言っていたけど話していてわかる。何も変わらないツっくんに少しほっとした。私は血生臭くなったからなぁ。


「 てかさっき言ってたイタリアからの家庭教師って真白ちゃんなの!? 」
「 そうだぞ、真白には体育を担当してもらう 」
「 何で俺のイトコまでマフィア関係なんだよ〜〜 」


半泣きで叫ぶツっくんには申し訳ないけどあなたのお父さんもマフィア関係だよ!なんて言った日にはしばらく寝込んでそうだな。


『 あ、ちなみにツっくんの学校にも通うからよろしく! 』
「 え!あ、でも真白ちゃん1つ上だもんな 」
『 まぁイタリアで飛び級してるから大学も卒業してるんだけどね〜 』
「 え!うそ!?あの真白ちゃんが!? 」 




そこでキンコーン〜、と鐘が鳴り、ツっくんは授業が!と言って教室へと戻ってしまった。あわあわしながらも「 真白ちゃんまた! 」なんて声をかけてくれたツっくんはやっぱり私の王子様だ。


「 思い出が美化されすぎだぞ 」
『 美化されるぐらいが丁度いいの!てかリボーンさんいが犯人ですか、今回の 』


私の言葉にニヤリと笑うリボーンさん。それが答えだろう。9代目が突然私を日本へ派遣、しかも他の10代目候補を守れなんていうはずないもの。


「 お前は正当なボンゴレの血を継いでる。だからツナの守護者にはぴったりなんだ 」
『 ボスになれ、とは言わないんだね 』
「 お前は大空じゃないからな 」


いまここにスクアーロがいたら暴れまわり叫びまくるだろう。だってその言葉はボスへの侮辱だもの。


『 ツっくんがボンゴレを継げるわけがない。正統な後継者はいるもん、、私のボスが、、またいつか、、、 』



ボスが眠りに入ってしまう瞬間を私は見ている。どれだけの怒りを憎しみを感じたんだろう。なのに本部連中はあの人の気持ちなんて考えてくれない。だから嫌いなのだ。
「 お前は誰が何と言おうとボンゴレ10代目の守護者だ。覆すことのない事実だ。そしていま10代目候補なのはツナ、あいつだけだ。お前はツナのファミリーなんだぞ 」
『 ……わかってますよ。あ〜あ、ツっくんがボンゴレを継がないって言ってくれたら喜んで協力するのに 』


この時私はリボーンさんがその言葉にニヤリと笑ったことに気づかなかった。最初から私はリボーンさんにはめられたのだ。






沢田家に一足先に帰宅し、奈々さんに再会の挨拶をすればすごく喜んでくれて自分の家だと思っていいと言われたときは少し泣いた。だって奈々さんはすごくお母さんと似ている。そりょそうか、私のお母さんと双子だもんね。


「 ただいま〜 」
『 おかえりなさい〜、ツっくんお風呂にする?ごはんにする?それとも、、わ・た・し? 』
「 いないと思ったら何してんだよ!シロ姉!あ、違う、真白ちゃん、、 」
『 シロ姉!シロ姉でいいよ!昔に戻ったみたいで嬉しい! 』


新婚さんごっこはスルーされたけど久しぶりに聞く昔呼ばれていた呼称で呼んでくれた。嬉しい。また思わず ぎゅー!と抱き着けば、後ろにいた2人のうちの1人が騒いだ。

「 てめぇ10代目に何してんだ!! 」
『 何あの血の気多そうな奴、、ツっくんお友達は選ばなきゃだめだよ 』
「 ツナのお姉さん?ツナに似てるな! 」
「 え‘、、10代目そうなんですか!! 」


どうやらこの2人 獄寺くんと山本くんはファミリーらしい。姉ではないけどイトコだよとツっが紹介すれば獄寺くんは私がツっくんの血縁者だとわかるやいなや態度が180度変わった。


「 申し訳ございません!!10代目の血縁者の方に無礼を、、 」
『 いいよいいよ!私は真白!よろしくね! 』




その日はいろんな人を紹介してもらった。ランボにイーピン、ビアンキ、いつの間にやら居候という名の家族が増えたらしい。リボーンさんが他にもファミリーがいるからまた紹介してくれるとのこと。やっぱりすごいなツっくんは。



『 もしもし〜、マーモン元気? 』
「 ししし、まだ1日しか経ってないのにマーモンに電話したのお前 」
『 あれ、マーモンの声が偽王子の声に聞こえるな〜 』
「 誰が偽王子だよ、本物王子だし。真白のくせに生意気 」



与えられた部屋で眠る前になんだかヴァリアーの誰でもいいから声を聞きたくてマーモンに電話したらあの自称王子の声が聞こえた。携帯の名前を確認してもマーモンとなっている。


『 マーモンちゃんは? 』
「 お子様は寝てる時間だぜ?ししし 」
『 なんだ、マーモンちゃんじゃないならいいや、おやすみ〜 』
「 うわ、生意気。お前忘れんなよ、キスしたお返し倍返しな 」
『 な!わ、忘れたし!そんな出来事!馬鹿!ベルのエロ助! 』


「 何イチャイチャ電話してるんだ 」

殺気と共に銃声が耳元でした。避けられることがわかっていてあえて狙ったのだろう。見事に撃たれて使い物にならない携帯。それをした犯人はもちろん一人しかいない。


『 ……そこまでしますかね、リボーンさん。 』
「 お前はツナのファミリーだ。だから今日からヴァリアーとの連絡は禁止だ。 」
『 …はーい、わかりましたーよっと! 』



撃たれてそもそも使い物にならないけどさらにバキっと折って中のメモリーも砕いた。思い出が詰まった携帯だけど別になくなったからといっても構わない。


だって私の行動はヴァリアーの行動になってしまうから。






気分が悪くなり、突撃ツっくんの部屋!と言って突撃したら顔を真っ赤にさせてツっくんは顔面からベッドに落ちた。初だね*ツっくんは。ベルも見習ってほしい。




「 あ、さっき銃声聞こえたけど大丈夫? 」
『 リボーンさんと喧嘩しただけだから大丈夫!それより一緒に寝よう! 』
「 はぁ!??な、何考えてるんだよ! 」
『 姉弟みたいなものだからいいじゃん!会ってなかった10年間の話聞かせて? 』



ツっくんの言葉を無視し、ベッドに腰掛けてそう言えば諦めたように少し間をあけてツっくんも腰掛けた。



「 俺よりもシロ姉だよ、、なんでマフィアなんか、 」
『 私の両親ね、目の前で殺されたの。 』
「 え” 」
『 イタリアにきて、少ししてからかな?ボンゴレに招かれて9代目とその息子さんと顔合わせしたときに襲われてね、私を守る為に死んじゃって、だけど両親を殺した人をその息子さんがあっさり殺したの! 』
「 めっちゃ笑顔だけど、すごい壮絶……っ 」
『 それがもうっ強くてかっこよくて、!だから私その人に着いていきたい一心でマフィアになっちゃった!あの時気を失ってたらツっくんのお姉ちゃんとしてここで過ごしてだろうけどね。 』


今でも焼き付いている光景。頭を撃ち抜かれた両親に次に向けられて銃口。だけど次の瞬間銃声と共に倒れた犯人。銃声の音の先を見ると犯人を撃てば私なんて興味ないという感じであたりを見回すあの人の姿。一目で強い人なんだって思った。堂々としていて弱い物なんて興味のないボスの姿に惹かれた。


『 まぁそんな話はおいといて、ツっくんの好きな子の京子ちゃんの話でも聞こうかな〜 』
「 な、なんで知ってんの!? 」
『 ふふふ、マフィアですからそんな情報朝飯前だよ。 』
「 俺のプライバシー! 」


久しぶりに話すいとこのツっくんは普通の男の子だった。我儘な俺様ボスでもなく、大きな声で怒鳴り散らす剣士野郎でもなく、こじらせすぎてむっつりな変態野郎でもなく、お金にがめつい赤ちゃんでもなく、誰にでもナイフを投げて王子だしと言うような自称王子でもなく、普通の男の子。だからこそ何で9代目はツっくんを10代目にしようとしているのか謎だった。



『 ツっくんこんなに普通なのに何で10代目なんかなりたいの? 』
「 え‘ 違う!俺マフィアなんかなりたくないよ!! 」
『 え‘ そうなの!? 』


これはびっくりだ。てっきりツっくんは10代目に志願したのかと思ったけど違ったらしい。