4話

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10年前の自分はこんな事になっているとは思いもしないだろう。ツっくんがリングを壊したり射撃されて殺されたり日本は荒れ放題のようだ。作戦内容を聞いてなければ私も日本に向かい戦っていたにちがいない。でも作戦は順調に進み、日本の基地には10年前のメンバーがそろいつつあるようだ。


『 スクアーロうるさいけど何してるのー?あ 』
「 え、まさか……10年後の真白さん!!?? 」


スクアーロが談話室で騒いでるからなんだろうと思って部屋をのぞくと画面の側にいるのは10年前のツっくん達ではないか。喧嘩しているスクアーロとベルを押しのけて画面に近づいてみんなの10年前の姿をじっと見てみる。


『 本当に10年前なんだね!小さい!かわいい!ツっくん久しぶり! 』
「 ほ、本当にシロ姉なの? 」
『 本物のシロ姉ですよ〜髪も随分伸びたでしょ? 』
「 大人っぽくなるんだな…… 」


10年前とは違い肩までしかなかった髪は腰まで今はあって基本ポニーテールで過ごしている。恐らく10年前だと身長も少し伸びたし化粧もするようになったからツっくんからしたらだいぶ大人っぽく見えていることだろう。ツっくんの隣にいる隼人に目を向ければ顔を少し赤くして目をそらされた。確か順番的に隼人は2番目に入れ替わりだったからね。


『 隼人の10年前の姿見たらあの子喜びそう 』
「 え、名前、呼び捨て…、 」
『 この時代の隼人はツっくんの右腕でしょ?で、私は雪の守護者だけどヴァリアーだからボスの右腕的な位置でね、 』
「 うぉぉぉぉぉぉぉい‘‘!!!!誰が右腕だ!!お前はザンザスの妹として秘書してるだけだろ!!! 」
『 違うし〜右腕だし〜、ボスに許可もらってるもーん 』
「 ザンザスがテキトーに返事しただけだろうがぁぁぁ””!! 」
「 待って待って!シロ姉ザンザスの妹ってどーいうこと!? 」



スクアーロは目敏くベルとの喧嘩をやめて、反論してきた。確かにボスが酔ってるときに『 私右腕ってことでいい? 』って聞いたら勝手にしろと言われたからそう思っている。画面の向こうでスクアーロの言葉をひろい、ツっくんは驚いていた。




『 あれ?知らなかったかな?私両親しんでから一応9代目の養子になったからボスとは義兄妹なの!まぁボスの性格的に私と義兄妹なんて認めてくれなかったけど、丁度10年前だからリング争奪戦の後帰りにね、ボスが私を妹だと認めてくれて、もうあのときのボス惚れ惚れしちゃう! 』
「 こいつ1回話し出したら止まんねぇしうぜーよ?ししし 」
『 だってボスあのときね!「 お前は俺の妹だ、それを忘れんな 」って言ってくれて初めてお兄ちゃん!って呼んだら… 』
「 シロ姉あいかわらずだな…… 」
「 まぁ今は俺の姫だけどな 」




爆弾を投下したことをお分かりだろうか。耳元でそう言われたけど恐らくばっちり画面の向こうで驚いている。スクアーロが最後叫んで切って画面は暗くなった。



『 何最後に言ってんの!? 』
「 いいじゃん、俺のだし、それに 」
「 あ、ママとパパここにいた 」




談話室の扉が空いたと思ったら私とベルを呼ぶ今年7歳になる娘のレイが駆け寄ってきた。突撃するようにベルに突撃したレイをひょいっと抱っこするベル。10年前のツっくん達がみたら驚くだろう。あのベルがお父さんなんて。





「 パパ、フランが被り物取ってレイに被せようとするの。ひどいでしょー? 」
「 よーし、あいつ殺してやろ。 」
『 ベルがあんな被せ物かぶせるからでしょー。あとレイ、ここに来ちゃダメって言ったでしょ?別館でフランと遊んでいてって言ったのに。 』
「 だってフランがね! 」
「 う”ぉぉぉい!さっさと連れて行け!作戦会議するぞ!! 」



私に似た黒髪だけど目の色はベル。生まれた時どこから用意したのかベルとお揃いのティアラをのせている。これでも意外とお父さんしているからびっくりだよね。スクアーロの言葉に私とベルは「 はーい 」と返事をしてスクアーロは出ていった。



「 レイ、ちゃんとお留守番しねぇとママ怒るぜ? 」
「 もう怒ってるよ? 」
『 怒るに決まってるでしょ!こんな状況で、 』
「 別にいいんじゃね?レイ俺の子だから強いし。 」
『 そーいうとこベルと似ちゃって…、まぁとりあえず、 』



ベルからレイをもらい抱っこしてあげると、ぎゅーっとされ、小さな声でごめんなさいって言われたからそれで許してしまう私も自分の娘には甘い。




『 あ!さっきね隼人が通信でお話したけど今10年前に入れ替わってるからかわいかったよ 』
「 え!本当に!?隼人くん会いたかった、そしたら10年前の隼人くんに未来のお嫁さんですって自己紹介したのに 」
「 うげ、まだ言ってんのかよ。あいつ気が短ぇしやめとけって。 」
「 だって隼人くんイケメンだよ?ヴァリアーのメンバーもイケメンだけどスクアーロうるさいしフランこどもだしボスは怖いし 」
『 確かに隼人はイケメンだからね 』



さっきはスクアーロに遮られたが私がボスの右腕兼秘書的な位置で隼人はツっくんの右腕だから交流することが多い。数年はアタックが凄かったけど子どもができてからは諦めますっと最後に熱烈な告白と共にそう言われた。子どもが生まれ、ツっくんとも交流させていたら物心ついたぐらいにレイはなんと隼人にお熱になり、ずっと結婚しようと言っている。ベルは同じ嵐の属性のせいか気に入らないって言っていたけど多分あの調子だとどの相手でも気に入らないと言うだろう。




レイを別館に置いていき、ベルと2人作戦会議の為ヴァリアー邸の会議室へ向かう。手を繋いで歩きながら、先程のツっくんの姿を思い浮かべる。





『 久しぶりのツっくん、若かったな 』
「 初恋思い出してんじゃねぇよ 」
『 だってあの時のボスを倒しちゃったツっくんかっこよくてね、ん、 』
「 旦那いるのに他の男の話すんな 」


あの頃を思い出してツっくんのかっこよさを語ろうとしたらベルはそう言って唇を塞いだ。触れてから少し離れて、また触れる。ベルとのキスは10年経っても変わらないけど10年経ってもこうした触れ合いは慣れない。恥ずかしくて繋いでる手に力を入れたが何を勘違いしたのかより深くなっていくキス。


「 なぁ作戦会議の後、日本行くんだろ? 」
『 っ、そうだけど、、 』
「 じゃあ俺の相手いましてよ 」
『 は!?な、なんの…、 』
「 決まってるじゃん、セッ… 」
『 馬鹿じゃないの!?いまどんな状況かわかって、 』
「 だって俺王子だし、そんなの知らねぇー 」


こう言い出したら聞かないのは長年の経験からわかってはいるけど頭が痛くなる。ぐいぐいと引っ張られていく先は空き部屋なのかベッドも何もない部屋だけどご丁寧にソファーだけある。騒ぐ私を再び黙らせるように唇を塞ぎながら抱えられソファーにおろされる。


「 真白、抱かせて 」


こうなったら私の負けだ。見下ろすようにこちらを見るベルの瞳に射貫かれて私は抵抗することをやめた。


https://alicex.jp/edit/c/novel_pageEdit.php?&page_id=6&cid=suda00&novel_id=3  4.5話※エロ注意




案の定遅れてやってきた私とベルはスクアーロに怒られた。何度もするベルが悪い。私はけして悪くない。作戦会議の後も腰が痛くてあんまりちゃんと聞いてないけど私はこの後日本に行かねばならない。本当は了平くんと共に日本に行く予定だったのだが今後の作戦などスクアーロと考えていたら出発を遅らせることにした。




『 作戦通り行けばいいけどね 』
「 作戦通り行かなくてもなんとかするのがヴァリアーだ” 」
『 まぁそうだね。スクアーロ、ボスの事よろしくね 』
「 そこは旦那と子どもじゃねぇんだな 」
『 旦那はあんなんだし子どもも7歳って言ってもマフィアの端くれですから、ここで終わったら自分の責任ですよ。…って言っても心配だけどね 』
「 そっちも気抜くなよ 」
『 ≪全てを白く染め上げ、ファミリーを癒し守る≫雪の守護者だからね!任せなさい! 』


10年後のツっくんや恭弥くん、あいつには言っていないけれどヴァリアーにはスクアーロとボスには伝えている。ベルはあんなんだから伝えるわけもなく知らない。今度こちらに戻ってくるのはしばらく先。守護者としてヴァリアーとして頑張らないとね。