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※地の文控えめ

「あだ名は紅茶、好きかな?」
自販機から、ぼくは自分の飲み物であるロイヤルミルクティーを取り出しながらなまえに何を飲むかを聞く。
「美味しければなんでも飲むけど……んー、ミルクティーは好きだよ!甘い奴」
「じゃあお揃いにしておこう。いい?」
「いいよー」
許可も得たので同じボタンを押して、2本目が落ちてくるのを確認して、お釣りレバーを引いて細かくなったお金をぼくは財布にしまった。
飲み物を渡そうかとなまえを見るとぼくを見つめて神妙な顔をしているから、冷たいロイヤルミルクティーの缶を頬に当ててみれば彼女はひょ↑あ↓と変な声を出した。
「また考えごとかい?」
「なにすんねん!」
混乱のあまりというやつかな?可愛いけどうちのライバルともいえる、生駒隊を思い出す。
「生駒隊がうつったかな?」
「真織ちゃん可愛いからうつったかもしれへんなあ」
なまえとマリオちゃんは接点あっただろうか?と少し考えると、羽矢さんがマリオちゃんを花屋で見かけたって話してくれたな。
そして色が綺麗な花のヘアピンだったりをなまえは着けてきたりもしてたなと思えば、何となく彼女がマリオちゃんの名前を出したのに合点がいった。
なるほどね。まあでも、
「なまえの方が可愛いでしょ」
「??????」
「腑に落ちなくて、なんでを考えてから反応するのも可愛いんだよ」
「……そいえば自然と奢ったね王子、ありがと!」
さっきと違って動揺せず、ぼくの発言を受け流す力を身につけたのか、少し間が空いて真っ赤な顔で飲み物のお礼を言われた。
あの初々しさも彼女の愛らしい所だけど、なんでもなさそうなフリしてるこれは、僕がそう成長させたんだと思うと……すごく良い。
「どういたしまして。」
「で、その、あたし、大変いたたまれないんだけどどっか行くとこないかな」
さっき勢い余ってあんな事しちゃったからね。外堀を埋めれたとも言えるから良いとはいえ、流石にぼくもあれは恥ずかしかったし。
「そうだね……作戦室来るかい?防衛任務の作戦室詰めるのにも丁度いい」
「うん、そうする!行こう」

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「そうそう!この間はじめて王子隊以外の作戦室にお邪魔したんだよ」
ボーダーは横繋がり結構強いから、射手末席を汚すB級フリーの私にもそういうのはある。
「おや。誰の所に行ったんだい?」
「出水くんのとこ!射手の話を熱く語り合った仲だよ」
「太刀川隊か。ぼく入ったことないな」
「部屋は生活感溢れてたよー。太刀川さん餅食べてる所に邪魔しちゃって印象変わった。柚宇ちゃんはゲームしてて、唯我くんはその姿を隣で見てるのね。柚宇ちゃん負けたらはらいせに首もぎゃーってされてたけど」
「随分混沌とした場に乗り込んだね……」
「面白くて優しかったよ!柚宇ちゃんいるし当然だけど!」
柚宇ちゃんとは同じクラスなのでそういう縁もあわさってお呼ばれに至ったのだ。
ありがとう、持つべきものは友人と同好の士。
「ほら、ぼくたちの作戦室だよ」
「お邪魔しまーす」
いつもならカシオくん勉強してたりみんなチェスとかしてるんだけど、今日はいない。
「誰もいないよー王子。作戦会議まだ無理だね」
「おや、2人だけでも作戦を立てれるものはあるよあだ名」
「うーん。そお?防衛任務はいつも通りにとは思うけど……」
「いや?恋は戦争なんていう人もいる位だし、ぼくはその戦争に対する作戦を立てたいかな」
「えぇ……王子そこまでする必要あるの?」
あたしは普通の子だ。王子の言うように熟考に入ると周りを忘れちゃう癖がある位で。
お花屋さんとか弁当屋で慎ましく家族を作って暮らしましたみたいな庶民と、爽やかでかっこよく部隊を率いて知略にも長けた王子様がなんて、ちょっと物語がすぎる。
「君という安息を得るための戦いだ。僕にとっては重要な戦いさ」
しれっとこんなキザっぽい事言うし。
「あたしは普通すぎるし」
「ぼくだって別に普通に高校生だよ」
「そうだけど……」
私の発言からか自分と対等だって、王子は示そうとしてくれてる。
「同じ高校に通ってるし、ボーダーで一緒にすごしている。違うかい?」
「違わないよ、でも…」
こうやってだんだんと、王子は的確に距離を縮めてくる。
「普通とは言うけど、君は十分魅力的に見えるんだよ、僕にはね」
「そこがわからないの。」
「あれだけ言ってもかい?」
「うん」
「じゃ、強行手段にでよう」
すっ、と物理的にも距離を縮めてくるので後ずさりしようと思えば、するりと素早く左手をあたしの右手に絡ませられる。
恋人繋ぎだこれ!!!!
「ちょっ、王子激しいよ!」
「あだ名が言うほど強く握ってないからね?別に、振り払ってくれてもいいんだよ」
実際王子の言う通り、しっかり繋ぐじゃなくて優しく緩くだけども!
「……やだ、王子怪我させたら困る」
「なんで困るんだい?」
「す、す、好き……だから怪我させたくないし……王子隊の人たちも困っちゃうし……!」
あっけないなぁあたしは。さっきまであんだけ悩んでたのにもうこれだ。
「他の人の事も考えれていい子だね。ぼくも好きだよ、なまえのこと」
さっきより強く手を握られる。
よくよく考えたら恥ずかしくて作戦室入ってから王子の顔みれてないな、と見てみれば綺麗に頬が赤くなってる。いつもの爽やかカッコいいのじゃない、きっとあたししか知らない王子。
「ほっぺすごい赤いね王子」
「キミよりはね」
「か、一彰くんに負けたよあたし」
「ここで名前言うとかなまえはしたたかだね」
「だって名前すごく呼んでくれるから……」
「あだ名呼びを喜んでくれるのはぼくも嬉しいけどようやくだからね」
そう言ってソファーへと王子は座るから、私もなんとなくその隣に、ちょっとだけ隙間を作って座る。
「シャイだね」
「心臓爆裂しちゃうもん」
「手から慣らしてこう」
そろりそろりと、さっきみたく指を絡めて、それから?
……カシオくんが思ったより早く到着しちゃったよ、とだけ。



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