影山(中一)と徒然主
※連載してみたかったやつ。
その日は車で両親と遠出をした。小旅行、というやつだった。俺としてはバレーの練習をしていたかったが、キブンテンカンに良いと勧められ―なにより共働きで忙しい両親と遠出なんて久しぶりだったので―その日、俺は素直に車に乗った。勿論、リュックの中にはボールを入れて。
車で数時間。慣れない海沿いの景色をぼんやり眺め、たまには海も良いなぁと感想を一つする中、人家の少ない場所まで辿り着いた。ドライブみたいなものだったから具体的な目的地を決めてはいなかったものの、予想外の寂れた場所に両親も驚いていた。俺たちが驚いたのには理由がある。鬱蒼とした森の中に、赤煉瓦のトンネルがあった。おどろおどろしい…いわゆる、“出そう”なフンイキの場所に息を呑んだ。と同時に、ちょっとした好奇心が疼いた。「いけるか」両親が周囲の観察に夢中なことを良いことに、俺はこっそりトンネルを進んだ。土の匂い、水滴の音、ひんやりとした空気。振り返ればぼんやりと外界の明かりを主張する半円の入り口。見慣れない異空間に心臓がドキドキした。「あ」前方に入り口と同じような形が見えた。あれは出口だ。案外短い探検だったなと若干がっかりしながらも、この奇妙な空間にどこか焦燥にも似た感覚を抱いていたので俺の足は自然と速くなった。
外に出た。
「え……」
てっきり外は入り口と同じように海沿いの灰色のアスファルト、背の低い人家、たまにぽつぽつとマンションがあるものだと思っていた。
実際は、違った。
俺が立っている場所は暗い裏路地。隣は木造建築…和風の、家。慌てて振り返るが、背後にあったのはトンネルではなく、この裏路地の奥の道。先は闇色でどうなっているのか分からない。
「何で…っ」
「なんだガキか?」
「!!」
突然の大人の声に肩が跳ねる。「何でこんなところにガキがいんだ?」丸坊主で和服を着た怖そうな男だった。腰には刀が差さっている。偽物か…それとも。「まあ」すらり、白刃が鞘から顔を出す。「試し斬りには丁度いい」タメシギリ…心の中で男の言葉を反芻した。試しに斬る、という意味。
――おれを、きるのか?
「ほれっ」そんな軽い掛け声と共に刀が振り下ろされた。
がきんっ。
衝撃に身を固くしたが、痛みはない。どうしてと怖々顔を上げてみれば、鈍く輝く刀身が男の一撃を遮っていた。
「えっ…」
「誰だテメェ!!」
「…うちの隣で流血沙汰はやめろ」
高くはないが、決して低くない心地良い声音。女だった。その女は流れるように切っ先を男の首筋に当てる。男はびっくりしてそそくさと去っていった。
助かった―鮮明に、その単語が頭に浮かぶ。
「…ガキ、こんなところを彷徨くな。さっさと帰……」
そこから先の、記憶はない。
みたいな感じ。ここから徒然主が無事帰れるその日まで影山を守っていく話。最初は徒然主と全然仲良くなれなくて悩む影山だけど徐々に絆を育んでいくみたいな。俺がもっと大人だったらこの人が人を殺す理由が分かるのかなとかちょっと考える影山氏、ない頭をフル回転させる。
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