あなたの影
※生理表現あります。苦手な方はブラウザバッグ推奨。
「サイアクもうほんとにサイアク他人に経血の処理させるとかあり得ない無理これは死ぬ」
「落ち着け、こんなことで人は死なない」
「ダメなやつだと思ってたけどわたしこんなにダメなやつだったもう無理生きられない」
「ネガティブに拍車がかかってるな。ホルモンバランスが崩れているからだろう、気にしすぎないほうが良いぞ」
詳細は割愛するが、生理でぶっ倒れている名前の前にS級ヒーロー・駆動騎士が現れた。何故現れたのかは分からない。ただとにかく名前が起床と同時に己の下半身が月一恒例の血まみれになっていたことに気づいた数十分後、駆動騎士が家にやって来た。応対を拒否したにも関わらず彼は随分強引な手口でドアを突破し、室内に侵入。絶対に他人に見られたくない光景を見られた名前は絶叫ののち、号泣。しかしそんな姿を見ても尚、彼は淡白だった。
名前の呪詛のような言葉に軽く相槌を打ちながら駆動騎士は血にまみれたシーツと衣服(下着含む)をせっせと回収する。それらを手にしたままリビングを出たので、洗濯しに行ったのだろう。この男 家事機能付きロボットみたいだなと頭の片隅で考えながら、そういう機械 にも生理現象を見られたくないものなのだろうかとぼんやり疑問に思った。
暫くして洗濯機の稼働音が聞こえてきたのと同時に駆動騎士がリビングに戻った。
「何か食べたか?」
「……いえ……」
「だろうな。温かいものでも…」
「……コーヒーならあります」
「カフェインは駄目だ。飲み物ならとりあえずカモミールティーでも飲め……と言いたいところだがこの家にそんなものはないんだろう」
その通りである。「ひとまず白湯を渡しておく」ほかほかと湯気が出ているカップを受け取れば、手のひらに熱がじんわりと伝染した。
「それを飲んだら眠れ。痛みが酷いなら痛み止めも併用しろ。私はカモミールティーとミネストローネの具材を買ってくる」
「ミネストローネ?!」
予想外の単語を反芻すれば、彼は表情一つ変えず(当たり前だ)食物繊維が豊富で温かい食事だから食べるべきだと答えた。
「は、はあ」
「何だ、何か文句でもあるか」
「いえ別に…」
ただ駆動騎士とミネストローネの組み合わせが不思議なだけだ。
名前が食事自体に不満はないことを察した駆動騎士は、大人しくしていろと一言置いて家を出た。
彼が出ていくと一気に物寂しくなる室内。じんと鋭い痛みが下腹部を圧迫する。眉をひそめてベッドに潜り込み、彼の後ろ姿を目蓋の裏に描いた。それから、スーパーでミネストローネの具材を神経質そうに吟味する姿を想像する。きっと周りの客や店員は彼を見て目を剥くのだろうと思うと、なんだが笑えてくる。
彼が一体どんな顔でミネストローネを作るのか考えながら、枕に顔を埋める。玄関からはまだ帰宅の音は聞こえてこない。 - back -
「サイアクもうほんとにサイアク他人に経血の処理させるとかあり得ない無理これは死ぬ」
「落ち着け、こんなことで人は死なない」
「ダメなやつだと思ってたけどわたしこんなにダメなやつだったもう無理生きられない」
「ネガティブに拍車がかかってるな。ホルモンバランスが崩れているからだろう、気にしすぎないほうが良いぞ」
詳細は割愛するが、生理でぶっ倒れている名前の前にS級ヒーロー・駆動騎士が現れた。何故現れたのかは分からない。ただとにかく名前が起床と同時に己の下半身が月一恒例の血まみれになっていたことに気づいた数十分後、駆動騎士が家にやって来た。応対を拒否したにも関わらず彼は随分強引な手口でドアを突破し、室内に侵入。絶対に他人に見られたくない光景を見られた名前は絶叫ののち、号泣。しかしそんな姿を見ても尚、彼は淡白だった。
名前の呪詛のような言葉に軽く相槌を打ちながら駆動騎士は血にまみれたシーツと衣服(下着含む)をせっせと回収する。それらを手にしたままリビングを出たので、洗濯しに行ったのだろう。この
暫くして洗濯機の稼働音が聞こえてきたのと同時に駆動騎士がリビングに戻った。
「何か食べたか?」
「……いえ……」
「だろうな。温かいものでも…」
「……コーヒーならあります」
「カフェインは駄目だ。飲み物ならとりあえずカモミールティーでも飲め……と言いたいところだがこの家にそんなものはないんだろう」
その通りである。「ひとまず白湯を渡しておく」ほかほかと湯気が出ているカップを受け取れば、手のひらに熱がじんわりと伝染した。
「それを飲んだら眠れ。痛みが酷いなら痛み止めも併用しろ。私はカモミールティーとミネストローネの具材を買ってくる」
「ミネストローネ?!」
予想外の単語を反芻すれば、彼は表情一つ変えず(当たり前だ)食物繊維が豊富で温かい食事だから食べるべきだと答えた。
「は、はあ」
「何だ、何か文句でもあるか」
「いえ別に…」
ただ駆動騎士とミネストローネの組み合わせが不思議なだけだ。
名前が食事自体に不満はないことを察した駆動騎士は、大人しくしていろと一言置いて家を出た。
彼が出ていくと一気に物寂しくなる室内。じんと鋭い痛みが下腹部を圧迫する。眉をひそめてベッドに潜り込み、彼の後ろ姿を目蓋の裏に描いた。それから、スーパーでミネストローネの具材を神経質そうに吟味する姿を想像する。きっと周りの客や店員は彼を見て目を剥くのだろうと思うと、なんだが笑えてくる。
彼が一体どんな顔でミネストローネを作るのか考えながら、枕に顔を埋める。玄関からはまだ帰宅の音は聞こえてこない。