04
―――グリムジョー・ジャガージャックは久しぶりの強敵に興奮していた。死神なぞどうせ取るに足らない存在。そう侮っていた。しかし目の前の女死神は平隊員のくせに随分強い。グリムジョーに一太刀入れただけでなく、こちらの攻撃さえ軽々と避けて反撃してくる。久しぶりの好敵手だ―――そう思った矢先。錦の胸から刃が飛び出した。
背後から刺されたのだ。錦とグリムジョーに気づかれずにそんなことをする奴は、一緒に現世に来た“あいつ”しかいない。
「てめぇっ…なに人の獲物に手ェ出してんだ!ウルキオラ!!」
錦の背後にいるウルキオラ・シファーは黒外套のフードを外す。真っ白な肌が露出した。彼の特徴的な青翠の瞳は無感動にグリムジョーを見据えている。
「時間をかけすぎだ。今回俺たちがすることは死神との戦闘ではない」
「だからってなァ!」
「文句を言うな。さっさと帰還し、」
ドッ―――ウルキオラの肩から血が噴出する。動けない筈の錦が斬りつけたのだ。あんな重症で反撃できる余裕などないと思っていたのだろうウルキオラは、完全に油断していた。グリムジョーが彼のそんなところを見たのは初めてだった。
「………っ私のこと、無視すんの…やめてくれるか…っ」
「………まだ動けるのか」
錦はやっとの思いでといった感じで構えたが、響転で移動したウルキオラが彼女に手刀を喰らわせたことにより今度こそ錦は意識を失った。
意識のない錦をウルキオラが抱き上げる。「行くぞ」黒腔を開けば、青空に似合わない暗闇が出現する。暗すぎる所為か、錦の雪のような肌がくっきりと浮かんだ。
グリムジョーは納得いかなかったが、従わないわけにもいかずウルキオラの後に続いた。錦は一度も目を覚まさなかった。