06
抱え込まれたまま連れて来られた場所は、この建物の中で最奥らしき部屋だった。グリムジョーは扉の前で錦を降ろすと、重そうな扉を片手で開けた。部屋は暗かったが奥にある上座に誰かが座っているのが確認できた。誰だと思って目を凝らす。「やあ、久しぶりだね、芦屋君」
藍染惣右介。死神たちを欺き、裏切った男が、目の前にいた。
「な……」
「突然連れてきて済まないことをしてしまったね。傷はもう大丈夫かい?」
「大丈夫やで藍染様。錦ちゃん、起きてから早速ご飯食べたみたいやし元気そうや」
前方には藍染、右手には市丸ギン、そして東仙要までもがいる。左手には意識を落とす直前に見た白い顔の男が静かに控えている。他にも千差万別な姿をした虚―おそらくは最上級大虚―が錦を観察していた。気味が悪いことこの上ない。
「で、私に何の用で?あっもしかしてこの前藍染隊長の悪口言っちゃったのバレちゃったんですかね」
「ええぇ…君そないなこと言うてたん?やっぱおもろい子やね」
ははは、と呑気に笑う市丸に錦は合わせるが内心では警戒を最上に引き上げていた。孤立無援で敵地のど真ん中にいるのだ、警戒しないほうがおかしい。
藍染は全てを見通しているかのような笑みを浮かべ、述べる。
「なに、そんなことで君をここへ呼んだりはしない。それと、そんなに緊張しないでくれ。君は大事な
不思議な物言いに首をかしげたが、藍染は笑みを深くしただけで答えなかった。それから彼は他の最上級大虚を部屋から下げさせ、この場に死神だけを残らせた。
「君たちとの決戦に際し、私たちは準備を整えていたのだけれど、その中で私はふとある疑問を持ったんだよ」
こつ、こつ。優雅に階段を降りてくる藍染。殺気を出しているわけでも霊圧を上げているわけでもないというのに、錦は圧力を感じた。
「私は疑問を覚えたら解決せずにはいられない質でね………なんとかして解明しようと決意した」
「…………」
「そこで選ばれたのが君というわけだ」
かつん。目の前に、藍染が迫る。思わず刀の柄に触れたくなったが腰に愛刀がないことは知っていた。
「安心したまえ」
ゆっくりと、手を挙げる藍染。錦の目元に掌をかざし、彼は言葉を続けた。
拙い―――咄嗟に後退しようとしたが遅かった。
「すぐに疑心はなくなる」
瞬間、錦の意識は暗闇に引きずり込まれた。