05
痛みで目が覚めた。灰色の天井が視界に広がる。いつもの茶色の天井ではないことから、ここが自室ではないことが分かった。四番隊病棟の天井もこういった色だった気がするがここまで冷たくはない。ならば、ここはどこだろうか。痛みがいまだあるものの、錦はゆっくり起き上がった。部屋を見回そうと首を傾ける。
「!?」
「漸く起きたか」
あの空色の髪の男・グリムジョーがソファに座っていた。
まったく気づけなかった。霊圧知覚が鈍っているのだろう。まだ本調子でないことが自覚させられた。
「…いや、ウルキオラに胸を貫かれたんだ。二日で起きられたら上出来か」
「………………」
「ンだよ、喋れねえか?」
胡乱気な彼の目に、何とか答えようと口を開いたその時。
――――ぐうぅううぅ……。
「「…………」」
盛大に腹の虫が鳴った。どちらの腹が鳴ったのかは、双方理解している。
「…。お腹空いた」
それが、目覚めてからの第一声だった。
*
仕方なしといった感じにグリムジョーが部下(こいつも虚の霊圧だった)に持ってこさせた料理は、特に美味くも不味くもなかった。むしろ錦は味よりも、虚に近い彼が料理を用意できた事実のほうに関心がいった。
「お前よく敵が用意した飯なんか食えるな」
グリムジョーが半ば呆れたように呟く。
「私を殺したいのなら傷を手当てしてから毒殺するなんて面倒なことをするわけがない」
「そりゃそうだ」
「だから食べられるものだと判断した」
ごちそうさまと礼を言い、フォークを置く。グリムジョーは何の反応も示さなかった。
「それで、お前は何なんだ」
「ついて来い」
「は?」
突然の言葉に錦の反応が遅れる。彼は構わずドアを開けた。
「ついて来れば分かる」
断っておくが錦が怪我人だ。食事が摂れるまで回復したとはいえ、痛みがあることに変わりはない。つまり、そんなほいほい歩けるわけがないと言っているのだ。
「は?ふざけんな、とっとと来い!こっちはてめぇを連れてくように言われてんだ」
「だからそんなさっさと歩けるか!そんなに連れて行きたいならおんぶしろ!」
「ハァ?!なんっっで俺が!!ふざけんのも大概に………!」
と、ここで不意にグリムジョーが黙った。どうしたのだろうと注視してみるが、彼は不機嫌そうに舌打ちを一つしただけで別段何かを言う気配はない。すると暫しして、こちらの当惑など意に介さず靴を鳴らして錦の傍まで近づいたかと思えば、グリムジョーはぐいと錦を抱え込んだ。
「!!?!」
「暴れたら落とす」