「グリム・リーパー……フッフッフ」
 サングラスをかけてピンクの羽織を着用している派手な装いの男は、手許の紙を見て不気味に口許を歪ませた。はらりと紙を投げると、フラフラと彷徨い地に伏せた。
「Grim Reaper…“Mao”…」
 再度それを口にする。
 さら、とカーテンが揺れた。地面に伏せていた紙は再び宙を踊り、外へと飛び出す。紙が彼の許へ帰ってくることはなかった。
 思わず、笑みが零れる。
 時刻は茜色を迎えていた。陽の光により白い部屋は茜色に染まる。段々と滲み出る藍色に呑まれないように、茜色は白い壁に己の色を塗りたくっていた。その光はやがて男を飲み込んだ。眩しい筈なのに、男はどういうわけか口角をあげる。
「死神…まさかやって来るとはな」
 フッフッフッ。また不気味な笑い声を一つする。
 陽は、沈みかけていた。