ある日の午後


 「たつきちゃん、宿題見せて☆」
 「まーたあんたは…一護に教えてもらえばよかったじゃない」
 「…最近の一護ちゃん、冷たいんだ。除霊除霊で忙しいみたいだし。高校に入ってからずっと」

 遠く離れた窓の席に座る黒崎一護を見る。
 中学時代の友人である茶渡泰虎と、楽しげに話してはいるが…その間にクラスメイトの浅野啓吾が割って入り、いつものように蹴りを食らう。そんな幼馴染の彼の様子に、有澤たつきは、変わんない気がする…と騒ぎ立てる啓吾に呆れながら目を細めため息をつく。

 「気のせいでしょ。あたしには分からん」
 「そうかなぁ」
 「どうしたの?たつきちゃん、杏子ちゃん。黒崎君になんかあったの?」
 「あ、えっとね」
 「帰るぞ杏子。今日は俺らが夕食当番だ」
 「でもまだ宿題が…」
 「越智さんが明日までって言ってたろ。俺がスパルタで教えてやる」
 「あー!そうだ、たつきちゃんと姫ちゃんで遊ぶ約束が…」
 「んな訳ねぇだろ!おいたつき、こいつ連れて帰るからな」
 「どーぞー、ご自由に」
 「たつきちゃん、ひどい!」

 半ば強引に引きずり出される杏子を見ながら、井上織姫は少し怪訝な表情で二人を送り出した。
 そんな織姫の横顔をたつきはちらりと覗き見る。悲しそうな、なんとも言えないそんな彼女の様子は何処となく物語っていた。

 「織姫」
 「えっ、な、何たつきちゃん!」
 「今日あんたン家行ってもいい?あと泊まりで」
 「うん!夕飯の買い出ししなきゃ!」


 知ってる。あんたが一護が好きで、一護が杏子が好きだってことに気づいてること。あいつらが其れに気付いていないことも    


ー昔はそうなるなんて思ってなかったー END
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