03 護るものを護るべく いつからだろう。一護ちゃんがこんなに強くなったのは。いつからだろう。一護ちゃんが泣き虫じゃなくなったのは…ほんとに…いつからだっけ。 昔を思い出せないくらい、彼は気付けば私よりも強くなっていた。ケンカにも負けないくらい。 「待て!!」 「一護ちゃん、危ない!!」 「一兄、杏姉連れて逃げて!!」 「…夏梨ちゃん、一護ちゃん!!」 「待てというのに…!!」 「夏梨!!」 「夏梨ちゃんを離せ、化け物!!!」 「杏子!!」 『見つけた…』 「え…」 一護ちゃんは術を解くと、パイプ椅子を手に化け物へ攻撃する。だけど、化け物の方が一枚上手で、一護ちゃんは弾き飛ばされてしまう。 リビングからガレージを突き破って大穴を開けたのは、間違いなくこの化け物だ。 でも、見つけたって一体 「夏梨ちゃん…!!」 「夏梨、おいっ…!」 「 「ほんとうか…?!」 「ああ。ヤツはより霊的濃度の高い魂を求めている。そうか、あの虚は昼間の少女を狙っていたわけではなかったのか」 「どう、いう…」 「理由は解らんが、先程まで貴様らの魄動の放出は極限まで抑え込まれていた。だが、私は貴様らに何も感じなかったし、貴様らが虚に一回も襲われることはなかったのだ。推測だが貴様らの身体に流れ出ることの出来ない魄動…貴様らが触れ合った少女の霊を返して、外界へ流れ出したのだろう」 昼間の化け物はこの死神さんに倒されている。さっきの化け物は、死神さんが腕を斬りつけたあと消えてしまった。まさか、その虚が言った見つけたって… 「つまり、あの二匹はさっきの少女より貴様らの魂の濃さを嗅ぎ取った。総ての狙いは、貴様らだ!」 「…!俺達を、狙って…」 「……そん、な…」 『オォオオオオオオ!』 「来たぞ、貴様ら!」 「うるせェ!!俺達の為に、あの子は襲われたってことか…」 「そっか。私が接触しなかったらあの子は…」 「何を…?!」 「俺達のせいで、夏梨や遊子が死にそうになってんのかよ!!」 悲痛な一護ちゃんの叫びが木魂する。あの女の子が襲われたんじゃなくて、私達が触れ合ってしまったから。触れ合わなければあの子はその虚に襲われる事もなかったのに。 「うおおお!!」 「おいっ!!」 「 『オォオオオオオオ!!』 「…!だめ…一護ちゃん、やめて!!」 一護ちゃんが虚に殺されてしまう。そう思っていたら、身体が勝手に動いていた。自分から流れ出る血しぶきに、悲鳴を上げる余裕すらなくて頭が真っ白になった。気が付けば、死神さんが肩を食い挟まれていて大量に出血している…… 「し、死神さん…!!」 「杏子!!死神…」 「っ…この、たわけが…!女子供と貴様の力で、叶わんこと…!先刻承知のハズ!其れとも、自分の魂さえくれてやれば、総て済むとでも思っているのか…?!このままでは全員、ヤツのエサになるのを待つだけだ」 「…そう、だよ。一護ちゃん。夏梨ちゃんと遊子ちゃんを護る人が、いなく、なっちゃう…」 「杏子…オマエこそ、無茶しやがって」 少しふらつく私の身体を一護ちゃんが支える。死神さんは、今にも気絶しそうな状態で電柱に身体を預けると、家族を助けたいか、と絶え絶えに聞く。 答えは決まっている。唯一あの子達を助けられるのは、私と一護ちゃんしかいない。 「貴様らが、死神になれ!」 「え…?」 「貴様らがこの斬魄刀を身体の中心に突き立て、そこに私が力を注ぎ込む 「身体の中心って…でもどうやって…」 「つまり、こういうことだろ?刀を寄越せ、死神」 「死神ではない、朽木ルキアだ」 「俺は、黒崎一護だ。そしてコイツは…」 「実栗杏子…!」 私の背後に一護ちゃんが回る。そして、私の両手を包み込んで、一瞬に刀の刃を持った。 青白く光る光が私と一護ちゃんを飲み込んだ。気付けば二度も襲って来た虚を、一護ちゃんが片腕と顔を切り付けていた。 「……ほんとに、真っ黒なんだ。死神って」 「莫迦な…半分の霊力を与えるつもりが、全部吸い取られてしまった…」 「うおおおお!」 「一護ちゃん…!」 「しかし…杏子の斬魄刀はちゃんと鞘に収まっているな。一体どういうことだ」 「ほんとだね!一護ちゃんの刀って大きいね!」 「何を呑気な…」 この刀は斬魄刀と云うらしい。そして、死神さんの武器。確か、こう叫んでいたような気がする。 「舞い踊れ、 |