宗介と凛


駅前のカフェ。
「(いた)」
よう、と声をかけると先に来ていた凛は「おう」と軽く手を上げた。
「悪い、待たせたな」
「俺も来たばっかだよ。なんにする、」
メニューを開いて軽く眺める。
「そうだな・・・腹が減ってるしハンバーガーでも食うか」
「へー珍しいな」
「凛は」
「俺はコーヒーだけで。すいません、」
注文を終え、なんとなく水のグラスを手に取りながら「休み、どうだった?」と尋ねる。
「いや、まあ・・・」
「・・・なんかあったのか」
「そういうんじゃねえけど」
「凛」
ふいと視線を逸らした相手は言いにくそうな顔で切り出す。
「あー、宗介は・・・誰かと付き合ったことってあるか」
「・・・まあ」
「そっか」
「なんだよ急に」
「いや、別に」
「もしかして彼女でもできたのか?」
「それは、まだ」
「なら片思い中か」
茶化したつもりだったが、
「そういうやつでもねえけど・・・」
と煮え切らない答えが返ってくる。
「どういうことだよ」
説明を聞いて脱力した。高校を卒業したらちゃんと付き合うつもりだとは。ずいぶん真面目だな。
「まあ、お互いが納得しているならそれでいいんじゃねえのか」
凛は帽子を深く被り直す。はみ出した耳が気のせいか赤い。そうかそうか。
「っ笑うな!」
「笑ってねえよ」
どうだか、と凛はふてくされたように言った。
ハンバーガーと飲み物が運ばれてきて会話が中断する。店員がいなくなってから「で?」と促した。
「・・・こーいうのは初めてだから、分かんねえこと多すぎなんだよ」
「それで俺に助けを求めたってわけか」
「ああそうだよ!」
ヤケクソの凛がおかしくて「安心しろ」と笑う。
「俺も経験なんてない」
「でもさっき、」
「あれは成り行きでそうなったけで、ついでに3日で別れた」
「3日!?」
「ああ」
「たった3日で何があったんだよ・・・」
「告白されて、ふられた」
呆気にとられている凛に「写真とかないのか」と尋ねる。
「ねえよ」
「同い年?年下?」
「・・・2こ上」
ピクルスがこぼれ落ちた。
「ついでに岩鳶の先輩」
「なら、あいつらと在学時期被ってんのか」
「ああ。さすがにハルたちのことは知らねえって言ってたけど」
ふうん、と相槌をうつ。まさか恋愛相談だとは思わなかった。からかいの気持ちなく声をかける。
「よかったな、凛」
「・・・おう」
「お祝いにハンバーガー奢ってやる」
そう言えば、
「いいよ別に」
と凛はやっと照れたように笑った。


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