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「・・・なあんだ、またハズレですのね」
言葉とは裏腹にセイレーンはがっかりしている様子でもない。どうせハズレがあたりまえ、という精神で仕事をしている。今日もこの後サロンに行く予定なので、体よく現れたセーラー戦士たちにハズレのなれの果てを押し付けるつもりだった。
しかし、
「ふざけるなッ!」
「きゃっ!」
突如飛んできたエネルギーの塊を間一髪飛んで避けた彼女は「いきなり何するんですの!?」と反論する。
「なにじゃないわよ」
己の後ろの壁がべっこり凹んでいることを知りゾッとしている相手にヒーラーは一歩近付く。
「ひっ、」
「アンタら回転率早すぎない?ちょっとは自重してくれないとこっちもヒマじゃないわけ、分かる?」
怒りに燃える瞳にひるみながらセイレーンは言い返す。
「それならあなたたちがスターシードを持って来て下されば済む話ですわ!」
「なに?この期に及んで他力本願しようって?」
ヒーラーは彼女の太ももの間にすらりとした脚を割り入れて囁く。
「・・・ムカつく」
「・・・〜っ!」
セイレーンは「ちょっとあなたたち!」とファイターたちに向かって叫んだ。
「お仲間のご乱心を止めて下さらない!?」
「ええ・・・?」
「いやー面倒だし・・・」
ヒーラーの声が冷たく響く。
「ちゃんと聞け」
「はッはい・・・」
「1日72時間働いてようやく手にした休みを・・・このために潰された怒り、憎しみ、悲しみ・・・」
ぎゅうぎゅうに詰め込まれたタイトスケジュールも血の滲むようなリハーサルもすべては今日の休日をもぎ取るため。
「あの子と過ごす貴重な時間だったのよ・・・生かして帰したら怒りが収まらない」
「ちょっ、いやーーー!!」
ダルそうに腕を組んでファイターは「だからあれよ」と提案する。
「悪いけど今日はさっさと帰ってくれないかしら。あとそのファージはちゃんと元に戻しといてよ」
「い・・・いやですわ!そこまで言われたら帰る気が失せましてよ!あと、ファージは元に戻せませんの!」
「前から思ってたけどそれ無責任じゃない?メイカーどう思う?」
「責任逃れする気ね」
ようやく足をどけたヒーラーは「チッ」と鋭い舌打ちをして歩き出す。
「ちょっと、どこ行くのよ」
「いいモン持ってくる」
セイレーンは「はっ、どうせ怖くなって逃げ出したんですのよ!」と虚勢を張ってみせる。
「今のうちにぼっこぼこにして差し上げますから覚悟しなさいな」
「だるいわあ・・・1日72時間勤務はこっちだっておんなじだっつーの」
「ほんと、加えて私はマネジメントもよ」
彼女たちが臨戦態勢に入った時、ヒーラーが戻ってくるのが見えた。右手に金属バットを握っている。
「その物騒なもので何する気ですの!?」
パニックのセイレーンを横目にファイターは「どこから持ってきたのよ?」と尋ねる。
「ヤンキーに声かけてもらってきた」
「うそ・・・その格好で?」
「グラビアの撮影で使うって言ったらくれたわ。エロい目で見てくるやつは数発くれたら大人しくなったし」
「や、野蛮すぎますわ・・・」
「あのう、どうしましょう・・・」
ファージにおそるおそる尋ねられ、セイレーンは「くっ」と拳を握る。
「今日のところは引きます!それじゃあみなさん、さようなら!」
ドアが閉まった瞬間、ガン!と叩きつけられる金属バット。
「ヒィッ!」
「チッ」
本気でカチ割ろうとしていたヒーラーの姿を見てファイターは「あらー・・・」と呟いた。
「トラウマよねあれ」
「いいんじゃない?しばらく大人しくなるかもしれないし。それよりファージどうする?」
メイカーと目が合ったファージはびくっとする。
「そのバットで気絶させたら元に戻ってないかしらね?」
「やってみる?」
そんな会話を交わしていると、騒ぎを聞いてやって来たセーラームーンに泣きついてファージは無事に元の姿に戻されたのだった。


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