箱学
「ねえ塔ちゃん、エアコンつけようよ」
まだ早いよ、と泉田は答えた。
「えーでもお」
「まあ確かに練習してっと熱いかもな。とりあえず窓開けっか」
黒田は立ちあがり窓を開け放した。
「・・・風ねえな」
「でしょー?」
ローラーを漕ぎながら悠人は隣の真波に話しかける。
「暑いだけで体力削られる感じありますよね」
「だよねえ」
「でも今からエアコンはさすがに・・・」
本格的な夏の到来にはまだ間がある。普段なら山の風が吹きこんでいるのだが、今日はあいにく湿度ばかりが高かった。
その時、
「うお!?」
ブウンと何かが飛び込んできた。
「なんだあれ」
ハチだ!と黒田が叫んだ。
「ええッハチ!?」
「あわてんな葦木場!窓開けて逃がせ!」
開けたから入って来たんだけどね、と真波が指摘する。
「うるっせえよ!てかお前ものんきにローラー回してんじゃねえ!」
「アブ、ユキ!そっちだ!」
「潰せ葦木場!」
「えっ!?かわいそうだから逃そうよ」
「んなこと言ってっと刺されんぞマジで」
てかあれスズメバチですよ、と冷静に悠人は言った。
「エ!?やばいじゃん、悠人やっつけてよ」
「えっオレが?」
ピークホーネットでしょ、と言う葦木場に「いや、関係ないんで」と答える。
「仲間じゃん!」
「ちがいます、つか仲間ならなおさら殺せないすよ。うお、こっち来た」
10分後、部室の中をぶんぶん暴れまわったハチは満足したのかようやく出て行った。全員息が上がっている。
「はあ、はあ・・・やっぱエアコンつけるか」
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