巻島
目薬を持つ手がふるえる。もう少し、あと少し・・・
「ッ!また失敗かよ、クソッ・・・」
我ながらなんて点眼が下手くそなんだと思う。その時、
「お疲れさまでーす。あれ?」
巻ちゃん泣いてるの!?とマネージャーが驚いたように言った。
「ちげェよ。目薬さすの失敗してんショ」
「そうなんだ、びっくりした。私やったげようか」
「!いいのか」
いいよーと彼女は快くうなずく。なんていいヤツなんだ。
「サンキュ、助かる。明日カツサンドおごるショ」
「やったー!」
***
金城とふたり、部室のドアを開けようとした瞬間だった。
「待て、田所」
「?なんだよ金城」
声がする、と金城は言った。
「ア?声?」
「ああ・・・巻島と、マネージャーだ」
そう言われてオレは耳を澄ます。
「いくよ、巻ちゃん」
「や、やっぱちょっとタンマ!」
「もうタンマはなしだよ。ほら、ちゃんとこっち向いて」
「やっぱりまだ心の準備が・・・ウッ!」
「だめでしょ、言ったとおりにしなきゃ」
「頼む、優しくしてくれ・・・」
「大丈夫、痛くないからねー。ほら、じっとして」
ドアの外でオレたちは固まる。
「なあ、なにやってんだ?アイツら・・・」
「これは入ってもいいんだろうか・・・」
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