銅橋



“結婚することになった”

そんな内容のメッセージを送れば、今でも交流がある部活の先輩や後輩は祝福の言葉を返してくれた。
そのうちの1人、真波が話の流れで会おうと言ったため、オレはそうすることにした。
「オイ」
久しぶりだというのに、コイツはまるで昨日の続きのように「バシくーん」と席についたと思えばすぐさまメニューを開く。
「この店おいしいんだよ、オレここのオムライス好きなんだー」
「そうかよ」
なんか学食ン時みてえだな。テーブルに肘をついてメニューが回ってくるのを待つ。
「どれもおいしそうだなあ。バシくんもう決めた?」
「決まるワケねえだろ!オマエがずっとメニュー独占してんだから!」
「そっか。じゃあハイ」
あいかわらずマイペースだな、とため息をつきながらメニューを眺める。・・・オムライスうまそうだな。
「オレも同じのにする」
「おっけ。すみませーん」
カルボナーラふたつ、と真波は言った。
「なんでだよ!フツーそこはオムライスだろうが!」
「だってオムライスにするなんてオレ一言も言ってないよ」
「そうだけどよ・・・!」
くそ、コイツと話すとホントに調子が狂う。
「・・・黒田さんとか泉田さんとかと、連絡取ってたりすんのか」
「たまにね。1番多いのはたぶん東堂さんだけど」
真波は「驚いたよ」と笑う。
「なにがだよ」
「バシくんが最初に結婚決めたこと」
まっすぐな相手のまなざしからなんとなく目をそらした。照れくさいからだ。
「マネージャーさんとずっと付き合ってゴールするんだからすごいよ」
「・・・るせえ」
自転車乗ってメシ食ってるオメーのがすげーよ、とは言わなかった。
そんなことができるのはひと握りのよっぽど強ェヤツらだけだ。そのひと握りの中にいるってのに、目の前のコイツはあいかわらず学生みたいな顔をして笑っている。
「おめでとう、バシくん」
「・・・ありがとよ」
「ところで、今日はオレがおごろうと思って来たんだけど・・・家にサイフ忘れてきちゃった」
「なんッでだよ!」 


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