--7月、ちょっと暑すぎない?


年々暑さが増しているように思う。数年前の7月頭などはもう少し過ごしやすい気候だったはず。
梅雨も年々短くなるし、四季の風情はこうして少しづつ消えてしまうのかもしれない。温暖化というより灼熱地獄化とでも表現させて欲しい。私は既にこの夏を乗り切る自信が無くなってきました。普段涼し気な顔の多いこの人も、流石に数日前の蒸し暑さには辟易としていたもの。

「明日も出勤…?嫌すぎる…ここからまだ暑くなるなんて正気じゃない。でも今月平日既に休める日がない」
「今年こそ日焼けどころか焦げるのではないか」
「否定できないんですけどぉ…」
「哀れには思う」

帰宅早々明日を嘆く私に、お風呂上がりの彼が憐れむように言う。というか、哀れとはもう言葉に出されてしまった。在宅勤務の彼から日々哀れまれています。悲しい。
スーツを脱いで一旦、一旦ソファに倒れ込む。いやホントに暑かったの、マジで疲れたの。眠気やばいんだけど、たぶん微妙に、若干、ほんのちょっぴり、コレはあの、熱中症の眠気な気がする。まだ7月頭なのに早くない?!
四半期が変わってまたバタバタするとはいえ、これでまだ週半ばなのはちょっと絶望しそう。あと…2日…コレを…?

「エ死ぬと思う。焼け焦げた燃え滓から骨拾う準備してもらうことになるかも」
「まず水を飲め。夕飯は?」
「たべてません」
「なるほど。昼も食べてないだろう」
「もずくと野菜スティックたべました」
「団栗の背比べ、という言葉を知っているな」
「暑すぎて食欲が壊滅の一途を辿ってしまい…」

いやでも食べただけ偉いと思う。そこの頑張だけでも褒めていただけないでしょうか。貰ったお水を飲んでもごもご訴えてみた。

「却下する」

取り付く島もなかった。

「今日はまだ食べたら吐く所までいっていないだろうな」
「食べる元気ないだけなので気持ち悪さは無いです」
「なら、もう少し水を飲んでシャワーだけでも浴びてくるといい。蕎麦なら食べられるか」
「茹でてくれる…ってコト…?…神様?!」
「残念、伴侶だ」

言い方がなんていうか、古風だ。ナーザ様、神様だから仕方ないかな。神様もとい伴侶でした。
でもこれ、眠気消えたらアイス買いにお散歩付き合ってくれる気配がするから、頑張ってお風呂入ろうかな。温度低めにして少し冷えるつもりだといいですよって去年バルドさんが言ってた。頑張ろ。よいしょっと。
急に立つとふらっとしちゃうからのろのろっとしてしまうけど、とりあえず立った。既に偉いぞ私。
台所の彼がお湯を沸かしてくれているのでそのままお風呂場に向かう。のろのろクレンジングを用意して、のろのろ服を脱ぎ始めて気づく。今から既にお湯が沸かされてるとなると、もしや早めに出てこないと麺伸びちゃわないか?
…それは良くない。蕎麦は美味しく食べたい…じゃん…!

「出ました!ほめて!」
「食べたら褒めてやる。思ったより早かったな」
「お蕎麦のびちゃうのは一大事なので…!」
「大丈夫だ、まだ盛ってもいない」
「ちょっと早すぎちゃったかあ…」
「若干な。座って水を飲め」
「めちゃくちゃ水飲ませてくれる伴侶さんがここにいます」
「感謝するといい」
「ありがとう大好きです」
「そうだな、知っている」

前ならここで目を僅かに見開いてから少し顔を背けて、「…少し、見るな」、…なんて呟いていたのに!ちなみに無理に覗き込むと捕まえられるパターンもあった。私も恥ずかしくなるタイプのやつ。

ところが今ではこう、さらっと言葉を返して尚且つ微笑むのだから、過ごした年月というのが恐ろしいのと同時に気恥しい。あと、嬉しい。
…なんてうっかりにこにこしている所を見られまして、追加爆撃。

「何せ、己の愛しい伴侶なのでな。最後まで連れ添う相手には尽くすものだろう?」
「…ねえそれふつうにすきとか言うより照れちゃわないですか?」
「お前は照れているな。なるほど、新しく覚えておこう」
「嬉しいけど覚えなくてもよくてぇ…!せっかく冷やしてきたのにあつい、こまる」
「食べれば落ち着くだろう。早く食べるといい」
「あとで絶対アイス買いに行くからね…!」
「眠そうにしていなければな」

たぶん大丈夫、食べたら逆に元気になるからきっと大丈夫。うーん、蕎麦おいしい!つめたい!明日の出勤ヤだけど、あと2日頑張ろって気にはなった。単純なんだよなあ私!

「眠そうにしていたのなら、さっさと俺と共寝をしてもらうぞ」
「それはそれで望むところなんですよね!睡眠時間、だいじ」
「ところで最後に確認だが」
「はいなんでしょう」
「今週の土日はちゃんと休みだろうな?」

………………………えっとお。
お前、まさかなという顔。振休を規定通りに取らないならやめろと言ったのに、まさかなという顔をしている。

「平日、休めないと言っていただろう。であれば土日は全てきちんと休日、だろうな?」
「すみません出勤です」
「…お前、あれほど言ったのにか…?」
「まって、日曜は、日曜は休む予定なので!土曜だけだから!お客様も近所だから!行先近いから!!」
「そうか。それはそれとして、散歩中の話題が決まったようだ。わかるな」

……アイス買いに行ってる場合じゃないかも!
えーん!大好きな恋人に、社畜、このあと勤務状況詰められてきます。誰か骨拾ってくれる人いないかな…!


***


今年もえっくす(旧ついった)で駆け込みしたナーザ様の日
2024年、サ終前最後のリアル修羅場を夢に落とし込みました。正しく夢です

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